三国志こばなし集 2023年4月号

三国志こばなし集 @omikanboy3594

夏侯惇「貴様に預けたら、使い込んだ挙句に借金する未来しか見えんぞ？」 夏侯淵「全くです」 曹操「おい文若！」 荀彧「私も同意見ですな、皆さんと！」 曹「むむむ」 惇「なにがむむむだ！」 惇「…」 曹「どうだ？」 淵「案の定、目ん玉飛び出る金額でしたぜ」 曹「元譲の片目か？」 惇「孟徳！」

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曹「…よくもまあ、これだけ溜め込んだものだ」 荀「税金とかどうしてたんでしょうね？」 曹「さあな」 惇「子廉はもうすぐ退院できるそうだ」 淵「まあ、あいつと気軽に会えるうちにはっきりさせておきましょうや」 曹「ああ」 荀「…私は、外します」 曹「頼む」 惇「こればかりは身内の話だからな」

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惇「子孝と子和に声をかけておく」 曹「うむ」 淵「んじゃ、俺は酒でも仕入れておきます」 惇「買物を手伝ってくれ、妙才」 淵「あいよ」 曹「…」 荀「素敵なお身内ですね、孟徳殿」 曹「私の自慢さ」 荀「…公達はどうなっているのだろう」 曹「証拠を残すような迂闊者ではあるまい」 荀「…ですね」

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曹洪「…よう」 夏侯惇「来たな子廉」 曹操「退院おめでとう」 曹仁「…」 曹純「…」 夏侯淵「…」 洪「…身内が勢揃いとはね」 操「お前の隠し財産のカードと暗証番号は、既に我らで保管してある」 洪「…よかった」 操「子廉」 洪「…」 操「今後はどうするつもりだ」 洪「…自首するよ、孟徳兄貴」

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洪「身内の顔に泥塗りまくって、迷惑かけて、挙句に命すら落としかねねえ事件に巻き込んじまったんだから」 操「…別にそんな事は大したことではないのだがな」 洪「は？」 惇「お前のケチと乱暴で、今までどれだけ迷惑かけられたと思ってる？」 淵「質屋の輩の暴れ放題で、何度出動させられたかなあ」

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洪「…そりゃごもっとも」 操「人には越えてはならぬ一線があるだろう、子廉」 洪「…」 操「今更お前が五石散の輩と関わり合ったきっかけなど、誰も興味はない」 洪「…」 操「その一線を越えてしまったお前が酷い目に遭うのも、自業自得でしかない」 洪「…ああ、その通りさ」 操「だがな、子廉よ」

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曹操「たとえお前がケチで乱暴だろうが、お前は私の自慢の身内なのだ」 曹洪「…何言ってんだよ」 操「子どもの頃の私を、身体を張って助けてくれたお前は、私の英雄だったのだから」 洪「…まだ覚えてたのかよ。そんなこと」 曹仁「子廉の武勇伝は他にもありましたな」 曹純「私も何度助けられたか」

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洪「…」 操「お前はここ一番で、身体を張って仲間を助けることができる男ではないか！」 洪「…」 操「その男が囚われたのだぞ！次は我らが身体を張って、お前を助けないでどうする、子廉！」 洪「…ありがとう、孟徳兄貴」 夏侯惇「お前の好物の鍋を囲むぞ！支度しろ！」 洪「…ありがとう、惇兄貴」

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淵「…自首する時は、俺が一緒だからな、子廉」 洪「ありがとう、妙才」 仁「某は久しぶりの休みでしてな」 純「今宵は語り明かしましょうね！」 洪「ありがとう、子孝、子和」 操「酒だ！歌うぞ！みんな！」 典韋「…今日だけは我慢してやるかな」 許褚「うむ」 荀彧「早く郭嘉が帰ってこないかな」

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于禁(…この建物は) 于(構成員たちが住まうアパート、ではなかったかな…) 于(このアパートの部屋番号が…) 249 于(ここか) 于(…鍵もかかっていないではないか) 于(…) 于(…この引き出しの鍵の番号が) 196 于(これは、スケッチブックか？) 「」 于(ノートもたくさん入っているな…) 「」

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于(いったい何が…) 「」 于「!?」 「」 于(…これは、なんなのだ) 「」 于(この絵の哀しみと苦しみは、いったいどこからきているのだ…) 「」 于(何晏殿…あなたは、いったいいくつからここまでの孤独と哀しみと苦しみを噛み締めて、生きていたのですか？) 「」 于(今は…とても読めない…)

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于「こんな！こんな人の生が！この世にあって！許されて良いのか！」 「」 于(…私が、私があなたの生を決して無駄にはいたしませぬからな、何晏殿！) 「」 于(手紙？) 「」 于(この内容は!?) 「」 于「届けなければ！この私が！今すぐにでも！」

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金郷公主「…」 郭嘉「…女の子たちのご様子は？」 金「鎮静剤を投与され、当面の入院生活ですわ…」 郭「…あなたはなぜ、何晏と共にいたのです？」 金「…両親も知らずに生きていた姉と私を、何晏に見初められましてね」 郭「…」 金「病になった私の姉に、五石散を投与して、死なせたのが何晏です」

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郭「…そうだったのですか」 金「その日から私は、姉の無念を偲んで耐え続け、必ず復讐せんと誓って、マリアの仮面を被り続けていました」 郭「…」 金「それで私は、いったい何人の女の子たちを犠牲にしてきたのでしょう…」 曹丕「話し中すまぬが」 金「何か」 曹「金郷公主殿に手紙が届いているぞ」

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金「私に？」 曹「随分と古い紙だが」 金「!?」 郭「どなたからです？」 金「…姉上の、字だ」 曹(…外そう、郭嘉) 郭(ええ…) 金「姉上…姉上…」 「かあんはわたしをなおそうとしてくれたの。だからかあんをゆるしてあげてね。たいせつなそうちゃんへ」 金「こんなの、酷すぎるわよ、晏ちゃん…」

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郭嘉「…私たちではどうにも出来そうにないですね」 曹丕「人とは残酷だな、郭嘉」 郭「…それじゃ、私は帰ります」 曹「また私の番組に出てくれよ」 郭「あんたの今までの落とし前を全部つけられたら、考えてやってもいいかな」 曹「人の気も知らんで」 郭「今ごろあんたの界隈はどうなってることやら

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夏侯尚「」 賈逵「夏侯尚さんがぶっ倒れてます！」 杜襲「もう五徹してるからな！」 陳羣「さっさと戻ってこいよ、子桓…」

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曹「じゃあ私は、憂鬱な撤退戦の殿を務めてくる」 郭「ええ！殿こそ撤退戦の要ですからな！」 曹「あばよ」 郭「そうだ！曹丕殿！」 曹「…」 郭「…あの人に手紙を届けてくれたのは、誰なのですか？」 曹「…死人が届けてくれた手紙だよ、郭嘉」 郭「…」 于禁「…」 曹(生き返ったのか、厲侯よ…)

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司馬懿「ベッドで寝むれるだけで、これほどの幸せを実感するとは」 曹真「暖かい飯を食えるだけで、涙が止まらなくなるとは」 曹休「だけどそろそろ退院したいな」 朱鑠「まだ私たち仕事あるんですかね？」 呉質「俺なんざそもそも仕事なかったけどな」 司「そりゃそうだ」 呉「大差ねえだろ！仲達！」

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看護婦「皆さんに郵便が」 真「はて？」 休「プロデューサーから？」 朱「まさかもう働きに来いって赤紙じゃなかろうな…」 司「！！」 呉「えらい大金が振り込まれてるぜ!?」 真「なんだって!?」 休「おまけに半年の長期休暇を容認するだとさ！」 朱「…これがプロデューサーの飴と鞭ってやつかい？」

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真「もう俺は二度と一緒に仕事したくねえんだけどな…」 休「何回俺たちはそう言って、また一緒に仕事したか覚えてるだろ、子丹？」 司「観念して潔く半年休みましょうか！」 朱「でなきゃ割にあいませんからな！」 呉「…俺の年収五年分に匹敵するぞ、この金額」 真「どんだけ仕事ねえんだよ、お前」

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満寵「…」 曹仁「…どうだった？」 満「全員揃って大はずれでした〜」 曹「誰も何も知らなかったと？」 満「全員豚箱にぶち込むだけのお仕事でしたよ」 曹「…」 満「ああ。でも一人だけ消えた男がいるらしくて〜」 曹「…」 満「厲侯ってガードマンが、死んだ何晏と一緒に消えちまったそうですよ〜」

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曹「満寵」 満「でもあのエデンとやらに、厲侯の死体はなかったんですよね〜おかしいよな〜」 曹「厲侯などいなかった」 満「…もともと死人の名前ですもんね〜」 曹「そういうことだ」 満「…貸しですよ、先輩」 曹「ああ。この借りは必ず返すさ、伯寧」 満「やり〜！また一緒に殴り込みましょうね」

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于禁「…」 ？「…隣、いいですかね」 于「どうぞ」 ？「あれ？最近どこかでお会いしませんでしたかな？」 于「！」 戯志才「…野暮な事は言いませんけどね」 于「…人違いでしょう」 戯「違いない。顔は似てても、会った人と今のあんたは別人ですから」 于「…」 戯「失礼！そりゃそうでしたわな！」

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戯「あんた、今生きてますよね？」 于「…」 戯「あいにく今の私は、生きながら死んじまっててね…」 于「…」 戯「てめえの魂というか、生きかえるための何かを、取り戻さないといけなくなっちまった」 于「…分かります」 戯「さすが死人から生き返った御仁のおっしゃることは、重みが違いますなあ」