男性が公開の場で女性を売り、値がつけられる。しかも、売っているのは自分の妻。 現代的な視点からすると身の毛もよだつような光景だけど、17世紀から19世紀のイギリスでは比較的よく見られた光景で、かつ、売られる方の妻も悲しむどころか堂々としたものだった。 これが、妻売り。 pic.twitter.com/MsQ8QTzlvt
2022-12-06 20:06:50大昔は離婚が大変だった
17世紀、イギリスで普通の人達が離婚をするのは大変困難だった。離婚法は厳しく、手間と費用が掛かり、庶民にとって離婚はとてもハードルが高い行為となる。 しかし元は他人の男と女。上手くいかない時だってそれはある。こうして、代替の離婚手段として妻売りが始まる。
2022-12-06 20:09:04妻売りはまるで奴隷や牛の売買を思わせる公開の場でのオークション形式となる。法的な離婚ではないので、売買する当人達、売られる妻、そして周囲に『彼女は売られた』と言う合意が形成されねばならなかった。 ために、オークションの形式だけど、実際には事前に話がついてて、買う人は決まってた。
2022-12-06 20:11:41『離婚』の事由は現代と同じく妻側にある事もあり、夫側にある事もあった。たとえばベッドで妻が見知らぬ男と寝てた事に気づいた夫が激怒し、妻の買取りを命じ、それを男が受け入れた、と言うこともある。 姦通の罪で追い上げられるより、そちらの方が安上がりだった。
2022-12-06 20:14:02逆に夫側に責任がある場合、妻は法的には不利な立場だった。妻のふしだらを咎める法はあるけど、夫のそれを咎める法はない。これで離婚したいと思うなら売り飛ばされるしかなかった 故に、売買の段になって怖気付く夫を妻が怒鳴りつけることも。 「さっさと売りなさい! アンタとはもうゴメンよ!」
2022-12-06 20:16:44法の不備を補う合理的なやり方
無論この離婚は法的な意味での離婚ではなく、法的には新しい夫に買われた妻は依然として前の夫の妻だった。しかし社会的合意としては紛れもなく離婚として捉えられてたのね。 ナポレオン戦争中、イギリス軍は数多の戦死者を出すけど、戦死の誤報も飛び交った。当時の女性は一人では生きられない。
2022-12-06 20:18:56夫が戦死したらたちまち再婚しないとならないけど、どっこい生きてたと言うケースも頻発する。 この際、関係を整理するために大量の妻売りが発生したと言う。 見た目にはとんでもない光景だけど、実のところ合理的に機能したのね。不備のある法に対する民衆のバランス感覚の発揮と言えるかも。
2022-12-06 20:20:55妻売りはなんと20世紀まで続けられたと言うけど、1857年、離婚がそれまでより簡単になるとほぼ終息する。19世紀の初めごろには流石にその光景は悪趣味なものとも捉えられていた。 一見酷い光景に見えても、それは過度に道徳的で現実に即さない法に対する逃げ道だったのね。
2022-12-06 20:23:31@elizabeth_munh 1857年に終息するようになったのであれば、悪趣味なものと捉えられるようになるのは20世紀初頭では? つい興味が湧いたので、揚げ足取りのような質問をお許しください
2022-12-06 21:56:00@ponanz3 悪趣味なものと捉え出したが故に離婚法が改正され、必要性が乏しくなったので以後終息に向かい、20世紀初頭までは残滓が残った、って感じね。
2022-12-06 21:58:32@elizabeth_munh なるほど 法改正がなされたから悪趣味なものとして残るのではなく、悪趣味なものと受け取られるようになったため法改正がなされたと ありがとうございます♪
2022-12-06 22:03:04「形式的になされる」妻売り
酷いと思われる事も、表面的だけでなく背景を調べてる必要があるのか。 twitter.com/elizabeth_munh…
2022-12-06 20:52:10当人たちの合意形成がなされた後、事実上の離婚をするため「形式的になされる」妻売り。すごく合理的。面白い。 twitter.com/elizabeth_munh…
2022-12-06 21:23:45有責主義(&離婚原因を求める側が立証)から破綻主義への移行、これ現代までつづいてるからなあイングランドとウェールズ… twitter.com/elizabeth_munh…
2022-12-06 20:46:16『二人はもう夫婦ではないと社会的に納得させるための手段』が奴隷売買と同じ様相を呈するとは… twitter.com/elizabeth_munh…
2022-12-06 21:47:19