ドスケベうさぎメスケモとすけべする小説 シーズン2 第三話

ドスケベうさぎメスケモは今回出ません。ネコチャンฅ^•ω•^ฅがでます。
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ヨコシマくん @QUIZcat

地球人、って言い方をするってことは、この子も宇宙人か。 「ラビノイドに殺される!」 「殺されるって……」 「奴らに捕まったら殺される! あいつらは侵略者だ!」 ーーーー

2022-09-22 23:08:11
ヨコシマくん @QUIZcat

着ているパーカーを脱がせて、腕を縛り上げた。体は枯れ枝のように痩せ細っていて今にも折れそうだった。 ひとまず、警察への通報は保留した。また逃げ出そうとしたら容赦なく突き出すといい含めたら落ち着いてくれた。 取り返した荷物は後で警察に届けるとしよう。 俺は猫宇宙人を自宅に招き入れた。

2022-09-22 23:08:50
ヨコシマくん @QUIZcat

侵略者。ラビノイドにつきまとう疑惑。その単語は重要だ、話を聞きたい。 日本語が問題なく通じているのは、耳と首につけた翻訳機のおかげだろう。以前アイリーのご両親が着けていたものによく似ている。 「君、名前は」 「……」 「俺はダイスケ」 「……」 ムスッとして口を開かない。

2022-09-22 23:09:15
ヨコシマくん @QUIZcat

代わりにお腹が空腹を主張して、ぐーっと鳴った。 「お腹空いてるの?」 「……3日、何も食べてない」 痩せ細るわけだ。 「すぐ食べられるもの……これしかないけど」 買い置きのカロリーブロック食料品を差し出した。猫はそれを袋ごとそのまま口に含んで、顔をしかめた。

2022-09-22 23:09:39
ヨコシマくん @QUIZcat

「袋、開けてあげるよ」 袋を開けて中身をあげると、少し匂いを嗅いでからガリガリと食べだした。カスが飛び散って行儀が悪い。 「ちょっと待ってろ」 簡単に肉に火を通し、味付けをして皿で出してやったら、声を殺して泣き出した。 「オレ、まともなメシ食ったの……何年ぶりだろう……」

2022-09-22 23:10:02
ヨコシマくん @QUIZcat

「君、一体何なんだ? ラビノイドでもないし、宇宙人か?」 「……種族はフェリン。惑星マオからきた」 「名前は?」 「……シャオリン。リンでいい」 「リンくん。ご飯食べたら、シャワー貸してあげるから、体洗っておいで」 「……体も洗っていいのか?」 「うん、ひどい汚れだよ。毛並みバサバサ」

2022-09-22 23:10:45
ヨコシマくん @QUIZcat

「お湯使っていいのか?」 「水で洗えとは言わないよ、もう寒いんだし。シャンプーとボディーソープも、ラビノイド用のやつで良ければ置いてあるから使って」 アイリーが泊まりに来たとき用のやつだけどね。 「……恩に着る」 また声を押し殺して泣き出した。よっぽどひどい生活をしてたらしい。

2022-09-22 23:11:08
ヨコシマくん @QUIZcat

シャワーを浴びさせて、服とタオルを貸してやった。濡れて張り付いた毛のせいでさっきより痩せ細って見える。ガリガリだ。 「お湯で体を洗うなんて、オレの星にいた時でもやったことねーよ」 タオルが、猫っ毛まみれだ。後で粘着コロコロしなくては。 「ドライヤー、乾かしてあげるからおいで」

2022-09-22 23:11:29
ヨコシマくん @QUIZcat

「いいよ! それくらい自分でできらぁ!」 「……普段、体洗うのどうしてたの」 「近くに水路があるからそこで」 「あー、あの川か……え、家は?」 「ない」 浮浪者……。 「ご飯は!?」 「ラビノイドから奪って食べてた」 「この辺で多発してた強盗事件、犯人は君だな?」

2022-09-22 23:11:51
ヨコシマくん @QUIZcat

「そうだよ……なぁ、警察には言うなよ?」 「それは君の話を聞いてから決める」 "ラビノイドに殺される"。 俺の知る限り、ラビノイドは温厚で平和的な種族だ。事件を起こしたなんて聞いたことがない。少なくとも外でやりまくったとか不倫したとか性風紀以外の事件は、ない。むしろ暴力を受ける側だ。

2022-09-22 23:12:13
ヨコシマくん @QUIZcat

このフェリンとか言う宇宙人、どういうわけかそのラビノイドに異常な恐怖心を抱いている。 侵略者という単語も聴き逃がせない。 「全部話せ。ラビノイドについて知ってること全部」 「……オレの星は、ラビノイドに侵略されたんだ。今は、第九ラビリアって呼ばれてる」 リンはポツポツと語り始めた。

2022-09-22 23:12:31
ヨコシマくん @QUIZcat

ーー数十年前に遡る。 惑星マオはフェリン達が住む、豊かで科学技術の発展した星だった。 ある日、宇宙からラビノイドが飛来し、友好を求めてきた。ラビノイドはフェリン達とすぐ仲良くなり、共同で研究を進めたり、星の発展に力を注いできた。

2022-09-22 23:12:50
ヨコシマくん @QUIZcat

ラビノイドはフェリンと交わり、またラビノイドを生む。異種族間の恋愛はまたたく間に広がった。 ……気付いた時には遅かった。ラビノイドは数十年のうちにあっという間に増え、いつの間にかフェリンの人口を追い越した。 フェリン達は困った。人口問題を解決するべく、ラビノイドに協力を申し出た。

2022-09-22 23:13:13
ヨコシマくん @QUIZcat

ラビノイドの答えは、拒絶。 それどころか、残り少なくなったフェリン達へ軍事的に圧力を加え始めた。 フェリンには逆らうだけの人数も力もない。 ラビノイドはフェリンを奴隷化した。労働力として使い捨て、気が向いた時に性奴隷としておもちゃにする。

2022-09-22 23:13:32
ヨコシマくん @QUIZcat

そうして、何世代もの間、ラビノイドはフェリンを飼い殺しにしている。 「……オレが生まれたときには、もうフェリンは奴隷だった。オレは、父ちゃんに逃されたんだ。輸送船の荷物にこっそり紛れて。どこの星に行っても大丈夫なように、翻訳機だけ持たされて……」 「……その翻訳機も、盗んだの?」

2022-09-22 23:13:57
ヨコシマくん @QUIZcat

「違う! これはもともとオレたちの星の技術だ! 父ちゃんが言ってた! じいちゃんの代からずっと言語学の研究をしてきたって! どんな星の誰とでも仲良くなれるように、翻訳機を作ったって! ラビノイドが来たときはついに研究が役に立つって喜んで……」 声がどんどん小さくなって震えていく。

2022-09-22 23:14:24
ヨコシマくん @QUIZcat

「ラビノイドが、奪ったんだ。研究の結果も技術も全部……」 「それで、どうやって地球に?」 「地球行きの宇宙船の荷物に紛れた……そこから、適当なトラックに乗って空港からここまで来た。その間、ずっと翻訳機に地球の言葉を学習させてた」 「学習……翻訳機って、そうやって使うの?」

2022-09-22 23:14:45
ヨコシマくん @QUIZcat

「すげーだろ。AIが自動で星の言葉を収集して、一週間あれば話せるようになるんだ。国語辞書があればもっと早いぜ!」 「なるほどね。それを使って助けを求められなかったの?」 「地球だって、もうラビノイドが手を伸ばしてるだろ? まだ来て日は浅いみたいだけど……」 「まぁ、そうだね」

2022-09-22 23:15:03
ヨコシマくん @QUIZcat

「……ラビノイドに見つかったら、マオに連れ戻されちまうじゃねーか。そしたら、脱走者として厳しく処罰される。きっと見せしめに殺される」 「ラビノイド、そんな凶暴なの……」

2022-09-22 23:15:33
ヨコシマくん @QUIZcat

「今はメスしかいないから分かんねーかもしれねーけど……オスはすげー強いんだ。フェリンの女の子たちも、大人になったらすぐアイツらに慰み者にされちまう……時には、子供まで……」 ラビノイド男性は確かにゴツいし、軍隊にも所属経験があると聞いた。なんだか想像できてしまう。

2022-09-22 23:15:52
ヨコシマくん @QUIZcat

大体分かった。警察に引き渡したら、宇宙人ということで扱いはラビノイドに任されるだろう。確実に星に連れ戻される。 待っているのは地獄の日々だ。警察には任せられない。 かと言ってこのまま日本で追い剥ぎを続けるのも限界がある。

2022-09-22 23:16:20
ヨコシマくん @QUIZcat

たまたま捕まえたのが俺だから今こうしているが、そのまま突き出されてしまう可能性だってあったのだ。時間の問題だろう。 「頼む、数日でいい。匿ってくれ。その間は掃除でも洗濯でも何でもやる」 「……確かに、ずっと匿い続けるのは難しいな」

2022-09-22 23:16:47
ヨコシマくん @QUIZcat

経済的にも大変だし、何よりアイリーが泊まりに来るのだ。 彼とラビノイドを会わせるのは、まずい気がする。どこから話が漏れるかわからない。 「わかった、しばらくここにいていいよ」 「ありがとう!」 「その代わり、約束してほしい」 「なんだよ」 「もう二度と、追い剥ぎなんてしないでくれ」

2022-09-22 23:17:14
ヨコシマくん @QUIZcat

「え……」 「泥棒は良くない」 「なんでだよ! ラビノイドはオレたちから何もかも奪ったんだ! これくらい取り返して悪いかよ!」 「地球にいるのは、君から星を奪ったラビノイドとは違う」 「そうだけど! ……そうだけど」 「泥棒しないなら、警察にも言わない。約束してくれ」

2022-09-22 23:17:42
ヨコシマくん @QUIZcat

「……」 リンは、なにか言いたそうに口をパクパク開いて、諦めたように肩を落とした。 「分かったよ」 「そしたら、俺達は友達だ」 「え?」 「ラビノイドだって受け入れたんだ、宇宙人の一人や二人、今更増えたって変わらないよ」 「友達……」

2022-09-22 23:18:06