日本美術解剖学会・2011年関西大会レポ (2/3)
- kinoboriyagi
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基調講演3 北川博道 「古脊椎動物研究のための解剖学」
京都大学地質学鉱物学教室教務補佐。
専門は長鼻類(ゾウの仲間)を中心とした新生代の化石哺乳類。
基本的な観察や比較を重点に置き、特に北海道から台湾にかけての
アジア東縁における長鼻類化石の変遷や、骨化石からわかる
古生物の特徴や成長の様子を明らかにすることを目的としている。
化石に残された「最後の叫び」を聴くべく、日々化石と向き合う。
次は「古脊椎動物研究のための解剖学」 北川博道。さあ、美術解剖学会にあるまじき古生物ワールドに突入するぞ。
2011-10-01 13:40:40普通の人が見たらどの部分か、どっちが上で下か分からない。でもよく見れば滑らかだったり真っ直ぐだったり、女性の腰のようなカーブを描いていたりの特徴がある。
2011-10-01 13:50:13使う筋肉によって、同じ部位でも骨の形が変わる。たとえばアシカとモグラの上腕骨。水と土の違いはあるが、いずれも掻く動きに特化している。
2011-10-01 13:51:34解剖の教科書。anatomyと家畜比較解剖学。 断片的な化石の研究には、情報が足りないため、実際に解剖してどこで筋肉が始まるか、どう繋がるかを調べる。 死産した牛の死体で解剖している写真。
2011-10-01 13:53:18一枚一枚筋肉をはいでいき、起始を外し、 停止を残す。アルコールで腐敗を止めようとはするがくっさい。
2011-10-01 13:54:38一つ一つの筋肉がどこで始まり、終わるかを調べる。 そういった資料もあるが、自分でやってみると「本当は違うんじゃないかな」なんてのも出てくる。
2011-10-01 13:55:57骨の形態を左右するものは? 成長変化、雌雄差。 これを極めれば部分しかない化石の骨から年齢や雌雄を判別できるかも知れない。
2011-10-01 13:57:04雌雄のゾウ、ぱっと見は似ているが実は結構雌雄差がある。頭が小さくシャープな印象のオス、お腹がでっぷりとしえ丸い印象のメス。 上腕骨を見て雌雄差を調べる。筋肉のつき方で色々違いがあるらしいよ。
2011-10-01 13:59:43現生のゾウで調べた雌雄差をもとに、化石ゾウの雌雄をしらべる。化石でも筋肉のくっついていたあとは結構分かる。付着面の突起の画像。
2011-10-01 14:01:09現生ゾウの雌雄差と同じ特徴がナウマンゾウでも見られる。肩甲骨の特徴が森林生活に適応していたものと推察される論文に対し、生態ではなく雌雄差を反映していたのではないか、と。
2011-10-01 14:03:33基調講演4 平沢 達矢 「古脊椎動物学研究と復元図・復元模型」
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター(CDB)基礎科学特別研究員.博士(理学).
東京大学・地球惑星科学専攻にて中生代獣脚類における胸郭の形態進化に関する研究で学位を取得後,2010年より理研CDB・形態進化研究グループで羊膜類における体幹部の形態進化に関する進化発生学研究に取り組んでいる.
ニワトリやワニ等の胚発生を研究して形態進化における発生パターンの変化の解明を目指す一方で,世界各地の研究機関で化石標本の研究も継続して展開している.
古脊椎動物学と復元図 平沢達矢 古脊椎動物学とは、現在はいない動物の研究。時間軸をいれて生物を評価する。「単に歴史を記述するだけでなく、進化の原動力を解明するのに貢献できる」
2011-10-01 14:08:12自己紹介。学生時代は地質学の訓練を受け、ゴビ砂漠で恐竜の発掘に参加したことも。発掘された化石がクリーニングされ研究できる状態になるには何年もかかる。世界各地の研究期間に所蔵されている標本を調べる。
2011-10-01 14:10:06恐竜から鳥への進化に注目している。解剖学的アプローチ、さらには発生学的アプローチも。現生では鳥や恐竜に最も近縁なワニの発生を研究している。
2011-10-01 14:11:30ティラノサウルスで肋骨がどの様に関節しているのかを明らかにした論文。解剖学や形態学のように図説が多め。原生動物の骨や解剖学データを化石と比較。
2011-10-01 14:13:52肋骨や胸郭の動きは、酸素を大量に消費する恐竜にとってはひつよう。肋骨の関節のはなしは、恐竜がいかに鳥に進化したかの議論に重要な役割を果たすだろう。
2011-10-01 14:15:15本「恐竜の復元」のために小田さんと骨格図の制作に当たった。小田さんのラフスケッチに朱筆をいれる。アーティストと研究者の共同作業。
2011-10-01 14:16:48