ポリコレムーブを「差別」からひも解く

昨今の社会運動では「差別」を問題にするものが多い。しかし、その内容というのは糾弾する側は「明らかだ」というが、糾弾される側には不明確なことがしばしばある。そこで、ちょっとその根源を探ってみたいと思う。
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狸穴猫/松村りか @mamiananeko

さて次は、なぜここまで「差別」が大きな問題になりやすいのか。 ここは欧米圏の用語を見ておかなくてはいけないだろう。   日本語の「差別」に対して、英語だと「discrimination」があてられることが多い。 まあ、大陸の多くが似たような表現なので英語で。 この語はかなり重いぞと。

2023-06-02 18:45:45
狸穴猫/松村りか @mamiananeko

分離をあらわす「dis-」という接頭辞が「crimination(criminateの名詞形)」にくっついている。   「criminate」は、「crime」を確定しようという意味から転じて「批難する」「告発」みたいな場面で使われる 語だな。   「crime」が絡んでる時点でかなり重い単語だわな。

2023-06-02 19:07:45
狸穴猫/松村りか @mamiananeko

ありがちな表現   discriminate against ~ だと、主体側が、against以下を敵対的に見て分離し、罪人扱いするイメージとも読み取れる。 奴隷貿易とか、魔女狩りやら、宗教戦争とか、ナチスドイツの民族浄化…とかを思い浮かべればわりとイメージできる。

2023-06-02 23:24:12

ラテン語「discrimen」と英語の「discrimination」

ぴ~ちゃん氏から、discriminationが、ラテン語のdiscrimen(区別)を語源とするという話が。いろいろ検討できて興味深かったです。

ノラ神主ぴーちゃんPete the Stray Shinto Priest @PeterYokoyama

Discriminate、ラテン語のdiscrimen(区別)ゆう語から来てるんですが、discremenはcrime(犯罪)ゆう語とは無関係です。discerno(区別する)に名詞化接尾辞menをつけたものやそうです。で、19世紀中頃まで今の日本語の「差別」やのうて、「区別」の意味で使われてました。 pic.twitter.com/JPaSob5uU8 twitter.com/mamiananeko/st…

2023-06-04 00:04:27
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狸穴猫/松村りか @mamiananeko

@PeterYokoyama 「判別式」が、その類語だからもともと「厳密な区分」という意味で使われていた部分はあると認識している。   とはいえ字面が字面なので「crimate」「crime」からの類推、延長での意味が乗りやすかったもとも思うのね。

2023-06-04 00:22:52
狸穴猫/松村りか @mamiananeko

@PeterYokoyama 書籍や新聞による文字文化の大衆化の話も絡みそう‥、あああ。

2023-06-04 00:28:35
ノラ神主ぴーちゃんPete the Stray Shinto Priest @PeterYokoyama

@mamiananeko 多分、crime/criminateとの連想で意味が変わっていった可能性はありますね。 で、大学時代にゴールドブレンドの「違いが分かる男」みたいな意味でdiscriminateの語が20世紀前半の英国で使われてたのを見て、驚いたのを覚えてるんですよ。

2023-06-04 00:50:46
狸穴猫/松村りか @mamiananeko

@PeterYokoyama うおお、それは! となるとやはりあやしいのは大陸(どっちだろうw)

2023-06-04 01:01:10
ノラ神主ぴーちゃんPete the Stray Shinto Priest @PeterYokoyama

@mamiananeko うーむ、どうでしょうw ところで、色んな辞書見てみたんですが、🇬🇧と🇺🇸で明確な差があるて訳でもなかったです。 どうあれ、まだ「区別」の意味がそれなりに残ってるようです。 twitter.com/PeterYokoyama/…

2023-06-04 01:32:23
ノラ神主ぴーちゃんPete the Stray Shinto Priest @PeterYokoyama

色んなオンライン辞書でdiscriminateを調べてみた。 第1義が「区別」 Oxford🇬🇧Merriam-Webster🇺🇸Wiktionary🇺🇸 第1義が「差別」Collins🇬🇧Cambridge🇬🇧Longman🇬🇧Macmillan🇬🇧Dictionary.com🇺🇸Google🇺🇸 うーむ。

2023-06-04 01:23:43
狸穴猫/松村りか @mamiananeko

@PeterYokoyama じゃあ、やっぱりドーバーより東の大陸~その奥の方(の思想)が怪しくなる…ということになっちゃうじゃないですかw。

2023-06-04 01:47:30
狸穴猫/松村りか @mamiananeko

@PeterYokoyama とりま discriminate A from B と、 discriminate aginst A で、だいぶ意味違うと思うのよねえ。 上なら単純に弁別って意味にとれる。

2023-06-04 02:03:56

いろいろ検討できたが結論としては

現状、英語の「discrimination」はかなり「罪」といった印象が乗っかった強い言葉である模様だが、語源であるらしいラテン語の方は、比較的色の付かない「弁別」程度の意味であった模様である。

字面上「crime」を含むことから、文字文化の大衆化に伴う、連想的言語理解により、

「discriminate against A」

の意味が主流になる方向に変化していった可能性はあるだろう。

ここでは本邦内の「差別論」の変化についてのみ扱うので、英米言語圏での変化の詳細についてはこれ以上。追わないこととする。

 

ともあれ、本邦での「敵味方」は属性や宗教から遠い

狸穴猫/松村りか @mamiananeko

日本でいう「差別」には、discriminationほどの、敵対意識や罪とか罰といったイメージは薄いような気がする。   比較的近いのが「穢れ」絡みの区分だろうが、忌避感は生じても、属性に対する敵対意識や憎悪までは、発生しにくいように思う。

2023-06-02 23:34:13
狸穴猫/松村りか @mamiananeko

八百万の神様+仏様がデフォルトの本邦では「宣教」「伝道」といったものが無意味化されやすく、一神教対一神教的な敵対意識が生じにくいこともあっただろう。   因果応報の拡張解釈で前世を持ち出すとかしなければ「生まれながらの罪」などもない。

2023-06-02 23:43:33
狸穴猫/松村りか @mamiananeko

敵か味方かは、属性や信仰の枠外の経緯によってできあがることの方が多い。 「敵ながら天晴」というフレーズにあらわれるのは「コトの経緯という運」と「敬意」であるような気がする。   日本語の「差別」は、discriminationほどの強い意味をもちえないだろう。

2023-06-02 23:52:16
狸穴猫/松村りか @mamiananeko

となると昨今の反差別運動家が「discrimination」に近い意味で「差別は許されない」を叫び続けるのか、という疑問が発生する。 明治開国以降、辞書の編纂が盛んだったあたりで、discriminationの訳語に「差別」があてられたことが大きいのだろう。

2023-06-03 00:40:49

明治末の辞書を見ると…

狸穴猫/松村りか @mamiananeko

とはいえ、それで簡単に定着するもんでもなかったようだ。 明治44年の三省堂模範英和辞典、「差別」という訳語が当てられてはいるが、「区別」と併記されているし、どこかトンチンカンである。 やはり日本人にはdiscriminationはなじみにくいものであったようである。 pic.twitter.com/pLb30Me8rK

2023-06-03 00:54:05
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狸穴猫/松村りか @mamiananeko

今のように海外ニュースがホイホイ入ってくる時代ではない。    熱心に欧米言語を学ぶようなインテリでない限り「discrimination」という語には触れることもないし、その概念も、そもそも縁遠いものだっただろう。

2023-06-03 01:03:56
狸穴猫/松村りか @mamiananeko

日本語としての「差別」に「有利・不利」の文脈があらわれてくるのは「貿易・関税」のジャンルであったようだ。まあこれは必要上理解ができる部分である。   「迫害」といったニュアンスは、明治末頃にならねば出てこないようである。 」

2023-06-03 02:00:49

キリスト教の流入と「差別」の変質

狸穴猫/松村りか @mamiananeko

国会図書館サーチで「差別」を年代を「~1900」で調べて見ると「差別」と「区別」の用法の違いはあまり感じられない。   明治末ころからキリスト教の文脈で、大正に入ったころから、水平社運動、農民運動の文脈で「平等-差別(迫害)」といった対立図式での表現が少しずつ現れてくる。

2023-06-03 02:14:31
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