散文

書き散らした子達のまとめ。
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@arimaariha

ばいばいさよなら 君の声遠いよ 深い海の底で君は待っていてくれてる? 細い身体が溶けてしまわぬように、そっと躯を抱いた 突き立てた青い幻が君を遠退かせる 瞼の奥で煌めく君の瞳だけを見て、世界を変えるよ 君の望んだ世界にするよ だから会いにきてください、僕からそこは余りにも遠いんだ

2011-10-02 18:57:42
@arimaariha

【めも】どういうわけか、拓也は俺を好いているらしい。それも友情としてではなく。それを打ち明ける時の拓也の顔はとんでもなく情けなくて今でも笑ってしまう。 馬鹿な男。なんでよりによって俺なんだ。哀れな男。騙されやすくて情に厚い、俺なんかに引っ掛かった愚かで愛しい俺の『親友』。

2011-08-31 17:23:44
@arimaariha

雨がつんざくように外の世界を穿つ。深い靄と重い空。モノクロの外界に浸蝕されて俺達まで仄暗い。それが俺には心地好くお前にとっては重苦しいんだ、そうだろ。窓ガラスに手をつき外を見る拓也の背中に視線だけで問う。その背中は振り返らない。苦笑する俺に気付きもしない。だからお前は鈍感なんだ。

2011-10-01 23:12:30
@arimaariha

魔神を想う聖職者がおりました。彼らは愛し合っておりました。世界は彼らを赦しませんでした。聖職者は愛を産み落として死にました。魔神は姿を消しました。彼らを追い詰めた俺は、聖職者の愛を抱きながら十字架を背負っていました。今日で物語はお仕舞い。なぁサタン、一緒にユリの所、行こうぜ。

2011-10-01 09:39:14
@arimaariha

笑顔は少し小首を傾げて。座るときは足先まで揃えてしとやかに。カップの持つ手は両手で、指先に近く持つ。アミは昨日読んだ本の内容を反芻しながら、カウンターの向こうにいる檜山を見た。沸き立つコーヒーサイフォンを眺める彼に、視線をぶつける。まず視線を取り戻す所からと、アミはそう決意した。

2011-09-29 01:49:52
@arimaariha

祇凰は訝しげになごむを見上げた。椅子に座らされた彼は、膝の上に感じる重みで、身動きを許されていないことを知る。「僕だってたまには見下ろしてみたいんだよ」不機嫌そうになごむは言い放った。祇凰は一度瞬きをして、くつりと苦笑した。「なに笑ってるの、」その口、塞ぐよ?祇凰は目を逸らした。

2011-09-28 00:43:32
@arimaariha

ジョーカーのメンテナンスは欠かさない。それが仙道のある種ポリシーであった。ジョーカーのパーツ一つ一つを丹念に磨くと、バトルの砂煙でくすんだボディが鮮やかな光沢を放つ。仙道はほぅと溜め息をついた。肢体の艶かしさに仙道は心底からの恍惚を感じる。その足先に口付けて、CCMを取り出した。

2011-09-28 00:32:53
@arimaariha

レックス、レックス。表情を変え声音を変え、バンは何度も檜山を呼んだ。信頼を、思慕を憧憬を、隠そうともせぬその無邪気さに檜山は困惑する。何よりも、呼ばれる度に温められていく自分の体温に酷く驚いた。「レックス!」呼ぶな、どうにかなっちまう。「好きだ!」その前にこいつが、どうかしてた。

2011-09-28 00:15:46
@arimaariha

伊達は面倒だ。一度不機嫌になると手がつけられぬ。今もそうだ、一日中閨から出さないと言って聞かぬ。「伊達、我に貴様の相手をしている暇など無いのだ。長曽我部の」軍が、と続く筈の言葉は喉奥に押し戻される。己が唇に噛み付く伊達のそれは酷く熱かった。「shut up」やはり、伊達は面倒だ。

2011-09-28 00:06:10
@arimaariha

獅郎は悲しく眉をひそめた。ごめんな、雪男。呟きは音にならず霧散する。お前の殻を破ろうとして、かえって殻に籠らせちまった。約束で、がんじがらめにしちまった。ごめんな、雪男。ごめんなぁ。震える声は彼には届かないのだろう。獅郎はそれをわかっていてそれでも言葉を紡ぐ。涙が、一筋落ちた。

2011-09-25 21:44:26
@arimaariha

彼の名を呼ぶことは滅多にない。博士、と呼んでいた。彼に特別な感情を抱いていると思われるのは御免だし、第一、男に名を呼ばれて嬉しいわけがない。「蓮」 肩が跳ねた。聞き慣れた声、久しく聞かぬ呼び名。振り向くと彼は悪戯っぽく笑んだ。「驚いただろう」今俺の顔は、赤くなっていないだろうか。

2011-09-24 20:08:31
@arimaariha

檜山君。呼んで手を差し出せば、コーヒーカップが置かれた。漆黒にちらと見える白は私の好みの分量で。それを一口啜りもう一度手を出せば、試験資料が渡された。求めていた数式はもう、目の前に開いてある。私はもう彼抜きでは生きてゆかれないかもしれないな。数式を打ち込みながら、密かに苦笑した。

2011-09-24 20:22:35
@arimaariha

飴玉と、アップルパイ。マフィン、キャラメル、チョコレイト。アッサムに薔薇のジャムを浮かべて、落とす角砂糖はみっつ。マカロンを口に放り込んで、クレームブリュレを一掬い。甘い至福のティータイム。しかし、彼がいない空虚には抗いがたく甘味は砂に変わる。嗚呼獅郎、何故今貴方はここにいない。

2011-09-24 19:19:17
@arimaariha

人間と悪魔は所詮相入れない。生きている世界が違う、見ているものが違う。そう吐き捨てる獅郎の後ろ姿が、なんだか怖がりな猫のように見えた。愛されるのが怖くて威嚇する、天の邪鬼で孤独な男。可哀想なくらい脆くて強がりな男。ほら、振り返れよ獅郎。魔神様が、抱き締めてあげるから。

2011-09-24 18:54:07
@arimaariha

サタン、魔神の名前。忌むべき名前。物質界の敵。その名に愛しさを籠めることは許されない。だから俺は奴の名に嫌悪を乗せる。心中で暴れる想いに蓋をして、ただサタンと名を呼ぶ。鏡に現れる自分の写し身に、精一杯の憎しみをくれてやる。聖職者が愛するべきは、主ただ一人なのだから。

2011-09-23 14:01:21
@arimaariha

拓也の体温は高い。抱き締められると、冷えやすいこの身体にじわりと熱が伝った。檜山、と耳元で吐息が熱い。さらさらと髪を撫でる指がくすぐったく首筋を粟立たせた。心地好い感触に眼が細まる。身体が温まるごとに胸の辺りに冷やとしたものが溜まっていく。拓也の温度は、俺が触れるには熱すぎた。

2011-09-23 13:44:07
@arimaariha

藤本獅郎。紙面に綴られた彼の名前をなぞる。名の横に添えられた聖騎士の文字。その遥か下に綴られた自分の名前を見て、自嘲が浮かぶ。彼はもう追いかけられない高みに登ってしまった。金箔の貼られた無機質な文字は彼と自分の差を浮き彫りにしている。瞼の裏の彼の姿すら、遠くなったような気がした。

2011-09-23 12:56:30
@arimaariha

頭でっかちな生命が肚のなかで蠢く。頭蓋の隙間にみっしりと脳が詰め込まれている。青白い人形は海の汚泥を啜り、入水するように飛び込む。女の張りつめた腹の奥にそれを想像し背筋が粟立った。触れてみろと言われて、震える指先で薄い肌越しのそれに触れる。トイレまで駆けていって、俺は吐いた。

2011-10-02 21:37:54
@arimaariha

とぅるるる。つーつーとんとん。ぴりりり。ぴりりり。電気信号が音波が文字の羅列が。飛び交い。じりりり。じりりり。チクタクチクタク。時間は一秒ごと音を立てて。過ぎ去り。青い猫が啼いて、ごとん。首、落としましたよ、お嬢さん。降り積もる思い出のシャッターの中で俺と奴の写真は、既にセピア。

2011-10-03 14:19:12
@arimaariha

せんせいは可愛い。ちらりとこっちを見て、直ぐに視線を逸らし聖書に目を落とす。そうやって一頁も進まない読書の合間、また視線をこっちに遣る。それを無視してぺらりと頁を捲れば、目が動く頻度は鰻登り。頃合いを見て抱き締めると、遅ぇよと呟かれた。耳が紅い。もう一度言うが、せんせいは可愛い。

2011-10-03 10:21:40
@arimaariha

聞き覚えのある声に振り返れば、そこにはかつての教え子の姿。「お久し振りですね」と笑う奴に非常な違和感を覚えた。「ああ、お久し振りだな。授業前にいつもチョークを叩き折ってくれた長友くん」そう言えば奴は苦笑して頭を掻く。「若気の至りですよ、許してください」どうだかな、と鼻を鳴らした。

2011-10-03 09:50:27
@arimaariha

神父さんは両の拳を差し出した。「選べ」少し迷って、右を選ぶ。手がゆっくり開いて、何もなかった。「これが」何、と言う前に指先が額に叩き込まれる。星が飛ぶほど小気味いい音がした。「お菓子選べなかったからな、悪戯だ。」神父さんは左に入っていた飴玉を口に放り込んで、けらけらと笑った。

2011-10-05 23:08:59
@arimaariha

『トリックオアトリートぉ?なんだそりゃ』訝しげな声、鏡から。「ハロウィンだよ、知らねぇの」得心したように頷く姿見の中の自分。『あれまだあったのか。でも俺は菓子よりお前が欲し』銃弾を三発お見舞い。「俺からの熱ーいお菓子だ、受け取れ糞魔神」ひび割れた自分がホールドアップ。ざまあみろ。

2011-10-05 22:52:55
@arimaariha

今日のダイキはなんだかご機嫌だ。ジョーカーもつられて嬉しくなる。ジョーカーの出番があったら、いっぱいいっぱい頑張ろうと、思った。ダイキがオトコノコたちに声をかける。「トリックオアトリート。有り金寄越さないならLBXバトル、だ」ジョーカーの出番は、すぐそこにあったみたい。

2011-10-05 22:42:06
@arimaariha

「高倉兄ー、ハロウィンだしナンパ行こうぜ」嗚呼こいつは阿呆なんだな、そう思った。「その冷めた目いいな、グッとくる」変態か。生憎用事があるんでね、じゃあサヨナラ。「ハロウィンパーティってさ、結構金かかるんじゃねぇ?」振り返ると無邪気にいけすかない笑顔。「な?」ああくそ、死んじまえ。

2011-10-05 22:31:45