#勝義方便メモ まとめNO.1

川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

26）仏教の行うべき方便は、悟りへのいざないという目的を無視してはならないもので、単なる現実・現世利益的な抜苦与楽、世俗的欲楽の充足についての方便、慈悲・利他行については、余裕があるならば取り組む程度に留め置き、あくまでも第一義としてはならないと考えております。 #勝義方便メモ

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27）基本的に悟りへのいざないという目的のない方便は方便ではないと考えていますが、一応、現実・現世利益的な抜苦与楽という慈悲・利他行もあり得ることから、世俗方便の中における、悟りへのいざないという目的のない方便と今のところ私的には定義しておきたいと考えています。 #勝義方便メモ

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28）次に勝義方便について考える前に、この度の東日本大震災に際しての業果因縁論について考えておく必要もあると思っています。特には、この度の大震災・津波・原発事故は、因果応報・悪因悪果の結果として私たちに下った罰だという天罰論についてであります。 #勝義方便メモ

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29）天罰論に関しては、これまでも【大震災・空と縁起と】として私見考察をかなり進めて参りました。正直、結論としては、天罰論などよりも、もっと仏教の根本的な法理における次元から、この度の震災のことについても考えていく必要があると思っております。 #勝義方便メモ

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30）それは、何も特定の限定された悪因悪果、因果応報としてこの度の震災・津波・原発事故（原発事故は、自業自得の面は少なからずある）が天罰として私たちに下ったということではなくて、もっと根本的な私たちの業と輪廻からこの度のことも捉える必要があると考えています。 #勝義方便メモ

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31）私たちは遙かなる過去世より輪廻する中で、今回のことだけではなく、四苦八苦の苦しみに何度も何度もこれまで会ってきているのであります。私も幾度となく天災、戦争や飢饉、疫病の犠牲となり、または肉親・友・仲間を亡くして、悲しみ苦しみの中を過ごしてきたのであります。 #勝義方便メモ

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32）もちろん、人間道の四苦八苦（生・老・病・死、愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五蘊盛苦）だけではなく、これまで何度も畜生道・餓鬼道・地獄道でも人間道以上の苦しみも味わって輪廻を彷徨い続けてきてしまっています。そして、また業によって輪廻していくこととなります。 #勝義方便メモ

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33）ですから、何も今回の震災・津波・原発事故においての悪因悪果、因果応報、天罰うんぬんなどというよりも、皆、一様に同様の苦しみに何度も何度も会ってきており、またこれから会うことになるだろうし、大なり小なり、遅かれ早かれのことでしかないのであります。 #勝義方便メモ

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34）人間道に輪廻してきた以上は、四苦八苦からは誰も決して逃れられないのであります。再び、輪廻における迷い苦しみを味わいたくないのであれば、輪廻からの解脱を目指し、悟りの世界へといざなわれるように調えていかなければならないのであります。 #勝義方便メモ

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35）これまでの輪廻の中、私たちそれぞれが四苦八苦して流した涙の量はそれぞれ大海に匹敵するほどであります。生まれ出でた時の涙から、老いへの嘆きの涙、病気で苦しんだ時の涙、死に際して流した涙、愛する者、愛するモノ・コトとの別れの悲しみ・苦しみの涙・・ #勝義方便メモ

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36）嫌な憎しむべき者、嫌な憎しむべきモノ・コトに出逢うことでの悔しい苦しみの涙、求めても求めても何らとして満足できずに不満の中を苦しむことでの涙、煩悩・欲望が盛んでなかなか抑えられずにして悪業を重ねてしまうことでの苦しみによる涙・・四苦八苦による涙、涙、涙・・ #勝義方便メモ

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37）私たちは、それぞれいったいどれほどの涙をこれまでの輪廻の中で流し続けてきたのだろうか・・無明（根本的無知）に覆われた闇路を彷徨い続け、深く輪廻の網の中に捕らわれ縛られて、幾度となく繰り返し繰り返し四苦八苦してきたのであります。 #勝義方便メモ

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38）私たちはこの迷い苦しみの輪廻の中に、いったいいつまで住するつもりなのでしょうか・・無始なる過去世からこれでもか、これでもか、と輪廻しては苦しみ続けてきたのではないでしょうか。さあ、もうそろそろいい加減、気付いても良いのではないでしょうか。 #勝義方便メモ

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39）この堅固に縛られた輪廻から解脱できうる機会が巡ることなど、そうあるわけではありません。まさに今こそ、輪廻の最たる原因である無明を排撃するためにも、聞・思・修の実践、善行・徳行・勝行という仏道・菩薩道を歩み、解脱へと向かうことが求められるのであります。 #勝義方便メモ

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40）少し本論から外れてしまっていると思われているかも知れませんが、勝義方便に関してのことにも繋がって参りますので、ご容赦頂けましたらと存じております。まさに勝義方便の目的は無明の排撃について直接に真正面から真摯に取り組むべきであるということであります。 #勝義方便メモ

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41）まず私たちが真にこの度の震災・津波・原発事故に際しても、深く根本的に思惟すべきことは、輪廻の苦しみ、特には人間であるならば人間道の四苦八苦する苦しみからはどのようにしてもいかようにしても決して逃れることはできないということを諦らかに知るべきなのであります。 #勝義方便メモ

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42）そして、何としてもこの輪廻の苦しみ、人間道の四苦八苦する苦しみから逃れたいと心の底から強く強く願うべきであるのです。出離であります。そして、輪廻からの解脱を目指して悟りを求めたいと心の底から強く強く願うべきなのであります。発菩提心であります。 #勝義方便メモ

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43）出離、菩提心を起こし、速やかに仏・法・僧の三宝に帰依し、確かなる師を得て、聞・思・修の実践を始め、八正道、善行・徳行・勝行に精進すること。まず、この度の震災・津波・原発事故に際しても各自取り組むべき、具体的対応・現実的実践とは、上記のこととなります。 #勝義方便メモ

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44）そして、この度の震災・津波・原発事故に際して犠牲となってしまわれた者たちへの御供養を行うことにおいては、各自が仏道に精進する中で積んだ功徳を回向して、どうか輪廻からの解脱を目指して到涅槃への道を歩めれるように御供養申し上げていくことが大切なこととなります。 #勝義方便メモ

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45）もちろん、この度の震災・津波・原発事故に際して犠牲となってしまわれた者たちのみならず、あらゆる迷い苦しみの輪廻の中にある一切の者たちが、やがて到涅槃への道を歩めるように、大慈大悲を発念して、功徳を回向することが求められるのであります。 #勝義方便メモ

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46）「勝義方便として、今回の東日本大震災におけることで、どのような具体的な現実的対応を取るべきであるのか」について、まず仏教に携わる者たちにおいては、犠牲者も含めて遍く一切衆生に対して出離、菩提心を起こさせるように仏説を説き、真に仏道へと導くことであります。 #勝義方便メモ

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47）世俗方便（悟りへのいざないを目的としない）においての現実・現世利益的な抜苦与楽、衣・食・住・医（薬）の充足、必要最低限度の生活保障などについては、政府・議会・民間のしかるべきところにその役割を果たしてもらえるように任せて必要なことを要求するべきであります。 #勝義方便メモ

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48）もちろん、悟りへのいざないを目的としない世俗方便において、仏教に携わる者でも、現実・現世利益的な抜苦与楽、衣・食・住・医（薬）の充足、必要最低限度の生活保障などに取り組む中では、各自の慈悲・利他行としての功徳を積んでいくこととして大切なことではあります。 #勝義方便メモ

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49）しかし、そうであったとしても、各自は、やがてそれは悟りへのいざないを目的として慈悲・利他行の功徳を積んでいるのであるということを忘れてしまってはいけないと考えております。その功徳をやがては勝義方便へ向けて活かしていくことが必要となるのであります。 #勝義方便メモ

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50）また、世俗方便を受ける者においても、助け合い・支え合い・分かち合いのこの縁起なる世界で生かされて生きていることへの感謝・報恩を忘れずに、いずれは自分も慈悲・利他行に取り組めるようにと強く思うことが大切なこととなります。 #勝義方便メモ