100物語

リリングミスト @RelyingMist

75あふれる. 「瓶にあふれるほどつまった豆を自分の家からよその家にめがけて撒いた。夜になると豆の撒かれた家に向かいねずみの大群が押し寄せ、住人に噛み付き、疫病が流行った」このような豆まきの風習はかつて世界中で行われていたという。

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76蒸気. ある文房具メーカーの倉庫の奥から「文字を消すペン」が見つかった。蒸気を吹き出し、紙に吹きかけるとあっという間に消えてしまうという優れものだったが、試していた数人が行方不明になってしまった。謎はもう1つあり、ガスの入っていたペン軸が何で出来ているか全く分からなかったのだ

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77バブル. 腕に腫れ物が出来たのだが、放っておいたところ中にガスが溜まり、腕が空中に持ち上がるようになってしまった。不便なので切開しようとしたが、ゴムのような表面はどんな刃物も通さなかった。困っていたが、ある日突然ブツリと腕から離れ、そのまま空に飛んでいってしまった

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78実の父親. 3歳の誕生日を迎えた少年の前に「自分は実の父親だ」と言う人間が３人現れた。少年は長年暮らしていた男を父として選んだのだが、その男は「お前も実の父親を見抜けないバカか」と少年を殺してしまった。男たちは何年か置きにこのようなことを繰り返しているという

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79斜視. 「ひどい斜視」で誰からも不気味がられていたお婆さんが亡くなった。彼女の部屋はとても奇妙なものであふれかえっており、本は中心が潰され、蝶のような形になっていたし、鏡などは凹面鏡と凸面鏡をパネルにはめ込んだ特注のものだった。いったい彼女はどんな世界を生きていたのだろう

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80医者. 臨月を控えた女性が陣痛に陥り、この辺りに医者は居ないかと訪ねると、村人は廃墟となった病院に案内してくれた。猿のような生き物が居り、彼女を分娩台に乗せると慣れた手つきで赤ん坊を取り上げた。生き物たちはとても嬉しそうだったが、最後まで言葉を発することはなかった

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81選択. このRPGの中盤に行くことのできる「96年の湖」という場所で「湖に入りますか」という質問がでるのだが、そこの選択肢だけは何度やっても「いいえ」と「いいえ」しかでない。さらに「湖に入りますか」という質問は永遠に繰り返されるため、リセットするしかなくなってしまうのだ

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82私は違う. 前を歩いている人が「私は違う」と突然言い出した。すると今度は後ろの人が「私も違います」と言い始めた。しばらくの間、周りの人間が同じようなことを言うと、視線が僕に集まったので「僕も違います」と答えたところ。どこからともなく「おまえはそうだろう」という声が聞こえた

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83酒. カクテル好きの男が「私は世界中を旅してきた。飲んだことのないカクテルは1つもない」と自慢した。男に向かってバーテンは「これはどうですか」と1杯のカクテルを差し出した。男は「今までに飲んだことのない味だ」と喜んだが、それを飲んで以来、一切酒が飲めなくなってしまった

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84サドンデス. 全ての物は対になっていて、たとえば、海と森などは有名だが鯨と雲、電気とアイスピックなども対になっている。これは2人の神が交互に出し合った結果だと言われているが、最終的に片方が勝ったため、唯一孤独な物があるという。それが雪である

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85自殺志願者. 部屋に入ると面接官が座っており、自殺の動機を喋る。それを通過すると次は模擬試験が待っており、どのように死ぬかをシュミレーションする。その試験を突破すると、いよいよ死ぬことが出来る。合格者は幸せな気分で恐怖も痛みもなく死んでいけるため、このような高倍率になるという

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86犬. 夜になるとこの辺りには沢山の犬を散歩している何かが出る。その何かはリードを持っているのだが、どう少なく見積もっても50以上である。何かは住宅地のチャイムを押して回るのだが、決して出ては行けない。インターホン越しに声を聞くと喘息の発作のような音が聞こえる

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87ダブル. 301号室にはダブルベッドが1つとセミダブルのベッドが1つ置かれている。奇妙に思ったので清掃員に尋ねたところ、床に描かれている絵を隠すためだという。床には大きな目玉が2つと、笑った口が描かれていて、いつのまにかそこにあったらしい

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88ろくすけ. 夜中、ゲラゲラと笑い声がしたらそれはろくすけのしわざであるが、ろくすけ自体は笑っているのではなく、そういう声しか出せないだけで、実は何かから助けを求めているらしい。だからゲラゲラという声がしたらゲラゲラと笑い返してやれば諦めてくれるそうだ

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89爪切り. 祖母が使っていた机の奥から古い爪切りが出てきたので使ったところ、爪が2度と伸びなくなってしまった。しばらく放っておいたが庭の雑草をむしっている時にハッとしてその爪切りを持ち出し、使ってみたところ、雑草は２度と生えてこなかった

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90おおぐち. いつものドアをあけると、それは巨大な口である。嫌な匂いが立ちこめているのでわかる。ドアを開けるときは、いつも前を向いていないと、大口にまるのみにされ、7日間吐き気に苛まれながら溶かされてしまうだろう

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91コントローラー. ラジオ好きの友人はある時間になると必ず寿司の歌を唄うクセがあったのだが、ある日突然ラジオ局から電話がかかってきて「2度と聞かないでください！」と言われ、周波数をあわせても放送が聞けなくなってしまった。唄うクセも消えたという

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92蟻. 祖父から貰った古い腕時計が動かなくなってしまったので、デパートに持っていったのだが店員が首を傾げている。動力源が分からないそうなのだ。代わりに中から小指の先ほどの虫の死骸が出てきて、図鑑にも載ってない種類だと言う

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93空間管理人. 格安の物件に飛びついたのだが、不思議なことが起こる。悩んでいるとエレベーターロビーで女性が「部屋に幽霊が出る」と電話をしていたので「僕もなんです」と話をした。詳しく聞くと彼女と僕の部屋番号が同じだった。不動産屋曰く「認識はできませんが相部屋なので」とのこと

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94切に願う. 刀をご神体としている場所はたくさんある。ご神体となった数多くの刀のうち、7つが特別な力を持っており、それぞれの場所で願いを言えば、どんなことでも叶うと言う。七刀に願う、つまり「切に願う」という説があるが、どの7本かはわかっていない

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95殺虫剤. 道具屋で買ってきた殺虫剤が全く効かないので、これは本当に殺虫剤なのか聞いたところ「確かに殺虫剤だが、少し具合が違って、虫の生殖機能を奪うのだ」と言う。そこら中にバラまいておけば、そのうち虫が減るというが、ひどく不気味なので倉庫にしまってしまった

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96丸焼き. 以前、旅行した際に爬虫類を丸焼きにしたものを振る舞われた。「早く食べろ」と急かされたが、熱そうだったので躊躇していると、お爺さんはゲラゲラと笑い出した。ようやく冷めたそれを齧ると、皮だけになっていた。皮だけでも非常に美味だったので惜しいことをした

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97ゴム草履. 100メートルほど後ろを歩いている人が突然と大きな声を出したので、振り返った。足の裏を見ている。釘でも踏んづけたのだろうと、独り合点し、歩みを進めようとすると、突然足の裏が猛烈に熱くなり思わず叫んでしまった。地中を何か高熱の物体が移動しているようだ

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98チキン南蛮定食. 髭の生えた老人はこの店唯一の常連で、いつも同じ定食を頼む。ある日「あの定食がなければ何を頼むのだろう」という好奇心が沸き「今日はいつものを切らしてしまって」と伝えると、水を１杯飲み帰ってしまった。その後老人は２度と現れなかったが、店は大変繁盛したという

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99ロリコン. 20代後半の男性が、小学生くらいの女の子と手をつなぎ歩いていた。警察官が「ちょっとお話いいですか」と話しかけるも、男の反応がない。何かがおかしいと思った警察官は男を強く引っ張ったところ、男はピヨピヨとけたたましい声で叫びだした。防犯グッズだと言う