福島大学災害復興研究所定例研究会2011/11/02・除本報告および質疑
- myriel_june
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公害問題と原発問題についての共通点。水俣病、大気汚染等と同じで、時間・空間的に汚染が広域。地域社会が丸ごと被害を受ける状況が生じている。ただこれまでは、いくつもの町村が全住民と役場機能の移転を強いられることはなかった。(足尾銅山事件のときの谷中村ぐらい)これはかなり異質。
2011-11-02 15:16:08除本「公害問題からの教訓。1)「未認定」問題。公害事件では加害者側が救済対象を選別。救済を受けられない未認定者が多数出た。今回東電が賠償対象を線引きしていることと似ている。」
2011-11-02 15:17:43除本「2)地域社会全体への被害。被害は健康だけでなく、地域社会・経済全体へ。住民同士の反目なども生じる。個別被害者だけをばらばらに見ていても(被害の個人化)、被害の全体像が見えない。」
2011-11-02 15:20:25除本「3)責任と費用負担。補償財源の形式と実態の乖離。国に責任があることを回避して、私企業に賠償させるという形式を取っている。チッソと同じ。今回について言えば、エネルギー政策転換の阻害になる」
2011-11-02 15:22:07除本「原発事故の被害構造とは。地域社会への被害を考えると、1)地域の構成要素が解体されていること。「地域」とは、自然環境、経済、文化、社会、政治のような要素からなるが、これがバラバラにされてしまっていて、避難によってどれを選択するかを住民は迫られてしまう。非常に困難。」
2011-11-02 15:25:33除本「こういった理不尽な選択を迫られること、そのものが住民の受けた被害の実態。どの要素を重視するかで、温度差が生じざるを得ない。それによって、地域社会のレベルや家族のレベルで「亀裂」が生じる。家族の離散も」
2011-11-02 15:27:09除本「地域の構成要素のうちどれを重視するかで、家族離散も生じる。「母子避難」は経済(稼ぎ手)と環境(子ども+母親)との間で、家族が引き裂かれてしまったことを意味する。」
2011-11-02 15:28:49除本「先を見通せないゴールのないマラソン。このなかで確実な選択を使用とするが故に「ふるさとをふてる」ことを覚悟しなければならない人が増えている。このふるさとは金銭で代替できない」
2011-11-02 15:29:49除本「そもそも実態としての被害と賠償としての金銭には乖離がある。また、損害賠償は過去に生じた被害の補填だけ。これまでも、賠償裁判はそのたびに原告団を組織してきた。しかしそれでは生活が困難。別途損害賠償とは違う保障が必要(政策として)」
2011-11-02 15:32:43除本「事例。福島市の自営業者。夫婦それぞれが会社、店舗を経営。子どものためにそれらをあきらめて遠隔地に避難。原状回復に200万円以上。被害者が被害をきちんと請求し、全体像を明らかにする。そのことで原発のコストを明らかにすることにつながる」
2011-11-02 15:34:48除本「東電の純資産、自己資本より補償額、事故収束費用は上回る。差額はどこから。国民、電気利用者からか。株主、債権者からか。後者では足りないことになる。債権カットを避けるために原賠支援機構法が成立(8/3)」
2011-11-02 15:37:20除本「原子力損害賠償支援機構法の問題。東電に第一義責任があるように見えて、肝心な点が抜け落ちている。水俣病でのチッソ支援と酷似している。」
2011-11-02 15:39:05除本「政府の責任は何か。制度構築がまず必要、東電の責任を全うさせ、被害補償をすすめる手立てをつくる。国民の納得できる補償スキームを構築すること。次に、その中で応分の費用を負担する。」
2011-11-02 15:40:18除本「チッソ支援や原賠機構法では政府が加害企業の背後に隠れている。むしろ前面に出て、補償スキーム構築の責任を果たすべき。これは除染の費用負担などについても当てはまる。政府と東電の責任を明らかにすることが、エネルギー政策転換につながる」報告ここまで。
2011-11-02 15:42:32質問「原発汚染を公害と表現することのメリット、デメリット」除本「公害問題と考えることで、制度構築の前例がに学ぶことができる。また今回のように環境に放射性物質が放出されたことまで経済産業省の管轄にするのはおかしい。環境法体系の中で考えることが必要では。」
2011-11-02 15:45:40除本「住民からの聴き取りでも、公害問題だとしてほしいという声を、自分は飯舘で聴いている。ただし既存の公害問題とちがって、晩発性に被害が出てくるので、リスクコミュニケーションなども考えなければならない。あとデメリットとしてはネガティブなイメージを届けてしまうこともある。」
2011-11-02 15:47:34中井(環境法)「公害では今回のような大規模な避難はない。晩発性ということでも、公害問題ということとは乖離があるのでは。」室崎「今回は故意ではなく、自然災害でのものだし、公害としてとらえにくくないか。」
2011-11-02 15:50:41除本「共通性と異質性の両方がある。片方を強調することは間違い。ご指摘の点はそのとおり。故意という点でも、公害裁判では認められておらず、高度な注意義務ということになっていた。その点では、今回の当然の責任とそれほど違いがないのでは。」
2011-11-02 15:53:51室崎「実践的にどうするか。除染を徹底的に、国の責任でやらねばならない。3000億円(三次補正)ということはありえない。2兆でも3兆でもかけて。それを東電に負担させる。いつまでということもきまっていないのも困る。それが先が見えないと避難者が考えることにつながる。」
2011-11-02 16:00:18丹波「だが結局東電に責任かぶせると、負担は電気代を介して国民に来る。そこは悩んでいる。」山中「国はやはり責任を持たないと。しかしそれはやはり負担は国民に来る。お金だけで解決できないのではないか。法的スキームとして刑事責任は問えるか」
2011-11-02 16:03:10新村「刑事責任を問うのは難しいのではないか」せきや「さっきの図は水俣にも似ているが、再生法にも似ているのでは。東電は公企業」除本「お金もそうだが、責任を明らかにするプロセスが重要。今でも責任追及に近いことが行われてきている。それがどういう政策転換につながるのか。」
2011-11-02 16:07:12