誤訳に対する向き合い方について。

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石塚良次 @R__Ishizuka

ピケティの山形氏による訳が、英語版からの訳であることを問題視しているひとがいるようだが、なんで今さらそんなことをと思う。大変優れた訳であり、助けられた。 フランス語の訳者はいくらでもいる、ということだが、私の昔の経験でいえば、フランス語からの訳は、専門外のひとが訳す場合があり、→

2022-12-07 09:11:55
石塚良次 @R__Ishizuka

しばしば語訳に悩まされ、その都度、原著を確認する必要に迫られた。 ピケティの山形訳の場合、重訳であることによる誤訳は見当たらなかったように思う。私としては、asset and liabilityの訳などに不満があったが、フランス語でも同じなので重訳が理由ではない。翻訳が早く出たことがありがたかった。

2022-12-07 09:19:28
石塚良次 @R__Ishizuka

多少知識をひけらかすと、assets and liabilitiesは、仏語ではactifs et passifsであり、ほぼ前編にわたり対で使われている。会計用語であり、BSの左右だ。博覧強記の山形氏もその点には気づかなかったように思われる。

2022-12-07 09:54:29
石塚良次 @R__Ishizuka

今、読み直してみたが、「気づかなかった」というのは、言い過ぎかもしれない。「資産と負債」と正しく訳されている。ただそれが、借方、貸方であることを訳注にでも入れてほしかった、ということだ。読者は気づかなかったのではないか。たとえば、邦訳130頁の3行目。

2022-12-07 10:06:31
石塚良次 @R__Ishizuka

昔のことで記憶が曖昧になってきた。詳細は拙稿の注22)あたりを参照してほしい。senshu-u.repo.nii.ac.jp/?action=reposi…

2022-12-07 10:26:06
石塚良次 @R__Ishizuka

山形訳がでた直後、翻訳に疑問があった箇所について、ツイッターで質問したことがあった。次の版で直す、というような返事をもらったところがあったように記憶している。重訳はだめだ、というひとは、具体的に指摘して直させたらよいと思う。それが文化の発展に寄与する道だ。

2022-12-07 11:57:46
石塚良次 @R__Ishizuka

「じゃあなんでピケティは自分の本をフランス語で書いて刊行して、バルザックを引用して議論してるんですか?」 オースティンも引用しているけれども、文学書という扱いよりも、年金の金額の話ですね。当時の人たちの金銭感覚や年金(国債)についての受け止め方を参照したのだと思います。

2022-12-07 12:06:07
石塚良次 @R__Ishizuka

いずれにせよ、誤訳や不適切な訳があるのであれば、それを具体的に指摘して、直させればよいでしょう。そうであれば、もう少し早いほうがよかったかなとは思いますが、遅くてもやらないよりはよい。

2022-12-07 12:09:03
石塚良次 @R__Ishizuka

バルザックの『ゴリオ爺さん』について言えば、爺さんがパスタ事業での儲けで買ったのが、いわゆるコンソル債だったというようなことは、ある程度、経済に通じていないとピンとこないように思う。やはり、経済に詳しいひとが訳すべき本であり、訳者の選定に誤りははなかったと思う。

2022-12-07 15:00:51