フィジシャン、ヒール・ユアセルフ #6

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ナックラヴィーのアンデッド側頭部めがけ、ニンジャスレイヤーは裏拳を繰り出す!「アバー」ナムサン!なんたる非凡なニンジャ反射神経!ナックラヴィーはオーセンティックなカラテ・ガードでこの裏拳をガード!ニンジャスレイヤーもあの七色の汚染にやられてしまうのか?……否! 20

2011-11-23 23:27:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

見よ!それはドウグ社謹製ブレーサー!その剛健な合金が毒の浸透を妨げ、ニンジャスレイヤーの拳は無事であった。さらに左の裏拳を顔面に叩きつけにいく!「イヤーッ!」「アバー!」ナックラヴィーはブリッジを繰り出しこれを回避!さらに3連続でバック転し、間合いを取ってカラテを構え直す! 21

2011-11-23 23:30:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『なんと愚かな。ワシの指示通りやれば、今頃このニンジャは蹴りで首をちぎり飛ばされ、そこの瓦礫を一飛びに越えておったであろう』ナラク・ニンジャがニューロンに失望の呟きを流し込む。『そこでのびておるブザマかつ無価値な敗者をカイシャクさせるに任せ、その隙に仕留めるのが正解だ』 22

2011-11-23 23:37:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(黙れ)ニンジャスレイヤーはナラクの声を遮った。そしてネザークイーンを見下ろした。知った相手である。意識を失い、油まみれのミイラめいて横たわっている。だが命はある。ニンジャ洞察力がそれを知らせた。「……」ニンジャスレイヤーはナックラヴィーを見据え、ジュー・ジツを構えた。23

2011-11-23 23:46:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「飼い主のブルーブラッド=サンは既に私が潰した」じりじりと間合いをつめるニンジャスレイヤー。「腐れ犬め。次はオヌシだ」「……潰シタ。ブルーブラッド=サンヲ」ナックラヴィーは不可解そうに首を傾げてみせた。「ナルホド。ソウイウ事ニ、シテオケバヨイ。ワザマエヲ見セテミヨ」 24

2011-11-24 00:08:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーの両腕がムチのようにしなり、二枚のスリケンが投擲された。敵は接触対象に名状しがたい病毒を押しつける不浄のジツの使い手だ。不用意な接近は命取りになりかねない。「アバー」だが、やはりこのスリケンもナックラヴィーは指先で挟み取ってしまった! 25

2011-11-24 10:58:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」しかしニンジャスレイヤーはスリケン投擲を止めはしない。10枚でダメなら20枚、それで足りぬなら100枚、1000枚!これは世界のあらゆる事象に適応できる第一のセオリーである!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「アバー……」 26

2011-11-24 11:02:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

やがてナックラヴィーは指で挟み取るやり方では防ぎきれず、ガード姿勢を取る。集中投擲されるスリケンはナックラヴィーのガードに弾かれ、その周囲に小山のように積もり始める。側転やブリッジで回避しないのではない。できないのだ。少しでも別の動きを取ればスリケンは立て続けに命中する。 27

2011-11-24 11:21:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバー……ナルホド……」ナックラヴィーはガード姿勢のまま、摺り足で徐々に接近を始めた。やや前傾姿勢の、さながらそれは強風に逆らう南極冒険家めいた前進である。絶え間ないスリケン投擲を続けるニンジャスレイヤーであるが、その目は充血し、極度の集中で目の周りには血管が浮き出ていた。28

2011-11-24 11:33:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「アバー……」ナックラヴィーは前進を続ける。時折その呪われた筋繊維がわずかに剥がれ飛ぶが、アンデッドのダメージとして期待できる内容ではない。二者の間合いは徐々に狭まりつつあった。 29

2011-11-24 11:50:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはなぜ後退しつつ投擲しないのか?側転等の動きを挟んで間合いの調節をはからぬのか?これはナックラヴィーと同様の事情による。相手の反撃や回避動作を封じて釘付けにできる連射速度を維持するためには、両脚で大地を踏みしめ投げ続ける必要があったのだ。 30

2011-11-24 12:11:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

双方の極限のせめぎ合いが作り出した膠着状態は、しかし、ゆっくりと動きつつあった。恐るべきはナックラヴィーの適応能力、ニンジャ耐久力である。近づく。徐々に、徐々に近づく。ニンジャスレイヤーはどうか。策を改める時では無いのか?だが彼はスリケンを投げ続ける。 31

2011-11-24 12:41:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「アバー……」ナックラヴィーは前進を続ける。このペースだと数分後にはハカバ・ハンドがニンジャスレイヤーにリーチするであろう。どうするのだニンジャスレイヤー!だが彼は投げ続ける!そしてその瞳に、赤い光が、灯った! 32

2011-11-24 14:28:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「アバー…アバッ」ナックラヴィーが上体を僅かに揺らした。何かが起こった。「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「アバー…アバッ」まただ!上体をよろめかすナックラヴィー。何かが起きている!それはスリケン! 33

2011-11-24 14:31:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「アバー…アバッ!」まただ!ナックラヴィーは前進を停止し、訝しげにガード姿勢を取り直した。読者諸氏の中にニンジャ反射神経の持ち主はいらっしゃるだろうか?その場合見えたはずだ。十枚に約一枚の割合で混在するそれが! 34

2011-11-24 14:41:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

それは黄泉の鍛治場の炉めいて赤熱したスリケンであった。ニンジャスレイヤーの投げるスリケンの中に時折混じりだしたそれは、彼の瞳に灯る超常の炎と明らかに連動していよう。そのスリケンはカラテ・ガードするナックラヴィーのアンデッド腕に突き刺さり、えぐり、肉を削ぎ取る! 35

2011-11-24 14:47:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「不可思議ナ……スリケンジツ、アバッ?」ナックラヴィーのアンデッド腕に赤熱のスリケンがさらに突き刺さる。ナックラヴィーはバランスを崩す。赤熱スリケンの含有率が増してゆく!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「アバーッ!?」ゴウランガ!ガードが破れた! 36

2011-11-24 15:26:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」さらに投げる!赤熱のスリケンを!「アバーッ!」ナックラヴィーは瞬時に捨て身の判断を下し、左肩でこれを受ける!肩が爆ぜた!重篤なダメージ!だがナックラヴィーはそのまま片手で側転、そして回転跳躍!なんたる機敏!「アバーッ!」空中から渾身のチョップ攻撃を振り下ろす! 37

2011-11-24 15:35:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは手の甲で奇襲攻撃を迎え撃つ。チョップとブレーサーがぶつかり合う!合金は毒の伝達をやはり阻止!だがナックラヴィーはもう一撃繰り出した。ちぎれかかった己の左腕を右手で自ら引きちぎり、それを持ってニンジャスレイヤーを殴りつけたのだ!「アバーッ!」 38

2011-11-24 15:41:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはこれをもブレーサーでガードしようとした。だが「グワーッ!?」叩きつけられた上腕部は防いだものの、肘関節から先が多節棍めいて折れ曲がり、ニンジャスレイヤーの肩甲骨のあたりを直撃した!一瞬であるが汚染のさざ波がニンジャスレイヤーの上半身を苛む!「グワーッ!」 39

2011-11-24 15:55:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」片膝をついて堪えながら、ニンジャスレイヤーは反撃!ナックラヴィーのみぞおちに正拳を叩き込む!「アバーッ!」直撃だ!ナックラヴィーは吹き飛び地面をゴロゴロと転がった!「ヌゥッ……ヌゥーッ」ニンジャスレイヤーは呻く。全身が灼ける感覚、力が地面に染み出す不快感! 40

2011-11-24 16:03:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『フジキド!ウカツめ!接触を許すとは』ナラクの耳障りなノイズ信号が流れ込む。共鳴が切断されたのだ。『幸い病毒は浅い!だが次は無い。用心し今すぐカイシャクせよ。畳み掛けよ。ビョウキ・ニンジャ滅すべし……』声はみるみる遠ざかった。(言われずとも)ニンジャスレイヤーは駆け出す! 41

2011-11-24 16:26:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナックラヴィーは体勢を整えきっていない。この機会を逃してはならぬ。死体でありながらこれほどのカラテ。ナラクがその名を記憶するほどのアーチニンジャのワザマエ、実際恐るべし!ニンジャスレイヤーは殺意そのものとなって走る!一気に接近し、全力の蹴りで一撃のもとに頭部を破壊するのだ! 42

2011-11-24 16:46:41