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【創作企画】第11夜 誘う玉兎に輿馬千里【リグレット・カレイドスコープ】

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【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

『体はいつもどおりなので大丈夫です! 声がうまく出ないこと以外はとくにもんだいはないので、それよりも邑神君の無事をかくにんしに行きませんか? お昼休みにでも』

2023-03-05 21:32:46
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

そう書かれたスケッチブックに目を通した後、4人は顔を見合せた。 空彦本人が大丈夫と言うのなら、本当に声が出ない以外は大丈夫なのだろう。特に不調を隠している様子もないし、何かあればそっとフォローしてやればいい。

2023-03-05 21:35:38
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「……そうだね、彼のことも心配だし…皆でお昼休みに1年生の教室に行こうか」 「んじゃ、4時間目終わったらそこの廊下集合な。飯は見に行ってその場で食おうぜ」

2023-03-05 21:36:07
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「累くんそれ1年生に迷惑じゃないかなぁ…」 「新聞紙レジャーシート代わりにすりゃあいいじゃん」 「机に座ると場所取るからって話じゃないよ?」

2023-03-05 21:36:55
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

『自分こうばいでお昼ご飯を買いたいので、それからでもいいですか?』 「あ、だったら僕がついて行くよ。あとで合流するから3人とも先に行っててくれるかい」 「りょーかい、それじゃ…」

2023-03-05 21:37:41
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

と、累が話を切り上げようとした時、朝礼を知らせるチャイムが鳴り響いた。同時に3年A組の担任の先生が教室へと入ってくる。 そして隣のクラスである累と識圜の姿を見ると、呆れたようにため息をついた。

2023-03-05 21:39:32
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「おい轟、明日田。もうチャイム鳴ったぞ。高橋先生に怒られても知らんからな」 「今から帰るところですぅ〜」 「でもそろそろやべぇかもよ、識圜」

2023-03-05 21:41:13
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「…高橋先生なら5分遅れて行くって言ってたから、今なら見逃してやる。とっとと自分のクラスに帰りなさい」 「やべっ、戻るぞ識圜!」

2023-03-05 21:41:34
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

高橋先生、と言うのはB組の担任の先生なのだが、結構適当で生徒に寄り添ってくれる優しい面がある代わりに怒ると大変恐ろしい。 やんちゃをしまくっている2人にはそろそろ雷が落ちる頃合いだと、A組の担任もわかっているようでバインダーをヒラヒラとさせながら2人を教室から追い出した。

2023-03-05 21:42:18
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

日直の号令と共に、全員が立ち上がる。涼李と遥人も先程の2人が教室を出る前に自分の席に戻っていた。 空彦も慌ててスケッチブックをカバンの中にしまい込み、号令と共に立ち上がった。

2023-03-05 21:45:45
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

目が覚めて出た第一声はそれである。 夢の中とはいえ、現実の季節とリンクしているらしいこの空間は、勿論現実と同じ夏に差し掛かった頃合い。 本来ならもう衣替えの時期だが、何故か今しがた目の覚めた彼にとってはそう感じられた。

2023-03-05 21:48:31
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

そして、同時に上から降ってきた「おはよう」の声の主も、その寒さを感じているらしく、語尾が少し震えていた。

2023-03-05 21:49:56
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

起き上がるのも億劫な寒さをなんとか堪え、栗花落渚は起き上がる。 声をかけてきたのは西音寺聖遥のようだ。

2023-03-05 21:50:57
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「聖遥君、オレが起きるまでずっとここに居てくれてた?」 「……、いや、さっき起きたとこ。渚が起きる少し前に、周りを見てみたけどちょっといつもと違うみたい」

2023-03-05 21:52:28
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

立てる?と手を差し出してきた彼の白い手を取り、渚は立ち上がった。 累や春馬の時もまぁまぁ異様な空間になっていたが、今回のは気温すら別物である。寒いどころか悪寒すら感じて、渚は聖遥が促すままに周りを見渡した。

2023-03-05 21:52:55
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

───暗い。 いや、暗いのはいつものことだが、それ以上に月明かりすら通らない。 渚と聖遥が互いの顔をギリギリ認識できているのは、所々にぶら下がっているライトのおかげだろう。 それすら、やや不気味さを感じて普段の学校とは大きく違うことを証明しているだけだが。

2023-03-05 21:54:13
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「聖遥君、ここどこだかわかる?」 「たぶん1階……窓から見える景色だと…西棟の1階だと思う」 「西棟かぁ…ここから上に上がって東棟行くのも、この暗さだと迷いそうだなぁ…」

2023-03-05 21:56:09
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

そう言って、渚は階段の方を見た。 今まで戦闘してきたフィールドも、誰かと出会う場所も東棟が多いような気がする。誰かと合流するなら東棟を探すのが手っ取り早いだろうか。 ここから西棟を上から順番に見て回るのは、流石に骨が折れる。

2023-03-05 21:57:31
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

首を捻りながらため息をついていると、聖遥が指先で肩をつついてきた。 大きな空色の瞳と目が合う。

2023-03-05 21:57:49
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「それなら一旦、あの黒い鳥を探さない?アイツに聞き出した方が早いでしょ」 「ん、それはそうかも。居場所の把握くらいはしてくれてそうだよな」 「じゃあ行こう。こうしてる時間が勿体ないし」

2023-03-05 21:59:32
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

そう言うと、聖遥はさっと階段の方へと向かって行った。渚としてはいつも通りの彼に、少しだけ気まずさを感じる。

2023-03-05 22:00:17
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

…あの時、妹のお化けを見て取り乱した自分を叱咤してくれたのは彼だ。 大変な醜態を晒した自覚はあるし、あれから彼と向き合う事になんとも言えない気恥しさを感じている。

2023-03-05 22:02:05
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