「農学部に行きたくなる」必要なのに利用できない?よくわかる『リン循環』の話
- ririri___ruru
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これこれ.湖沼や沿岸で無酸素状態が続くと湖底や海底の泥から燐が溶出して,ちょっとした湧昇で表層に昇ってきて,植物プランクンが大繁茂して"赤潮"になってしまう. 水田のグライは水通しの悪い湖底の泥と似たような青黒い色(水通しがよく酸化的だと黄色っぽい) twitter.com/rei_software/s…
2022-10-30 23:48:21グライ土壌は補足しておこう。 土の中には動植物の死骸など有機物が含まれてる。微生物や化学的作用で徐々に酸化されてCO2になり、大気に放出されるんだが、 水捌けの悪い土地やあえて湛水させた土地だと通気性が悪く、酸化するための酸素が足りなくなる。
2022-10-31 07:23:05酸素が足りないので、土に含まれてる三価の鉄Fe3+を二価のFe2+に還元することで、有機物を酸化し始める。 Fe3+はまぁ大体赤い。土が茶色なのは半分くらいはこのFe3+のせい。 ところが、Fe2+はおおよそ青い。 なので、還元が進むと茶色い土が段々と青くなっていく。
2022-10-31 07:23:06こうしてできるのがグライ土壌。 青っぽいのが特徴。 田んぼを掘るとよく出てくる青くて臭い土がこれ。 鉄が還元すると、リン酸を手放しやすくなるので、リンは豊富。
2022-10-31 07:23:07リンは豊富だけど… 還元作用が強すぎると根が傷むから植物は育たない。 水田なら水を減らせば酸素が供給されるので、イネの成長や気候、土壌に合わせて上手く調節する。 パラメータ多すぎて想像するだけでつらい。 もう魔法の一種だと思う。
2022-10-31 07:32:31グライ土壌がどのくらいリンを出すのかというと。 例えばこれなんかだと、籾による持ち出し分だけ与えてれば良いと言ってる。 affrc.maff.go.jp/docs/project/g…
2022-10-31 07:40:08どうも、リンの話題はこの辺りが始まりらしい。 動植物がリンを持ち上げるってのは誤差の範囲だし、 水が水田に栄養を運ぶっていうのもリンに関しては微妙だけど、 twitter.com/ShinShinohara/…
2022-10-31 07:44:31水田というのは非常に優秀で、肥料を与えなくても水を引き入れるだけで4割くらいの収量はあるという。これは、山で溶けだした養分が水の形で田んぼに供給されるから。しかしもし、山が養分欠乏になったとしたら、水田のこうした生産性を将来も維持できるのだろうか?
2022-10-28 17:42:39上で出したベイスン灌漑やコルマタージュ農法でわかるように。 雨季や洪水の折りに、「水が土を運ぶ」というのは農業に取って、特にリン酸に関してはとても大切。 日本でも川の氾濫の後は豊作になったし、治水が進んで洪水が起きなくなってからは人肥や堆肥を使い、定期的に客土してきた。
2022-10-31 07:50:44こうやっていろいろ考えると。 リン酸というのは当に「土の恵み」なのだなぁと思う。ファンタジー的にいうなら「土のマナ」か。 水には溶けず、岩や土に眠ってる。 条件を揃えると少しずつ溶けだして、植物を育てる。 最後は海に流れ、そこで再び岩に封じ込められる。
2022-10-31 08:04:32こちらで沿岸の富栄養化についてツイートしたので、 家庭用の洗剤とリン酸についても書いておこうと思う。 twitter.com/rei_software/s… 食器用や洗濯用の洗剤は、界面活性剤が表面張力を下げていろいろな物質を水に溶かせるようにすることで洗浄してる。
2022-10-31 13:59:12うーん。 これこそ「自分の経験」で判断した結果、おかしな結論になっているやつではないだろうか? 確かに、日本沿岸のバイオマスは70年代、80年代と比較して圧倒的に減っている。 だが、その実際は字面が示すイメージとは大きく違う。 当時、日本沿岸は排水による富栄養化で酷いことになってた。 twitter.com/ShinShinohara/…
2022-10-31 12:48:00ところが、カルシウムやマグネシウムなどが多い硬水だと、界面活性剤がくっついちゃって、機能しなくなる。 そこで、「すぐに不溶性塩を作る」性質があるリン酸を混ぜることにした。
2022-10-31 14:00:58スレの上の方にあるように、リン酸はカルシウムやマグネシウムとくっついて不溶性になる。 洗剤よりも強く結びつくので、洗剤の能力が落ちない。 同時に、鉄やアルミとも結合するので、洗濯物への着色を防げる。 さらに、天然の物なので人や動植物へ直接の毒性がない。 いいことづくめ。
2022-10-31 14:02:45なので、1970年代くらいまでは大量に利用され、下水処理も甘かったので、そのまま川に流されていた。 上で書いたように、本来リン酸は土にあって、河川の水には(ほぼ)含まれていない。 結果、流れ着いた先の湖沼や海が異常に富栄養化して、赤潮が発生したり匂いが出たり、環境を破壊しはじめた。
2022-10-31 14:06:19海が破壊され始め、リンが原因だとわかると、一般市民もリンの少ない洗剤を使うようになり、洗剤メーカーもリンの使用を減らし、80年代には無リンを達成する。 これが現代のSDGsまでつながる環境問題の先駆けの一つ。 まぁ実際には、洗剤以外の要因もあって、洗剤の影響は1割程度だったらしいが。
2022-10-31 14:15:27皆の意識の高まりに押され、 洗剤が無リンになり、 下水処理場も普及し、 富栄養化対策の法規が作られ、 河川の殆どリン酸を含まない本来の状態に戻り、赤潮も減り、海の腐敗臭も減った。イマココ。
2022-10-31 14:19:45なるほど...
すごくわかりやすいし実に興味深い twitter.com/rei_software/s…
2022-10-31 15:20:35リン循環の話をメモっておこう。 農学部や教養学部でならう基礎的な話だけど。 リンは自然界ではおおよそリン酸の形で存在してる。 リン酸は土壌のカルシウム、鉄、アルミニウム、マグネシウムなど化合すると水に溶けなくなる。 この「不溶性になりやすさ」がリンの循環の様子を決めてる。
2022-10-30 07:47:11リン循環の話をtweetでまとめてられた方があったので繋げておく。 このあたりの知識はないので今度体系的に学びたい。 twitter.com/rei_software/s…
2022-10-30 11:13:44@rei_software 大変ためになりました。それだけ利用し辛いリンを必須栄養素とする生物がこの惑星で主流なのは何ででしょうね?
2022-10-30 13:59:56この難溶性リン酸をホイホイ溶かして使える作物とか、金属イオンと結合する前に植物の出す有機酸で吸収できる肥料とかあるのもまた面白い。日本は特にアルミニウムの多い火山灰土が多いのも問題でしたね。 海の中間層が貧相な理由に納得した…。 twitter.com/rei_software/s…
2022-10-30 18:07:28