人口1人になった『島戸』集落を訪れてみた。

9
R774@まとめ屋 @kendou774

スレッドにします。 『限界を超えた限界集落』人口減少が進む現在の日本。多くの集落で人口が減少し、存続が限界に達した集落は少なくない。荒々しい外洋と断崖に囲まれた人口1人の集落。今、この集落も限界に達している。限界を超えた先には何があるのか。人口1人になった『島戸』集落を訪れてみた。 pic.twitter.com/J2uSMh0sb6

2023-07-02 16:31:46
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

高知県窪川町(現・四万十町)に属する島戸集落は、太平洋に面し、背後には100~200mの急斜面が迫る。また、アクセス路は断崖を通る一本道のみで、外部から孤立した環境にある。ネット上での情報は限られており、分かったのは、島戸山に神社があったこと、今も1世帯が居住していることぐらいであった。 pic.twitter.com/MC9wjOVjOq

2023-07-02 16:32:52
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

清流四万十川で有名な窪川町。町の大部分が標高約200mの高南台地で占められる。一方、高南台地が太平洋に落ち込んで形成された海岸線も存在する。海岸線には土佐湾に突き出た三崎半島があり、その中には白浜と遠浅で知られる小室の浜がある。島戸集落は、この三崎半島の根本に位置している。 pic.twitter.com/H9PrKM54K7

2023-07-02 16:34:18
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

これが島戸集落への車道なのか。荒々しい外洋に対して、実に頼りない車道だ。三崎半島の根本となる小室の浜末端から島戸への車道が通じる。車道を進むにつれ、海面からの高さが増していく。転落防止設備はあるが、根本が崩れていたりする。潮風に曝される環境にあり、保守しても追いつかないのだろう。 pic.twitter.com/OF9aXddrXw

2023-07-02 16:35:24
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

気がつけば、海面からの高さが40mほどになっていた。車道脇に小さな祠があり、お地蔵様の前掛けには昭和二十六年とある。車道ができたときに置かれた祠だろうか。一旦、車道は海岸線を離れ、内陸部に入り込む。沿道には新しい電柱が立つ。人の暮らしがある限り、インフラは保守され続けるのだ。 pic.twitter.com/hxRaqXlgmK

2023-07-02 16:36:33
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

更に車道を進むと、再び海岸線に出た。崖下から激しい波音が聞こえ、外洋の力強さを感じる。小室の浜から約1km、断崖を回り込むと島戸集落が見えてきた。島戸は、長宗我部地検帳(1588年)にシマト村として現れることから、400年以上の歴史がある地と考えられ、相当古い集落といえる。 pic.twitter.com/sggeYQohIN

2023-07-02 16:37:42
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

『島戸集落』 絶え間なく波の音が響く。断崖の続く海岸線にできた僅かな谷間に、ささやかな集落が佇んでいた。ミニチュアのような美しさがある。ただ、人の気配がしない。集落の家屋は、一軒を除いてどの家も空き家になっている。耕作地は放棄され、最新の航空写真に写る田圃も耕作を諦めた様子だ。 pic.twitter.com/tXRkKfZs0t

2023-07-02 16:41:03
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

島戸の島戸山には神社があったという。神社は地理院地図上の標高点52mの場所と予想し、登るつもりでいた。しかし確信がない。そこで、例の一軒を訪ねてみた。幸いにもご主人(以降Kさんとする)が在宅中であり、お話を伺うことができた。(Kさんからお聞きした内容は後ツイートに纏める) pic.twitter.com/11IRTCzfKX

2023-07-02 16:42:13
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

集落の海岸へと向かった。海岸線から島戸集落を眺める。集落の全てが緑に侵食され、耕作地や賑やかな暮らしは残っていない。ちなみに、Kさんが仰るには、神社は標高点52mではなく違う場所にあり、神社への道も通れないらしい。未練はあるが、神社への訪問は諦めて帰ることにする。 pic.twitter.com/BYokS8B5OY

2023-07-02 16:43:21
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

『道がある』 帰ろうと思い、何気なく周囲を見回した。谷筋の奥に石垣が見える。気になったので石垣へ向かうと、石垣の向かいに山道があるではないか。この山道こそが、神社への道に違いない。期待しつつ山道を辿る。明朗な山道はどこまでも続いている。先にある鈴集落まで通じているのかもしれない。 pic.twitter.com/oE0PUF2e1F

2023-07-02 16:44:11
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

神社を探して山の中を彷徨った。長年の勘を働かせて、神社がありそうな地形を探す。しかし、神社は見つからない。時は無情に過ぎていく。彷徨い始めてから3時間経ち、神社への訪問は諦めることにした。神社は訪問できなかったが、地理院地図にある鈴集落への山道を発見できたことは大きな収穫だった。 pic.twitter.com/x2Ci2OL8Ce

2023-07-02 16:45:21
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

『島戸の神社』 海岸近くまで戻ってきた時、何かの影が見えた。あれは鳥居だ。さらに近づくと、周囲に瓦や木材が転がっている。建物は残っていないが、間違いなく神社跡だ。神社は海岸近くにあった。興津の八幡宮に合祀されているが、島戸の神様は元々ここに居たのだ。神様はいないが手を合わせる。 pic.twitter.com/1SS0rzZu1F

2023-07-02 16:46:36
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

Kさんからお聞きした内容を画像に纏める。Kさんのお話がなければ、島戸集落の神社を見つけ出すことも、島戸の暮らしを知ることも、何一つできなかったのは間違いない。帰り際、Kさんにお礼を言って島戸を後にした。 pic.twitter.com/3VEoNHIvv7

2023-07-02 16:47:54
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

小室の浜にやって来た。美しい白浜の向こうに島戸集落が見える。島戸は人口1人となり、集落は存続の限界を超えようとしている。それでも、電気、電話、道路など、暮らしに必要なインフラは維持されている。では、限界を超えるとどうなるのか。島戸から遠くない場所に大鶴津・小鶴津という集落がある。 pic.twitter.com/4Zwm7uxe08

2023-07-02 16:49:06
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

大鶴津・小鶴津集落も島戸と同様に、外洋に面した険しい一本道の先に集落がある。大鶴津・小鶴津は存続の限界を超えて、2014年に無住化した。無住化後しばらくして、集落への一本道が廃道になり、現在では集落にアクセスすることすらできない。人の暮らしがなくなり、インフラが打ち切られたのだ。 pic.twitter.com/EKSnvIUHJx

2023-07-02 16:50:04
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

このように、存続の限界を超えた集落は、人の暮らしだけでなく、暮らしを支えるインフラも消失してしまう。それは、長年に渡り築かれてきた生活圏が崩れ去ることを意味している。『限界を超えた限界集落』は、日本の生活圏が縮小していく様子を象徴しているのだ。 pic.twitter.com/b0TqA4AY2H

2023-07-02 16:51:13
拡大
拡大
拡大
拡大
R774@まとめ屋 @kendou774

以上で島戸についてのツイートは終わりです。お話を聞かせていただいたKさんにはこの場を借りてお礼申し上げます。 pic.twitter.com/9Atj0G8SJD

2023-07-02 16:53:18
拡大