ヤマシタホビー 1/700 睦月 制作記

海外から作例の依頼があり、例外的に制作した1/700作品です。 普段1/350で行っている「作り込み&ジオラマ仕立て」の技術を、そのまま1/700模型に注ぎ込みました。 幾分ゴツいテトラ社のエッチング使用の縛りがあり、そこだけが残念でしたが、船体も海面表現も満足しています。 細か~く解説しています。 どうぞご覧下さい。
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鳶色2号@1/350 高雄 @Tobiiro2

艦橋の完成 マストの桁の支索取り付け。 手摺のキャンバス巻き。 舷燈は透明伸ばしランナーに着色。 信号所の手摺部増厚と少し弛んだキャンバス表現、天面に木板追加。 ここまで作って来て確信しましたが、350の同様の作業より、700の方が絶対難易度が高いと思いますっ!😅 pic.twitter.com/2RlTAkhnWD

2021-10-11 18:48:36
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いよいよ船体に組付け開始 左舷の手摺は回り込んでラッタルまで一体ですが、印の所でカットして別々に貼りました。 手摺が少し長いようなので、左右とも艦首でカットし縦棒無しで突き合わせ。 ここには旗竿が来るので縦棒がなくても大丈夫です。 魚雷発射管前の支柱は、明日のお楽しみです。 pic.twitter.com/S8y2e8iCZL

2021-10-12 18:46:31
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睦月は以前から作りたかった船で、その時には絶対伝声管を再現するつもりでした。 今回予期せぬ1/700での製作となりましたが、初志を貫徹します。 艦後半部に数本が束ねられた長い物がありますので、まずこの一本で腕試し。 管はΦ0.2のニクロム線、吊ワイヤは0.15号のメタルリギングです。 pic.twitter.com/vgG4u3namg

2021-10-13 18:33:23
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艦橋の後の煙突、砲座、ダビッド、手摺の取り付け。 パーツを付けるごとに艦の姿になってゆき、いかにも建造している感じが楽しいです😊 組立順は必ずしも説明書通りではありませんが、艦首を左に向けて前から順番に組むと、利き手(右手)の右側に壊れる物が無いので、作業がしやすく感じています。 pic.twitter.com/SnoXfww3mZ

2021-10-14 18:41:05
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6mカッター 船べりを薄くするため内側を削りますが、艇尾は幅を狭くしたかったので外側を削り、ころんとした平面形状を再現しました。 グライプバンドは幅0.25mmにカットしたマスキングテープです。 pic.twitter.com/ojx1gZvM9Q

2021-10-16 19:32:01
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二番砲、魚雷格納筐、後部艦橋等の組立 格納筐とガーターは取付位置が曖昧なので、先に手摺を既存部に付け、それに合わせて接着しています。 実艦の75cm探照燈に対し、キットパーツはこのような大きさです。 本作ではキャンバスで覆った姿にするので、90cmの突起部分を削った物を芯にする事にします。 pic.twitter.com/grfczpIdpQ

2021-10-17 17:06:21
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後部砲台の組立 昨日同様手摺パーツの合わせ加工をせずに済むよう、手摺とガーターを番号の順に接着しました。 ⑥は④と⑤との隙間が等間隔になり、かつデリックが隙間に入る事を確認して取付けました。 探照灯は溶きパテ、内火艇はアルミホイルでキャンバス表現を行い、ぐるぐるぅ~♪ pic.twitter.com/DmqlsyCxAw

2021-10-18 18:43:55
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残りの兵装と、後甲板の諸装備の取付。 両舷で一本の手摺は爆雷軌条を避けて赤線で三分割。軌条の上はニクロム線を紡いだ鎖(赤矢印)を追加。 最後に感想として書こうと思っていましたが、1/700よりも1/350で作り込む方が簡単で楽しいです。 それを象徴する爆雷装填台(青矢印)。 もの凄く大変でした😩 pic.twitter.com/HRR4wVupgc

2021-10-19 18:52:11
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伝声管 煩さと大変さから3本の予定を2本に。 前部の単管の経験からφ0.2が丁度良いと判断しましたが、複数本ならφ0.15が正解だと思います。 レイアウトは同型各艦の写真を元にした盛り合わせなので、資料性はありません。m(_ _)m なお二番発射管は、大多数が後ろ向きに写っていたので付け直しました。 pic.twitter.com/2mlKDqxYxo

2021-10-20 18:38:30
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後檣と旗竿 四方の支索は0.15号のメタルリギングです。 所定の長さにカットし、上下に少量のゼリー瞬着を付け、ぷるぷるする手でまず真っ直ぐに立てたらピンセットを離して自立させ、以前ご紹介した瞬着をつける道具(ピンバイス+太メタルリギング)で先端をマスト方向に倒して接着しています。 pic.twitter.com/YLCaOPxZtH

2021-10-21 18:45:12
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張り線の前に汚しと墨入れ 写真では少々判りにくいですが、エナメル塗料の黒、こげ茶、灰、錆色(二種)、緑などを使い、塗ったり拭き取ったり流したりしています。 派手に汚す気はないのですがジオラマ作品なので、海面のリアルな度合とバランスが取れる程度の汚しは、毎回行っています。 pic.twitter.com/pvaBSviAio

2021-10-22 18:49:40
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前檣の張り線 支索・空中線共に0.15号のメタルリギングを使用。 空中線は0.1または0.06号と迷ったのですが、曲げ癖が付いていたので断念しました。 白背景の拡大写真で見ると太く感じますが、展示会で肉眼で見る分には、これくらい主張してもいいかと自分に言い訳しています😆 pic.twitter.com/ZzMgSHdZy9

2021-10-23 17:44:34
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空中線 残りの空中線は、40デニールのストレッチリギングを使用。 マストからマストのように、接着後に余白をカットしやすい場合は(弛ませないなら)ストレッチが便利ですね。 一応資料もありますが、どの辺りまでで再現をやめるかの判断も必要でした。 気付けば完成が近付いてきましたよー😀 pic.twitter.com/wVptTdq6BD

2021-10-24 18:08:54
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ヤマシタホビー 1/700 睦月 初の700で、どこまで見えるかとか、どんな方法や素材で作るかとか、勝手が判らないまま手探りで進めましたが、何とか船体が完成しました。 判った事。1/700で作り込み作品を製作されているモデラーさんはすんごい ‼️ 引き続き主役の海を作ります。(船以上に手探り😅) pic.twitter.com/c4QGIHxzbb

2021-10-25 18:55:41
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海面 スタイロフォーム+メディウム →数ミリの起伏を付けやすい。 →スケールに見合った細かな凹凸を表面の多孔質から手軽に得たい。 艦首波 アクリル板をくっつかないホイルで包み、グロスポリマーメディアムの重ね塗りで作った板。 →三次曲面は硬質プラの熱曲げでは再現が困難。 →透明度が高い。 pic.twitter.com/ccKIkOFwra

2021-10-26 19:07:23
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船体据付前の作業 船体を取り付ける前に、舷側から外側に向かう水流の表現を済ませました。 また予備の船体で確認すると少し喫水が深かったので、スペーサをかませる事にしましたが、複数の同型艦の全力公試写真を見ると皆アップトリム気味だったため、全体の嵩上げはやめて艦首のみに入れました。 pic.twitter.com/sk5H4Nb9mk

2021-10-27 18:43:37
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昨日は船体をベースに接着して一晩放置。 肉眼では気にならないのに、写真では海面のざらざらが目立つのでどうするか考えます。 放置の間に艦首波の検討。 睦月型の艦首波はあまり高く上がらず早く崩れるイメージなので、そこを意識して再現したいと思います。 あとは速度をどう設定するかです。 pic.twitter.com/91jIEPWG2W

2021-10-28 18:54:54
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紙に航走波を描いて、ボリュームや白波の位置等を検討。 なんか違うよなー で描いては消しを繰り返しました。 艦首波を紙で作り、ピークの場所や先端部の着水位置、縁が作るカーブなどを決定。 大抵予想と違う形になるので、大きめの紙を少しずつ切って徐々に整形。 これが型紙になります。 pic.twitter.com/hZVtdYwtFD

2021-10-29 19:56:47
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艦首波の型紙を元に、メディウムを塗り重ねて作った板を切り抜き、慎重に舳先の位置を合わせて喫水部で船体に接着。 固まったら後に行くに従って船体から離し、後端を海面に接着。 メディウムに白砂を混ぜ、波の縁の白波表現。 最終的なボリュームは、航走波との繋がりを見ながら決めます。 pic.twitter.com/onlPCLUmda

2021-10-31 18:02:55
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舷側波 グロスポリマーメディウムに白砂を混ぜたものを、船体と海面の隙間に詰めました。 これは船体固定の働きもあり、もうひっくり返して振り回しても、外れる事はありません。 (他が壊れるっちゅーの) 波は全体のバランスを見ながらの作業なので、各部それぞれ控え目に進めます。 pic.twitter.com/X0743WQdfC

2021-11-01 19:06:40
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舷側波の外側に、攪拌されて色の変わった部分を塗装。 変色する場所は、船の速度や形・海象条件などにより様々で、しかも白波表現よりも先に済ませる必要があり、毎回悩みます。 航走波は予め目安となる輪郭を薄く入れ、それに沿って艦首波の続きからいつものメディウム+白砂を盛って行きました。 pic.twitter.com/ASGoVRyGpD

2021-11-02 18:48:28
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航走波の一番外側が大体出来たので、艦首波のボリュームを増やし、舷側波と自然に繋がるように調整しました。 調整は両者を交互に行い、色々なアングルからチェックして、不自然にならないよう注意しています。 ただしここに来てもまだ、最終調整で増量できるように調整代は残しています。 pic.twitter.com/qkuezeAMbR

2021-11-03 17:24:11
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航走波の続き 艦首で出来る外側の波とは別に、船体に押しのけられた水流から生まれる内側の白波を再現。 先に前半を作り、改めて後まで延長。 メディウム+白砂は高さが出やすいので、内外とも徐々に勢いが弱くなる後半部は、意識して低く造形しています。 だんだんいい感じになってきました。(≧艸≦) pic.twitter.com/GmN3osUpOf

2021-11-04 18:43:29
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波の完成 行ったのは、 艦尾波の仕上げ。 舷側波・艦尾波と航走波の間の変色部分のグラデーション。 同部分の筋模様を面相筆で描き込み。 航走波の密度アップ。 わかりにくいので、前日との比較写真と拡大写真も添えます。 あとは細部の仕上げを行い、明日完成の予定です😀 pic.twitter.com/T1JIk1h4k2

2021-11-05 18:40:00
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完成披露 1/3 ヤマシタホビー 1/700 日本海軍睦月型駆逐艦 睦月(開戦時) 完成です。 出戻り8年目にしてはじめての1/700で、作り方、材料、作り込みの匙加減、全てが手探りだった為色々と改善点はありますが、総合的には満足しています。 長い間お付き合いいただきまして、ありがとうございました😃 pic.twitter.com/z9PC5zAvpn

2021-11-06 14:50:54
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