容疑者、被告の知的障害把握 日弁連がチェックリスト作成を受けての蒔田さんの思い

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蒔田備憲 @kusakanmuri_m

①滋賀県で以前、手帳を所有していないけれど、軽度の知的障害の「疑い」がある被告の事件を取材したことがある。以前にも、窃盗事件を起こしていて、執行猶予中の犯行だった。そのままなら実刑判決を免れない状況で、それを避ける道筋を作ったのは、意識の高い弁護士の取り組みだった。

2011-11-26 17:35:24
蒔田備憲 @kusakanmuri_m

②事件は、被告が210円のさい銭を盗んだ、というもの。2年前、窃盗罪など6県で懲役1年2月、執行猶予3年の判決を受けていた。その判決で「知的判断力の乏しさが認められる」とされたが、その後は障害認定のテストを拒否し手帳を持たなかった。福祉サービスにのらないまま、再犯に至った。

2011-11-26 17:36:15
蒔田備憲 @kusakanmuri_m

③取材した公判の被告人質問では、金を盗んだ理由を、「服が買いたかった」と説明した。「210円では買えないでしょう?」と尋ねられると「分かりません」。質問へのオウム返しが続き、合理的な説明はできなかった。傍聴していた私は、以前出会った、軽度知的障害者との会話を思い出していた。

2011-11-26 17:37:21
蒔田備憲 @kusakanmuri_m

④担当した弁護士は、こうした問題を描いた「累犯障害者」(山本譲司著)を読んでいたこともあり(もちろんそれだけではない)この裁判で「刑罰よりも、福祉の網に載せることが必要」と主張した。地元の民生委員、被告の母親とも協力し「更正の道は今しかない」として、執行猶予判決に結びつけた。

2011-11-26 17:38:14
蒔田備憲 @kusakanmuri_m

⑤こうしたケースは一例に過ぎない。法務省の「矯正統計年報」によると、10年に刑務所に新たに入った受刑者は約2万7000人。このうち、知的障害の「目安」となる知能指数69以下は6123人で、約2割。しかし、同年の新受刑者のうち、知的障害の認定を受けているのは、218人だ。

2011-11-26 17:40:06
蒔田備憲 @kusakanmuri_m

⑥知能指数だけではかれる問題ではなく、単純に結びつけることはできないのは理解している。ただ、様々な理由で福祉の網から漏れ、再犯を繰り返す障害者が少なくないはずで、この被告の状況が「特異」だとはどうしても思えなかった。

2011-11-26 17:42:22
蒔田備憲 @kusakanmuri_m

⑦被告のように迎合的な対応をすることも多く、警察官らの尋問であっさり罪を認めてしまうケースも多いと聞く。弁護士だけの行動で、この問題を解決できるわけではないけれど、その活動が防波堤になるのは間違いないと。一方で、逮捕に至るまでに防ぐ方法も考えていかなければならないだろう。

2011-11-26 17:42:56
蒔田備憲 @kusakanmuri_m

⑧手帳を取ればいいという単純な問題ではない(持っていても同種の事件は起こりうる)。取材したいくつかのケースでは、家庭、地域から孤立した状況の結果、起こる事件が多かった。そこで家族や地域に原因を求めるのではなく「制度の漏れが発生する」現状を、考えていかなければならないのだと思う。

2011-11-26 17:44:51
蒔田備憲 @kusakanmuri_m

⑨以上、最後の部分は十分考えがまとまっていないのですが、終了です。意見はあくまで個人のものです。ご了承ください。過去の事件は、私が当時、記事にしている範囲で、構成しています。

2011-11-26 17:46:03