三国志こばなし集 2023年7月号(下)現パロ編

三国志こばなし集 @omikanboy3594

"あの人"とはこの長編こばなしに出てくる人です pixiv.net/novel/show.php… twitter.com/omikanboy3594/…

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于禁のアトリエ…小さな劇場のそのまた近くの小さな建物をアトリエに改修し、"あの人"の絵や落書きに詩集をひっそりと展示し始めた。 気づく人が気づかないと分からない所にあるそうで、展示を見たら泣かずにはいられないとの評判。

2023-07-19 17:00:42

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曹操「思わぬ再会だな、鮑信」 鮑信「全くだ、孟徳」 于禁「…左足金徳」 鮑「！」 曹「くそっ！」 鮑「短躯のお前が私に勝てると思うな！」 曹「ならばここだ！」 鮑「ぬう！」 夏侯惇「…鮑信殿といえば兗州済北の太守では？」 鮑「正確には副太守かな、夏侯惇殿」 惇「…歪なポーズですな、鮑信殿」

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鮑「若い頃なら貴重なサービスカットだぞ？」 夏侯淵「今はおっさんじゃねえですか」 于「こんな写真を抜かれて譴責されたくないでしょう」 鮑「むむむ」 曹「なにがむむむだ！」 鮑「于禁！早く回さんか！」 于「…右足水徳」 曹「そら！」 鮑「しまった！」 曹「〜」 鮑「!?」 曹「お前の負けだ！」

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鮑「…貴様何をしてくれた、孟徳」 曹「耳が隙だらけだったのでな」 鮑「くそっ！」 惇(同レベルではないか) 淵(でも片や地方の副太守でもう片方は) 曹「聞こえているぞ、貴様ら！」 鮑「お前が無職とはなあ」 曹「好きでやっているからいいだろう！」 惇「孟徳」 淵「聞き捨てなりませんぜ」 曹「!?」

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曹操…会って早々おっさん同士が本気でツイスターやるほど仲良しだった。 鮑信…若い頃は二枚目俳優として鳴らしていたが、政を志してからは芸能界と明確に距離を置くようにした。

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夏侯惇…いい酒を土産でくれたのは良いのだが… 夏侯淵…はしゃぎすぎて大家さんにどやされませんか？ 于禁…憧れの芝居の先輩がはっちゃけまくっててびっくり。

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鮑信「こんな美味い羹は初めてだ！」 夏侯惇「恐悦至極…」 鮑「毎朝私に羹を振舞ってくれないか？」 惇「!?」 曹操「貴様何を絆されているのだ、元譲！」 惇「バカな！」 夏侯淵「赤面してますぜ？」 惇「誤解だ！」 于禁「…さすがの芝居ですな」 鮑「こればかりはお前に負ける気はないぞ、于禁！」

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鮑「よもや于禁を生き返らせてくれた者たちが、孟徳だったとは」 曹「まだいるぞ？」 鮑「礼を言わせてくれ、みんな」 惇「そんな深々と！」 鮑「窮屈な芝居しかできぬ不器用な後輩だったのだがなあ」 于「…」 鮑「肩の力を抜けるようになったおかげか、実に伸び伸びとした芝居ができるようになった」

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曹「いい顔になったのは間違いないよな！」 于「…」 鮑「これからもよろしくな！」 惇「無論です」 曹「ところで鮑信」 鮑「ん？」 曹「本初らはどうしている？」 鮑「…またの機会でいいか」 曹「だな」 鮑「その話をするならば、キチンと準備をした上で、話させてくれ」 曹「分かった」 鮑「おう」

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曹操…異様なほど情報が出回らなくなった袁紹らの動向が不穏な気がしてならない。 鮑信…翌日寝坊してスタッフに平謝り。 夏侯惇…鮑信の口説きの演技にドキっとしてしまった不覚。 夏侯淵…遊んでる時はアホおっさんでも仕事スイッチ入ったら顔つき変わるからな。 于禁…もう少しで本調子になれそう。

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曹植「…」 楊修「子建さん。そろそろ」 曹「また七歩詩か？」 楊「あれはあなたの代表作ですから」 曹「曹丕プロデューサーの無茶振りに応えてやっただけの即興曲だ。そんな詩を代表作にしないでくれ」 楊「…お気持ちは分かりますが」 曹「…」 楊「子建さん？」 曹「少し黙ってろ、楊修」 楊「…」

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袁煕「それでは今宵のトリを務めていただきますのはこの方！」 甄氏「天才歌手！曹植さんです」 曹「…」 袁「…？」 甄「…曹植さん？」 曹「…」 甄「…」 曹「できました」 甄「…よろしくお願いします」 袁(なんだ？) 曹「♪〜」 袁「…時間が限られていますので」 甄「お静かにされて」 曹「…」

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曹「黃初三年,余朝京師,還濟洛川。古人有言,斯水之神,名曰宓妃。感宋玉對楚王神女之事,遂作斯賦」 袁(まるで違う歌じゃないか) 甄(お黙りなさい) 曹「余告之曰 “其形也,翩若惊鴻,婉若游龍。榮曜秋菊,華茂春松。仿佛兮若輕云之蔽月,飄飄兮若流風之回雪。遠而望之,皎若太陽升朝霞…」 甄(子建さん…)

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曹植…即興で凄まじい詩と曲を作り上げる天才歌手として話題に。今回の即興曲の洛神賦は誰に宛てた詩だったのか… 楊修…曹植のマネージャー。色々小賢しいらしい。 袁煕…素敵な詩だったのにものすごく気に食わないのは何故だろう。 甄氏…曹植の気持ちが切ないほどに届いてきて胸がいっぱいに。

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周瑜「…」 小喬「公瑾？」 周「…想像もできない音楽家が生まれたものだ」 小「今の曹植くん？」 周「ああ」 小「公瑾だって負けてないでしょう？」 周「それが完敗なんだよ、小喬」 小「え？」 周「…今でこそなんだかんだで音楽教師をしているが、それらは全て誰かから習った音楽の模倣にすぎない」

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小「…」 周「今の曹植の詩は、全てが全て即興でありながら、曲のみならず詩までも完璧だった」 小「すごい…」 周「のみならず、誰か一人のために誠心誠意唄った詩でもあるんだよ」 小「…あなたはそこまで分かったの？」 周「分かったつもり、かもしれないが」 小「それが悔しいの？」 周「とても」

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小「やれやれ」 周「小喬？」 小「じゃあ今から私だけのラブソングを即興で作って」 周「なに!?」 小「できないとは言わせないわよ？」 周「…少し待ってくれ」 小「ふーん。曹植くんは即興で作れたのにあなたはできないのね？」 周「…私を本気にさせたな、小喬」 小「へえ？」 周「私の唄を聴け！」

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周瑜…勢いで小喬への愛をぶちまけた詩を即興で歌い上げまでしまったが、めちゃくちゃ恥ずかしい内容になってしまった。 小喬…めちゃくちゃダサかったけど、それはそれでアリだった。姉上に教えてあげよう！

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朱異「面！」 周泰「！」 朱「!?」 周「止め」 朱「…また私は勢いに任せて前に出てしまった」 周「朱異」 朱「はい。師範」 周「踏込みの鋭さに磨きがかかっている」 朱「ええ!?」 周「お前の良さだ。さらに磨きをかけると良い」 朱「ありがとうございます、師範！」 周「朱異」 朱「…なんですか？」

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周「昨今の稽古から、お前の腕の上がり方が尋常ではない」 朱「そんなまさか！」 周「私が弟子におべっかを使う男だと思うか？」 朱「いえ…」 周「何かあったのか？」 朱「…絶対に、守り抜きたい友達ができたのです」 周「ふむ」 朱「ですから俺の手の届く範囲にいる限り、絶対に友達を守りたい！」

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周「見事な覚悟だ、朱異」 朱「そんな」 周「お前の守りたい友人と、一度会ってみたいものだな」 駱統「朱異さん！今日の稽古も頑張ってくださいね！」 朱「駱統くん!?」 駱「私ももっと大きくなったら武術をやりたいので！」 朱「…その時は俺が教えてあげるよ」 駱「やった！」 周「…なるほどな」

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朱異…駱統や丁奉や留賛と同じクラスの仲良し組。剣道部に所属しており、日々自分でも驚くほど腕が上達している毎日だとか。 周泰…剣道部師範。孫権が出張する時はボディーガードと勤めているらしい。居合いの達人らしい。 駱統…まだ小さいから武道のクラスに入れないが、やる気は満々！

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王粲「…」 曹丕「やあ、王粲」 王「久しぶりですな、曹丕殿！」 曹「君が渋い顔をしているなど珍しいではないか」 王「…まああなたに言った所で、かえって事が荒立つ方向にしかならぬと思いますが」 曹「なんだ」 王「詩文教室を開催した時の議事録をご覧いただきたい」 曹「どれ」 王「…どうです」

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曹「…詩文を銭にするにはどうしたら良いか」 王「…」 曹「専属の編集者を紹介してもらえぬか…」 王「受講者は全員素人ですからね」 曹「なんと言ってよいやら…」 王「まず書けとしか答えようが無い質問ばかりでうんざりした次第です」 曹「まあそういうものだろうよ、王粲」 王「…そうですなあ」

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曹「書く事に情熱を持った受講者だっているではないか」 王「ええ。彼の質疑には誠心誠意答えたつもりですが」 曹「詩文だの創作だので銭をもらえる事の重大性が分かっておらぬよ」 王「全くです」 曹「物書きなど業でしかない」 王「私だって書かずにいられぬからやむなく書いているだけですからな」