写真とは事物との出会いを伝える媒体である

風の旅人 佐伯剛(@kazesaeki)さんの 「私は、現在のように実態のない無数の情報が氾濫する時代だからこそ、写真の力を信じている。なぜなら、写真には、事物そのものと出会わせる力があるから。人間の心は、身体器官の一部として存在しているのではなく、人間が事物と出会った時の生態反応。心が虚ろな時は、事物と出会えていない。」 に続く、写真に関する一連のTweetをまとめました。
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風の旅人編集長 佐伯剛 @kazesaeki

私は、現在のように実態のない無数の情報が氾濫する時代だからこそ、写真の力を信じている。なぜなら、写真には、事物そのものと出会わせる力があるから。人間の心は、身体器官の一部として存在しているのではなく、人間が事物と出会った時の生態反応。心が虚ろな時は、事物と出会えていない。

2011-11-14 23:48:23
風の旅人編集長 佐伯剛 @kazesaeki

心象風景のような写真は、共感を誘う。それは、見失っていた自分との出会いという言い方がされる時がある。しかし、この近代社会の中には、自分と同じような人間は無数にいる。その大勢の共感を得るものが人気者になるのだが、人気者の表現が、何か新しい事物と出会わせてくれるわけではない。

2011-11-14 23:52:59
風の旅人編集長 佐伯剛 @kazesaeki

近代社会の似たような考え方や感じ方をする人間が群れて、群れることで安心して、でもそれは群れから取り残されることに対する不安を常に感じ続けるということで、そんな不安定な感覚を現代的だと評価する詭弁家もいるが、私は、そういう堂々巡りから抜け出せそうな事物との出会いが一つあればいい。

2011-11-14 23:59:52
風の旅人編集長 佐伯剛 @kazesaeki

ここ15年くらい、評論家や賞の審査員が、写真を評価する際に「なんでもないような写真に見えるかもしれないが、そうではなく、実はとてもスゴイのだ」と、凡人にはわからないが、写真のことをわかっている自分にはその魅力はわかるのだという論法で評し、権威化された彼らの言葉に追随する者も多い。

2011-11-15 00:08:17
風の旅人編集長 佐伯剛 @kazesaeki

しかし、写真とは、究極、事物との出会いを伝える媒体であって、その事物が見る者の認識にどう働きかけるか、その強度はどの程度のものか、記憶への刻まれ度はどの程度のものか、その記憶化された写真という事物との出会いが人生にどう働きかけるかということ以外に、さして重要なことはない。

2011-11-15 00:13:13
風の旅人編集長 佐伯剛 @kazesaeki

赤ちゃんの写真は、誰が撮っても心を動かす。それは、赤ちゃんを撮る時に自分を投影しようとする人は、あまりいないからだ。赤ちゃんという事物との出会いだけがあるから新鮮なのであって、撮影者が自分を投影した赤ちゃんの写真なんか気持ち悪いだけ。写真の本質はそういうもの。

2011-11-15 00:18:59
風の旅人編集長 佐伯剛 @kazesaeki

写真の表現者とは、誰が撮っても心を動かす赤ちゃんを撮る人ではなく、多くの人が見落としている事物との出会いの力を再認識させる人。「普通に見えるけどスゴイ」等という詭弁は必要なく、写真を見た人が、事物を通して新たな認識と出会えてこそ、すごい表現と言えるのだろう。

2011-11-15 00:28:52