生の哲学とロマン主義-ファシズム予備軍?-

5
タト @Leethoo_Tat

「緑の党」「アルタナティーフ」のイデオロギー、或いはファイヤアーベントのノンセクト左翼哲学などにおいて、生の哲学の様々なルネサンスが生じたことは知られていないのが通例である。その理由は何より、生の哲学が非合理主義或いはファシズム予備軍という罵りを受けて追放されたという事情による。

2011-07-23 20:00:25
タト @Leethoo_Tat

@Cyril_Abercomby あのスカイプの部屋とは別にですが、しぶふさんが松田素二のロマン主義の再評価についてiwriさんのご意見を聞きたがってる感じでした。しぶふさんのレジュメをお読みになってみてはいかがでしょう?面白かったですよ。

2011-07-24 16:25:38
タト @Leethoo_Tat

ルカーチは『理性の破壊』のなかで、生の哲学を非マルクス主義的「ブルジョア」哲学とひっくるめて「帝国主義的」なものだという烙印を押して生の哲学を弾劾した。しかし文化の脆い点を指摘しそれを治癒させようとする近代非合理主義の要求を見ると、それほど簡単に事をすませてよいとは考えられない。

2011-07-24 17:56:04
タト @Leethoo_Tat

ヘーゲルとディルタイを比較することで「生(Leben)の哲学」の基盤である非合理主義を明るみにする、という試みが面白い。ヘーゲルが生を精神の欠損と見たのに対して、ディルタイは生が精神を包摂しているとみなすと。このへんはニーチェやクラーゲスと合わせて考えてもよさそう。

2011-07-24 19:58:48
タト @Leethoo_Tat

人間本性全体の実際の生のプロセスは、意欲し、感じ、表象することにおいてこの本性の様々な側面を持つに過ぎない。我々の認識能力は固定的でアプリオリなものだという仮定ではなく、我々の存在の総体から出発する発展史のみが、我々の誰もが哲学に投げかけるに違いないだろう問に答えることができる。

2011-07-24 20:56:07
タト @Leethoo_Tat

ドイツにおいて、生の哲学の基盤である「非合理的なもの」即「ファシズム予備軍」とみなす傾向が、非合理的なものの真相を探求しようとする問いを立てることを阻み、さらには今日生の哲学が復活してきているにもかかわらず、それが生の哲学だと認識されていないという事態を生じさせているという。

2011-07-24 21:45:09
タト @Leethoo_Tat

ルカーチ・ジェルジの『理性の破壊』。彼はその中で生の哲学を非マルクス主義的「ブルジョア」哲学とひっくるめて、それらが「帝国主義的」なものであるというレッテルを貼って生の哲学を弾劾した。ルカーチはもともとジンメル(←)の門下であり、元は生の哲学から出発している。

2011-07-24 21:54:40
タト @Leethoo_Tat

この点を完全に度外視するとしても、一つの時代全体を帝国主義的と評価してしまえば、その時代のブルジョア哲学は全て定義からして帝国主義的なものということになり、トートロジーに陥ってしまう。

2011-07-24 21:56:32
タト @Leethoo_Tat

こうしたトートロジーに即したファシズム論が、「帝国主義的なブルジョア哲学」としてくくられる生の哲学を、「ファシズム予備軍」的なものとして見せかけるという、さらなる追い討ちをかけることになった。

2011-07-24 21:58:30
タト @Leethoo_Tat

「非合理主義」だからという非難に関しては、かつて近代非合理主義が、われわれ人間の文化の脆い点を指摘し、それを治癒させることを要求していたものだったという点を見れば、簡単に罵りの意味で非難できるとすませてよいものだとは考えられない。そこには疑問の余地が残っている。

2011-07-24 22:04:57
タト @Leethoo_Tat

したがって問題提起としてはこうなる。「なぜ「非合理主義」は非難の言葉なのか。「非合理主義」は真理ではありえないのか」

2011-07-24 22:06:49
Takuya Watanabe @sugar_thought

まさに昨日この話で盛り上がりました。RT @Lucifer_Gnosis: したがって問題提起としてはこうなる。「なぜ「非合理主義」は非難の言葉なのか。「非合理主義」は真理ではありえないのか」

2011-07-24 22:09:09
激戦区☆かわいこちゃん @shibufusky

@Lucifer_Gnosis ありがとうごじゃいましゅら。さっそく例の心理人類学畑の本http://t.co/lQGWsRJのイントロと第一章「ポスト・ニーチェ派の人類学:多視点的な世界の観念」を読むので、きちんとしたレジュメにはならないまでもまとめて書評調にします。

2011-07-27 14:37:54
激戦区☆かわいこちゃん @shibufusky

@Lucifer_Gnosis 削りで時間取りましたね。扱ってる地域が都会だけに、関連する資料にしても雑多で論文にもならないのがワンサカあるんです。雑多な資料は博論にも入らないんですけど、捨てずに整理しておかないと主観寄りで演繹的な研究になってしまうので困ったもんです。

2011-07-27 14:41:01
激戦区☆かわいこちゃん @shibufusky

@Lucifer_Gnosis アブラさんからいただいた資料も読んでみます。Shwederの第一章もそれなりに長くて、如何せんロマン主義の再評価を含んでるんですけど・・・果たして人類学畑が齧る「ニーチェ」解釈、そもそも妥当といいうるのかどうか・・・。

2011-07-27 14:44:17
激戦区☆かわいこちゃん @shibufusky

@Lucifer_Gnosis あ。図書館から松田素二の本も修理完了してたので残りの章と僕自身の考察の部分も作ります。論旨の柱は、学問的客観性批判をどう受けたかと、あと僕には判断しかねる疑問点として松田の「啓蒙主義」と「ロマン主義」は思想史的にどれ位妥当かってことになるかと。

2011-07-27 14:47:41
タト @Leethoo_Tat

生の哲学に孕まれていた問題は、その形而上学的な非合理主義にあるのではない。生の哲学が非合理的なものに与えた評価が問題。生の哲学がナチズムの人種論の前史というのもこういう点から考察されうるものであり、生の哲学自体が非合理主義を孕んでいるということ自体は全く間違いとは言い切れない。

2011-07-27 20:13:26
いぶりぃ @iwri

最近、アブラさんとカエルさんと非合理主義とロマン主義みたいなことを話してて、ちょっと図書館で「啓蒙・革命・ロマン主義」借りてきたので引用。

2011-07-30 22:08:10
いぶりぃ @iwri

「初期のロマン主義者たちは啓蒙の合理主義を拒否するどころか、批判主義をその限界まで推し進めるべきであると主張した。(中略)彼らの共同体の目的は、すべての個人の自律性と個性を統制するのではなく陶冶することであった。(続 @Lucifer_Gnosis @shibufusky

2011-07-30 22:11:36
いぶりぃ @iwri

この理由からだけでも、ロマン主義的共同体観はナチの理念のモデルとしては役立たない。」ご参考までに。 @Lucifer_Gnosis @shibufusky

2011-07-30 22:12:05
激戦区☆かわいこちゃん @shibufusky

非合理主義というと、いかにも他称で合理主義の反対にしか見えないので、暫定的にも僕はロマン主義や生の哲学を非合理主義として括らないようにしようと思います。

2011-07-31 06:12:36
激戦区☆かわいこちゃん @shibufusky

ニーチェの歴史学批判は、歴史に関する保守派の論談に曲解されたんでしょうけど、具体的にどうやって曲げられたのか。保守派の論談は、生に奉仕しない歴史観を自虐史観として棄却し、生に奉仕する新しい歴史観を採用した。自己啓発のレベルでは、ネガティブ思考の批判とポジティブ思考の保持?

2011-07-31 12:22:03
いぶりぃ @iwri

@Lucifer_Gnosis うーん、どっちかというと、何をどう区別するかということのような気がしますが…。 あ、ちなみに前引用した本は、ドイツの1790―1800の政治思想史の本なので、そういう観点で書かれてますから、単に文化史・思想史とは少し違うのでご注意を。

2011-07-31 20:20:33
いぶりぃ @iwri

@Lucifer_Gnosis ついでに言うと、いわゆるロマン派と一般的に言われる人たちは、あそこで挙がっているのはノヴァーリスとシュレーゲルだけで、普通はこれが初期ロマン派と言われるサークルの中心人物ですね(後はティークですが)。

2011-08-02 22:50:20