竜の恩返し ある男が薪を売りに行った帰り、エンシェントドラゴンが罠にかかっているのを見つけ

帽子男 @alkali_acid

竜の恩返しについて考えていたんだが あの…男が薪を売りに行った帰り、エンシェントドラゴンが罠にかかっているのを見つけてという…

帽子男 @alkali_acid

家から村の市場へいくとちゅうにたっているストーンサークルは、いったいなんなのかなって、小さいころから思ってたけど、そういう目的のために作られたんだなってわかる回。

帽子男 @alkali_acid

絶対に解放しない方がいいのでそのまま帰った。 （終わり）

帽子男 @alkali_acid

でも多分薪を売りにいくたびにめっちゃいるんだよねエンシェントドラゴン。すごい暴れてそう。 なるたけ目を合わせないようにして通り過ぎていく男。

帽子男 @alkali_acid

そのうちにエンシェントドラゴンを倒そうと騎士とかがいっぱい来て適当にストーンサークル周辺で死んでいくので甲冑とかを回収して大儲けだな。 みたいなことを考えた馬鹿がどんどん死んでなんか物騒なので迂回ルートを通る薪売り。

帽子男 @alkali_acid

領主の家来とかが事情聴取とかもするけど 「じいさまのじいさまのそのまたじいさまのころからそこにありました」 「巨人が建てたとか小人が建てたとか王様が建てたとか色んな話があります」 ぐらいしか言えない。

帽子男 @alkali_acid

でも小屋をめっちゃ徴発されそうだな。 逃散を検討しないとな。

帽子男 @alkali_acid

村の市場がだんだん竜の炎除け護符（インチキ）とか無敵になる聖水（インチキ）とか変な商売でおかしくなっていくのを悲しく見守る薪売り。 それはそうと薪は売れる（生活必需品なので） というか需要は増えるな。騎士がいっぱいくるし。

帽子男 @alkali_acid

でもまあどっかの軍隊が全滅したあたりで「もうかまうな」みたいなおふれが王様からでそう。 それはそう。 でもまあ物見遊山の客は絶えないわね。ドラゴン経済だ。

帽子男 @alkali_acid

なんか怖。

帽子男 @alkali_acid

ある夜更けのことでした。 薪売りの粗末な小屋の扉を叩く音がします。 「もし、もし、道に迷ってしまいました泊めていただけませんか」 「あの…竜見物か竜退治でしたら村の方に宿も野営地もいっぱいあるんで…」 とんとん、ごっ

帽子男 @alkali_acid

ごついガントレットが木戸をぶち抜く。 騎士こわ。 竜助けた事実すらないのに、とばっちり最悪じゃん。むしろ最初の時見ないふりしたせいか？ とほほこれじゃ恩返しどころか怨返しだよ。

帽子男 @alkali_acid

「あ、申し訳ありません」 「はいはい今開けます。開けますんで」 ペコペコ。ペコペコ。全身甲冑の女騎士様をもてなす薪売り。

帽子男 @alkali_acid

「愛馬が倒れ、どこへもゆけません。しばらく置いてはもらえませんか」 「ははぁ…むさくるしいあばらやではございますがどうぞ好きなだけおとどまりください」 なぜならそう。相手はまだロングソードを帯びていたからです。

帽子男 @alkali_acid

女騎士は騎士なので薪売りの家にとどまり特に何をするでもなく武具の手入れとか武芸の鍛錬とか土地の見聞とかをし、あと騎士なのでものすごい量の飯を食い、騎士なので代金とかは払わない。 平民は奉仕するのが当然だからね。

帽子男 @alkali_acid

そして夜になると 「どうか中を見ないように」 と奥の部屋にこもる。 見ない。しかし耳をそばだてるとしゃっしゃと砥石に刃をかける音がする。

帽子男 @alkali_acid

あやしい放浪騎士→領主に訴え出る→門前払い→騎士から手打ち あやしい放浪騎士→怖いのでおとなしく養う→破産

帽子男 @alkali_acid

「出て行ってもらえませんか」 は絶対言えないよね。なぜならそう。相手はロングソードを持っているからです。

帽子男 @alkali_acid

「えーとお武家様はあのうのうエンシェントドラゴンを退治に」 「うむ。時に薪売り殿。あの竜罠についてご存知のことがあればうかがいたい」 「はあ…えー…じいさまのそのまたじいさまのまたじいさまの代からありました。小人が建てたとか巨人が建てたとか王様が建てたとか」

帽子男 @alkali_acid

「石がどのような並びかわかるかな」 「はあ…そりゃ昔からよく通りますんで…」

帽子男 @alkali_acid

詳しく話すと女騎士はうなずく。 「なるほど。竜罠は正しく働いていないようだ。歳月を経て狂いが生じたのだろう。そもそもこんなものがまだ残っていたことが驚きだが」 「はあ」 「私は竜狩り。役目柄この手のことにはいささか聞き知っている…ふむどうやらこの真北の石柱から右回りに数えて三つ目」

帽子男 @alkali_acid

「ああ傾いでるやつ」 「さよう。この柱が少し悪くなっているようだな。これを壊せばよいのだが…」 「たいへんですなあ」 「何壊すと言っても、鑿で刻まれた文字をひとつ削ればよい」 「たいへんですなあ」 「小人のこしらえた特別な道具だが、幸いここにある」

帽子男 @alkali_acid

「それはなによりですなあ」 「小人の道具は実によくできていてな。あなたにも扱える」 「はあ？」 「ぜひ頼みたい」 「えっ」

帽子男 @alkali_acid

女騎士は甲冑の腰のあたりをさする仕草をする。 「愛馬が倒れた際にこのあたりを痛めてしまってな…まともにはたらけそうにない」 そうは見えないが。 「…ははあ加勢など呼んで参りましょうか」 「ぜひ薪売りどのにお願いしたいのだ」 「はあ…いや…えー」

帽子男 @alkali_acid

断る→ロングソード ごまかして逃げる→うまくいく？→いやロングソード ひきうけたふりをして逃げる→うまくいく？→いやロングソード 「いやー…で…えー…その…えー…」