海の作り方のご紹介 2 白波編(2019.7)

海面に引き続き、航走波を初めとする白波部分の表現について、私が考えた事や試した事をご紹介します。誰かのお役に立てると嬉しいなぁ。
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鳶色2号@1/350 高雄 @Tobiiro2

出戻った頃の初期作品を見返すと相当恥ずかしいのですが、この頃から説明を始めないと、どう考えてどう試したかの流れが見ていただけないので晒します。😅 説明の都合上船の各部の波に勝手に名前を付けました。当然正式な呼称ではありません。 白波編では特に航走波と舷側波についてご説明します。 pic.twitter.com/dd5CQv9Srj

2019-06-25 19:31:00
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この作品の時に心がけた事。 ・航走波の輪郭は、艦首波からスムーズに繋げる。 ・航走波は外側向きに進む波なので、先端部を高くする。 ・高くするのはパテで表現し、勢いを失った後は塗装での表現で高さは出さない。 ・舷側波は一定の幅で、後への流れを意識してパテで造形。 pic.twitter.com/yVA9MKTgUE

2019-06-25 19:37:52
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舷側波のパテは、海ベースと船体との隙間埋めを兼ねています。 また航走波の輪郭は海ベースの起伏にも合わせ、整合するように心がけました。 塗装は筆塗りで、エナメルの白を使用しています。 海面をラッカーで仕上げており、修正が出来るようにエナメルを使いました。

2019-06-25 19:43:18
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航走波のA-A`部の断面が、下の6を倒した図。こうなってると想像した訳です。(注/大嘘の可能性アリ)で6の書き順のように水は右の棒の端から左上に、そして左下に巻かれつつ外に広がると考えました。そこでなんとなく八の字に白く塗るのではなく、水の向きや波頭の形を意識して形にしてみました。 pic.twitter.com/FmvRBW0FTB

2019-06-26 20:18:57
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航走波は水の抵抗で外に向かう力が減衰し、この作品では艦の長さ2/3程で、6の字の波頭は無くなりました。しかし白濁した海面は、長い時間消えずに後ろへ続いて行きます。2/3までとそれ以降の表現を変えることで、そのあたりも表現したかったんですぅ。うーん意欲はあるが技術が無い(/ω\) ハズカシィ pic.twitter.com/L63DdAaIIr

2019-06-26 20:26:47
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前作でやり切れなかった、航走波波頭の減衰を意識して仕上げた次作です。 高さを減じつつ外に向かう勢いが無くなっていく様に挑戦しました。 波頭は相変わらず海面ベースと同様木工パテですが、せっかく上手くできた形状を仕上げの白塗装で台無しにする事があり、その対策が次の課題となりました。 pic.twitter.com/OLOfrHTi0F

2019-06-27 20:15:27
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またこの作品では動きを出すために、転舵しているシーンを再現しました。 当然航走波は左右非対称となります。 左右をどう描き分ければ本物っぽく見えるのかを、その波が発生したり形が出来る理由から考えた事は、後々色々と生かされました。 (実際にはうぐうぐ唸りながら妄想してただけですが…😝) pic.twitter.com/BoFTczbM23

2019-06-27 20:39:13
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次のこの作品を製作中、仕事で科学実験に使うガラスビーズ(φ0.2~0.3)を知りました。手に取るとそれは白くさらさらしていて、メディウムに混ぜると白波表現に最適な気がして、早速本作で試しました。が上手くいきませんでした。メディウムに混ぜると透明になってしまうのです。 pic.twitter.com/SkKSecGz5S

2019-06-28 20:56:16
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結局ビーズの上から白塗装を行う事で完成にこぎつけました。ただし艦首波の先っちょの奔騰する波や、泡立ったような部分の形状を再現するのにはよい素材だと思えました。表情をコントロールしやすい素材探しが始まりました。 pic.twitter.com/RxRmnA3kqS

2019-06-28 20:58:36
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次のこの作品では、前々作で課題となった波頭の塗装問題を解決すべく、最初から白い素材で波頭を表現したらどうなるかを試しました。 選んだのは入手の楽なタミヤパテ(ホワイト)で、ラッカーシンナーで硬度を調節しつつ使用しました。 つまり手を抜きたかったんですな。😙 pic.twitter.com/4udX4ToS0L

2019-06-29 12:29:24
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結果としてはある程度成功で、作業の手間が減りました。ただ波を表現するためにはどうしても筆で描き込む部分が発生しますので、違う素材を混在させた時にどう色目を揃えるかという問題が起き、それはこの後色々な素材を試す中で避けて通れない課題になりました。 pic.twitter.com/e21DKFS5bg

2019-06-29 12:31:19
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前作での経験を元に、木工パテに白ラッカーを混ぜる事て、色と硬度を調節してみました。ベースで多用している木工パテは、モロモロとした質感がお気に入りで、それを航跡波前縁の逆巻きながら前進する表現に使いたかったのです。結果には満足していますがいかがでしょう? pic.twitter.com/sbidLxiAi5

2019-07-01 18:25:11
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本作では遺されている同型艦の空撮写真を参照できたので、どこにどのように白波が立つかはあまり悩まずに済みました。ただし演出上の海面のうねりはオリジナルなので、そことの整合性は留意しました。また艦首波と航跡波の繋がりには、細心の注意を払いました。実はココ、わりと難しいです。😅 pic.twitter.com/yb0ypWmm7s

2019-07-01 18:30:35
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海外の超リアルな海表現の模型に出会い、衝撃を受けたのはこの頃でした。それらの作品は、みな綿を使った白波表現でした。 丁度島風が発売され、作るなら有名な公試のシーンと決めていましたが、他の駆逐艦と比べ艦首波も航走波も段違いのボリュームで、これは綿を使ってみようとトライした作品です。 pic.twitter.com/r6C06wswFr

2019-07-02 22:56:46
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綿を繊維方向に引っ張ってボリュームを間引きし、グロスポリマーメディウムを接着剤に、埋めていくような感覚で定着させました。塗装での波表現とはあまりに質感が違うため共存できず、すべての波を綿だけで表現するはめになりました。初めて使うのに・・・(泣) pic.twitter.com/XRV1lGdxMA

2019-07-02 23:00:30
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描画では絶対出せない奥深い表現力は、この素材ならではの長所でした。反面欲しい形に整える事や、白から透明までのグラデーションなど、どうすればこの素材をコントロールできるのかは、回数を重ねないと得られないと感じました。

2019-07-02 23:02:35
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水煙に包まれるミサイル艇は、モチーフとなる写真を見た時から再現したい題材でした。 水煙(含 煙突の煙)の再現に、綿以上の素材は思いつきませんでした。またこのシーンなら描画で白波を表現せずに済み、ウォータージェット推進なので、綿を使い分けて色々な表現をする練習になると考えました。 pic.twitter.com/EF8FgJkcOk

2019-07-04 19:59:46
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水煙の部分は海面にだけ接着し、空中は一切何も浸み込ませていません。長く保管すると若干へたるので、展示会などに出す際はその都度形を整えています。水流の部分は繊維の向きをしっかりと揃え、固着させるメディウムが表面に出ないように気を付けました。水流表現に綿は適任のようです。 pic.twitter.com/SQ65Y9iKdt

2019-07-04 20:03:22
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白い波の材料を探していた私が次の作品で使用したのは、タミヤの「ホイップの達人」ミルク❤️でありますっ。 扱いやすいし、塗装のように真っ白だし、薄く塗れば下の色が透過するし、盛りやすいし。 で航走波の先端部のみいつもの木工パテを使用し、それ以外は全部ホイップまみれです。 楽しかったぁ😁 pic.twitter.com/bDdl9s37mD

2019-07-06 20:07:58
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荒れた海を高速で駆け抜け、海中を派手に攪拌しているシーンでは一応アリでした。それぐらいの荒れ方だと波頭も砕けるだろうと思い、その部分には綿を使用しています。 攪拌されて色が変わる部分は、あらかじめ海色に白を混ぜた色で筋状に塗装しましたが、どこにその色を落とすかは結構悩みました。 pic.twitter.com/JBmgiPRLOc

2019-07-06 20:10:20
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次の作品のテーマは「速度をゆっくり」でした。 また素材は、舷側波とそれに連なる艦尾波は綿、航走波は白砂を試しました。 私はフルハルを海に埋めて作るので、スタイロフォームのベースに船体の穴を開けますが、その精度を上げて極力均一の隙間とし、そこに船体長方向に繊維を揃えた綿を埋めました。 pic.twitter.com/h7Zs6rzbTS

2019-07-08 19:08:47
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砂はたまたま仕事絡みで入手出来ましたが、昨年の艦船模型合同展示会で、凄腕の海マイスター滝沢栄太郎氏から、砂時計用の砂が良いと教えて頂きました。 砂はメディウムに混ぜ、筆で海面に置いて行きました。 そして「速度をゆっくり」。 勢いに任せた誤魔化しがきかない分、超大変だと知りました。 pic.twitter.com/fV6rbLr5zb

2019-07-08 19:12:09
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しばらく色々試したので、次回の作品ではそれらを踏まえ、次のような方針を定めて製作しました。 ・筆塗りでの波表現は必要 ・綿の白波は塗装部との差異が大きく断念 ・舷側波のみは綿を使用したい ・立ち上がりの大きな航走波序盤は木工パテ ・それ以外の高さを出したい部分は砂 (ただし塗装する) pic.twitter.com/Qdz8au7cJS

2019-07-10 20:37:48
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今回の技法についてはだいぶ読めるようになって来たので、違うパターンの白波と、それに適した技法も考えてみたくなりました。 また波のリアルさに拘るほど、ベースとなる海面の形が大事だと言う事も判って来ましたので、船体各部に現れるうねり等について、もう少し考えてみようと思いました。 pic.twitter.com/7fKyO50THu

2019-07-10 20:40:48
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次の作品は初めての潜水艦でした。 前回に挙げた船体の生み出すうねりを考えるには、丁度良い素材だったかもしれません。 しっかり検証がしたくて海面はフラットで造形を始め、生じている起伏はすべて船体が作ったうねりだとの設定です。 また高速ではないので、白波はすべて砂で表現しています。 pic.twitter.com/gTCWP9Is9b

2019-07-12 21:38:50
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