- suzumeninja
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秋の夜長のとくべつ読み切り【痛快ファンタジー活劇 ご存知!エルフ三人娘 (実況感想ハッシュタグは #エルフ三人娘 だと後で拾えるので嬉しい)
2022-10-29 21:30:20「そろそろ次の街だけど、本当にこんなところ寄っていくのか?」 雲ひとつ無い空が高い、晴れた秋の街道を歩く三人組。先頭を歩くのは、胸にサラシを巻いて竹の軽鎧に身を包む、ギザギザ歯で長身のバンブーエルフ、メンマだ。
2022-10-29 21:31:42「寄ってく寄ってく!だって、古代マンホールエルフの遺跡だよ!?」 メンマの後ろに続くのは、ボサボサの金髪に簡素な貫頭衣でニコニコ笑う、クソバカエルフのハカセ。クソバカエルフなんて名前だが、別名”森の賢者”とも呼ばれる知的好奇心豊富なエルフだ。
2022-10-29 21:32:56「ポテチはポテトが収穫できれば文句ないゆ」 最後尾を歩くのは、ミスリル銀の保管箱を背負う、ズングリとしたポテサラエルフのポテチ。顎の力が弱く舌っ足らずで、ポテトサラダを主食とするエルフだ。
2022-10-29 21:33:42「まあ、ハカセとポテチがそう言うんだったら、仕方ねえな」 小難しいことが苦手なメンマは遺跡にはあまり興味がなかった。しかし、時には苦手なことや興味が無いことに挑戦するというのも、エルフ旅の重要な目的だ。
2022-10-29 21:35:14ヒューマンならざる旅エルフの三人は、エルフがヒューマンの良き隣人であることを知らしめるために旅をする。ゆく先々でヒューマンを助けることでお互いを知り、エルフの森焼きを防ぐという大役があるのだ。そして、時には困難な事件に立ち向かわなければならない。
2022-10-29 21:36:03「よしよし!それじゃー元気に行ってみよー!」 いつの間にか先頭に立っていたハカセが街の方向を指さして元気に歩く。こうして三人は遺跡の街に向かったのであった。
2022-10-29 21:37:09(こちら側の時空のあらすじ:原子力江戸歴XXXX年。先の原子力奉行、吉貝狂四郎は不慮の事故によって命を落とす。だが、時の平賀アトミック源内と杉田バイオ玄白の手によって体内に小型原子炉を埋め込まれて息を吹き返す。かくして、夜な夜な世が裁けぬ悪を裁く発狂頭巾アトミックとなったのだ。)
2022-10-29 21:40:42「源内先生、今日は一体何が?」 原子力江戸城地下奥深くの研究室。青いの核御紋が淡く光るフスマを開けて、同心の吉貝と、相棒のハチが入室する。 「うむ、二人に急ぎ、頼みたいことがあってのう」 二人を出迎えるのは、白髪メガネのジジイ、アトミック奉行の平賀アトミック源内だ。
2022-10-29 21:42:32「お主ら、伊能ワンダリング忠敬は知っておるだろう」 平賀アトミック源内の問に、吉貝は黙ってうなずく。 「ええと、そのう、どなたでしたっけ?」 ハチは覚えがないのか、申し訳無さそうに問い返す。
2022-10-29 21:44:21「ハハハ。ハチよ、お主も同心の端くれ。政(まつりごと)に係わる奉行くらい、覚えてもらわねば困るぞ」 吉貝は一言釘を差し、更に説明を続ける。 「アトミック日ノ本では、バイオ生物やアトミック影響で頻繁に地形が変わるのは知っておるだろう」 「へえ」
2022-10-29 21:47:03>バイオ生物やアトミック影響で頻繁に地形が変わるのは知っておるだろう 地形を変えるバイオ生物ってほぼ怪獣レベルの脅威… #エルフ三人娘
2022-10-30 03:16:40「そこで常に各地を放浪し、地形の変化を記録に届けるのが放浪奉行、伊能ワンダリング忠敬先生というわけだ」 「へぇ。しかし、諸国漫遊が仕事ってのは、羨ましいもんですね」 ハチは気楽そうに返事をする。 「いや、そのような気楽な旅ではないぞ」 「ってぇ言いますと?」
2022-10-29 21:49:29「放浪奉行の赴く先は人里ばかりではない。未開の森林や断崖絶壁の海岸、バイオ生物の住む危険地帯。そのような場所も放浪するのだ」 「そりゃあ、大変なお仕事じゃないですか!」 「そうよ。なにより、強くなければ務まらぬ仕事よ」 「そりゃあご立派だ!」 吉貝の話を聞き、ハチは関心した。
2022-10-29 21:52:02「ガハハ、ハチの勉強になったところで本題じゃが……」 平賀アトミック源内は一呼吸置き、場の空気を引き締め直して続ける。 「今日、原子力江戸に返ってくるはずだった伊能ワンダリング忠敬の生体反応が途絶えたのじゃ」 平賀アトミック源内は原子力演算器を操作し、画面に地図を映す。
2022-10-29 21:54:23反応が消えた場所が指し示しているのは、山奥の古い神社だ。とはいえ、原子力江戸から歩いて半日程度。危険なバイオ生物が出る場所ではない。 「で、でも、伊能先生もお強いんでしょう?まさかその辺りのバイオ生物にやらちまったなんてことは……」 怯えるハチ。
2022-10-29 21:57:06「イヤァ、そうとも限らないんだよネェ」 いつの間にか三人の後ろに立っていた、バイオ奉行の杉田バイオ玄白が話す。 「何日か前に、獣頭の人斬り浪人を見たっていう情報があってネェ……」 彼女は四本の腕で原子力タブレットを二つ同時に操作しながら説明する。
2022-10-29 22:00:01「獣頭の人斬りですって!?旦那、もしかしたら……」 「うむ。急がねばなるまい。杉田先生、その獣頭の人斬りの人相は?」 「残念だけど、まだ無いンだよ。だけど、犬や猫みたく、耳は尖ってるんじゃないかね」 「なるほど。心得た」
2022-10-29 22:03:23「よし、行くぞ、ハチ!」 「ヘイ!」 吉貝とハチは、平賀アトミック源内と杉田バイオ玄白に見送られ、早速現場に向かった。
2022-10-29 22:04:49……それから半日ほど経過し、吉貝とハチは現場の神社に到着した。 「いやに霧が濃いですねえ……」 「もう秋だというのに、なにかおかしい。ハチ、十分に気をつけろよ」 「へい……」 二人は周囲を警戒しながら、神社周辺を探索する。しかし、その警戒が逆に仇となり、足元の異変に気づけなかった。
2022-10-29 22:07:46