クライ・ハヴォック・ベンド・ジ・エンド #8

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これは」ダークニンジャはニンジャスレイヤーを見下ろす。復元されたメンポは以前よりも禍々しいフォルムを取っている。だが構わず、彼は今まで以上に地獄めいた勢いで右パウンドを殴り下ろす!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!?」ゴ……ゴウランガ!殴られたのはダークニンジャだ!

2011-09-29 20:56:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

それはクロスカウンター!マウントされた状態からニンジャスレイヤーは左手で殴り返したのだ。しかもダークニンジャが思わずのけぞるほどの威力!物理法則の限界に挑むパンチである!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは一瞬の隙を逃さず、そのままダークニンジャの装束を掴み、後ろへ投げ飛ばした!

2011-09-29 20:59:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」この投げはジュー・ジツの奥義、トモエ投げだ!トモエとは法と混沌が拮抗する神秘的瞬間の呼び名である。そして、ダークニンジャを投げ飛ばし起き上がったニンジャスレイヤーの禍々しくも理性を残すアトモスフィア、実際トモエめいているではないか!シンボリック!

2011-09-29 21:06:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ダークニンジャ=サン」ニンジャスレイヤーの赤い眼光がダークニンジャを射抜く。「家族の仇」「オバケめ」ダークニンジャは無感情に呟き、クナイ・ダートを逆手に構えた。「お前のその内なる邪悪存在がなんであろうと、所詮、イビツなオバケに過ぎぬ。お前に『資格は無い』」「イヤーッ!」

2011-09-29 21:14:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは稲妻のごとき突進からチョップ突きを繰り出す!ダークニンジャは斜めに仰け反りこれを回避!その動作から滑らかにクナイ・ダートで斬りつける!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは身を沈めて躱しつつ回転、その勢いでダークニンジャのみぞおちに地獄めいた正拳突きを叩き込んだ!

2011-09-29 21:43:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」ナムサン!ダークニンジャはみぞおちに全力のパンチを受けてくの字に折れ曲がる!ニンジャスレイヤーは逆の手でさらに渾身の突きをみぞおちに叩き込む!「イヤーッ!」「ゴバーッ!」ダークニンジャは嘔吐!メンポ呼吸孔から胃液がこぼれる!なんたる凄絶なイクサか!

2011-09-29 21:50:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはさらに攻撃を畳み掛ける!彼自身、内なる力が引き出された理由はおぼつかない……いや違う!理由は明白ではないか!家族の仇への憎しみだ!ダークニンジャ!スゴイタカイ・ビル!フユコ!トチノキ!憎悪がニューロンのフートンに眠るナラク・ニンジャと同調しているのだ!

2011-09-29 21:58:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーには焦りがあった。ナラク・ニンジャの意識は無い。このチカラは唐突に失われるのではないか?温泉の脇から少しだけ染み出した湯が、あっという間に枯渇するように……所詮これは不完全なチカラではないか?だから彼は急ぐ。この攻撃機会を逃せば終わりだ!

2011-09-29 22:07:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」乱打!乱打である!ニンジャ小手が変形し、拳から血が噴き出す。だが、さきのメンポのように復元はしない。ナラクの炎が燃えることもない!さらに殴りかかる!「イヤーッ!」

2011-09-29 22:16:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

バシッ……拳が止まった。止めたのはダークニンジャである。ダークニンジャの掌が拳を止め、押さえつけている。「……時間切れだ。ニンジャスレイヤー=サン」そして警報音が鳴り止み、マイコ音声が宣告した。「時間ドスエ。アリガトゴザイマシタ」

2011-09-29 22:21:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

途端に、地震めいた振動が廊下を駆け抜ける!「まずい……まずいぜ!」機関室でガンドーが喚いた。「失敗じゃ済まんぞ!生き埋めだ!」ニンジャスレイヤーは自由な方の拳に力を込め、イーグルの鉤爪めいた形を作った。今なら!今ならダークニンジャを倒せる……道連れにすれば……もろともに……!

2011-09-29 22:27:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(……殺せ……フジキド……今すぐ殺せ……)ニューロンの奥底で呻き声が聞こえた……そして、皮肉な事に、その声が逆に、彼を我にかえらせたのである。「ウオオオーッ!」ダークニンジャを掴み、廊下の角めがけて投げ飛ばす!ダークニンジャは空中で回転してバランスを取り、着地!

2011-09-29 22:37:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ダークニンジャはニンジャスレイヤーをひと睨みすると、次の瞬間にはもうそこにいなかった。彼をして、全速で脱出せねばハンマーシリンダー施設の強制稼働に伴う自壊に巻き込まれる程のエマージェンシーなのだ!「オオオオーアアアアア!」ニンジャスレイヤーは咆哮した。そして機関室へ飛び込んだ。

2011-09-29 22:44:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オイオイオイオイ!ヤバイヤバイヤバイ!ヤバイヤバイヤバイヤバイぜ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはガンドーを机の脚に固定していた拘束をチョップで破壊した。「後な、悪いが両腕が!肩が外されてるんだ、走れるかどうか……」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

2011-09-29 22:48:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムサン!ニンジャスレイヤーはガンドーの左右の肩と腕を掴み、それぞれ一撃で関節を嵌め直したのだ。ジュー・ジツのマスターは神秘的な癒しの手を持つと言われている……だが、これは実際、心弱い者は気絶するほどの荒療治!「ブ……ブッダファック……ありがとよ……クソッ、行くぞ!行くぞ!」

2011-09-29 22:53:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「初撃……アップ……」ゴゴゴゴゴ、施設全体が震え、軋む!ニンジャスレイヤーとガンドー、二者は転がるように駆ける。「遅い!」ニンジャスレイヤーはガンドーを振り返ると、2メートル近い巨体の彼を強引に掴み上げ、山賊めいて抱え上げた。「畜生!またこれか!」ガンドーが喚いた。

2011-09-29 22:59:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……ダウーン」無慈悲なマイコ音声とともに、破滅的轟音が響き渡る!カブーン!ズグラーク!天地が鳴動し黙示録めいた破壊音が四方八方から飛び込んでくる!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは走る!走る!走る!走る!走る!「第二撃……ザザッ…………ザザッ」カブーン!ズグラーク!

2011-09-29 23:05:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そのとき、第13層、丘の上の配置センター前広場で利息付きの炊き出しに並んでいた労働者たちは見た……遠景の悪夢的シルエット……最近になってあっという間に建造された巨大な製鉄所めいた建物が、遠目にもわかるほどに振動し、上の隔壁を貫いて伸びていた柱状のタワーが垂直に沈み込むのを。

2011-09-29 23:18:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

直後、彼らが立っていられぬほどに大地が揺れ……配給ミソスープの寸胴鍋は倒れ、そして沈み込んでいた巨大な柱は再び持ち上がり……今度は倍以上の速度で再び垂直落下した。建造物のあちこちで爆発が起こり、もうもうたる土煙が立ち込めていた。大地が裂け、遠目にはっきりわかる亀裂が拡がってゆく。

2011-09-29 23:24:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

丘の上で彼ら無関係の労働者たちが固唾を呑んで見守る中、巨大建造物はグシャグシャに崩れ、潰れてゆき、落下した柱が穿ったのであろう、すり鉢状の斜面と、その中心の円い深淵に飲み込まれていった。上空へ一機のヘリコプターらしきものが飛び立ち、やがて離れていったが、気づいた者は少なかった。

2011-09-29 23:41:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

邪悪なる古代ニンジャヘレニズム様式のレリーフ彫刻と没薬の煙、奴隷ゲイシャが一心に爪弾くオコトの音、そして数人のただならぬタツジン・アトモスフィアを漂わせるニンジャ達が、凱旋者を迎え入れる。すなわちダークニンジャを。

2011-09-30 00:01:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フォー、フォー、フォー……大儀であった、ダークニンジャ=サン」いつものように謎めいた紫のノレンで覆い隠されたロード・オブ・ザイバツが、膝の上のバイオ三毛猫を撫でながら労った。その側に立つ小柄なニンジャが陰気な視線を投げる。パラゴンである。「まさに有言実行といったところですな」

2011-09-30 00:11:05