ストレイトロード:ルート140(71~72周目)
- Rista_Bakeya
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140文字で描く練習、3547。小麦畑。 提供: @H_tousokujin 何かがおかしい絵画のようなイメージで。
2023-06-07 18:46:47変装して雑踏に紛れた藍を見つけた方が勝ち。相手は手下が大勢、こちらは私一人。頭領の笑みは余裕の表れか。「行け!」花火を合図に若者達が四方に散った。騒々しい集団がいなくなってから、藍が私の鞄から眼鏡を持ち出す瞬間を思い出した。不利は知識と推理で補うしかない。ヒントは地味な眼鏡一つ。
2023-06-08 20:05:03140文字で描く練習、3548。眼鏡。 提供: @raaaaaaaaaaaa14 藍が探すよりは格段に難しいはず。
2023-06-08 20:05:03働かせ過ぎをたしなめられた影響か、藍は今朝から何度も強調した。「何もしないで休んでて」実際には紅茶の葉が開くまで待つ時間も与えられなかった。キッチンから溢れる白煙も掃除機が暴走する音も、黙って見守れる失敗の域を超えている。つい駆けつけては藍に叱られた。「だから待っててちょうだい」
2023-06-09 19:31:55140文字で描く練習、3549。待つ。 お題枠が余ったので、先月参加しそこねた300字SS企画のお題を勝手に借ります。
2023-06-09 19:31:55道の途中には枝を折った痕跡がほぼ等間隔に残っていた。放棄された村を再開拓した集団が帰り道の目印にでもしていたのか。「真似するなよ」近くの枝に手を伸ばした藍をガイドが止めた。「よその連中の嫌がらせもお前のせいにされるぞ」折れた道の先は崖に続いているという。小さな手がすぐ引っ込んだ。
2023-06-10 19:16:13派手な王冠を被ったようなビルを見た誰もが怪物の巣だと避ける。藍は中に幼体がいるとまで言う。しかし下層には人が住み店まで構えていた。「大事な土地なんだ、手放すものか」例え危険な相手でも建物を明け渡すことこそ敗北と店主は断言した。巣に使われた廃材が今にも落ちてきそうな現実を無視して。
2023-06-11 20:23:22庁舎を出た後に近づいてきた女は市長の支援者を名乗り、藍の親は何者なのかと私を問い詰めた。不正が暴露される騒ぎを後ろで見ていたようだ。彼女の居丈高な態度に腹を立てるのは当然だが、情報も真相も話す余裕は与えられなかった。強く私の腕を引く藍は、その女の映像を見て追及の態度を真似ていた。
2023-06-12 19:41:05公共施設と違い個人の書庫は守られにくい。あると聞いた場所に行ったがそこは瓦礫の山で、手がかりを期待していた藍の横顔に落胆が表れていた。「もう一度人を集めるのよ。面倒すぎる」諦めていなかった。より広い更地に瓦礫を移動させると、原形を保った小屋が現れた。資料は無傷のまま埋もれていた。
2023-06-13 18:47:32独学で怪物の研究をしている少年が藍に協力を求めてきた。今は新聞やウェブから拝借した画像を並べ、姿の特徴や生息地から分類を試みているという。だが作りかけの図は無数の枝分かれに翻弄されていた。「十数年でこんなに増えたの?」「そんな早く進化しない。絶対どこかで隠れて生きてたはずなんだ」
2023-06-14 18:59:16140文字で描く練習、3554。枝分かれ。 空飛ぶクリーチャーたちが彼らの世界に現れてから、実はまだ日が浅い。
2023-06-14 18:59:16人間が造った砦は警戒対象の飛行生物にとっても魅力的な足場だったに違いない。攻防は夜通し続き、怪物の群れが根負けして去ったのは明け方だった。「まだ終わってない!」藍が叫んだ。兵士の半数が見上げた上空から落ちてきたのは、根ごと抜かれた樹木が一本。豪快な追い討ちが彼らを一番慌てさせた。
2023-06-15 18:59:36140文字で描く練習、3555。追い討ち。 毎日練習の自主ルールを改めて説明。 番号下2桁から五十音を割り当て、頭文字にしてまだお題に使ってない単語を探す。 見つけたらその単語をお題として、当日中に『ストレイトロード』ベースで140文字書く。 一応例外はありますがだいたいこんな感じです。
2023-06-15 18:59:36ロープを使い崖を登る藍をガイドが軽やかな動きで追い越していった。鋭い鉤爪がついた手製の道具は山で力尽きた怪物から剥ぎ取った物を加工したという。「倒したの?」「いいや、不時着してそのままって感じだったなあ」鉤爪の本来の持ち主を後で調べた。高層ビルを登って屋上から滑空していたらしい。
2023-06-16 20:07:09140文字で描く練習、3556。鉤爪(かぎづめ)。 都会の生物の素材を山で活用する。と書くとなんか変な感じもある。
2023-06-16 20:07:10「また来るぞ」見張りの声で作業員達が一斉に手を止めた。「向こうへ行った」ばらばらに動き出した。食糧庫を半壊させた怪物が上空をうろつく限り、片付けも修復も進まない。「あんなのにもし襲われたらと思うと」「作業を切り上げて帰るのを待ってるようにも見えるけど」藍の指摘に責任者が絶句した。
2023-06-17 18:58:48140文字で描く練習、3557。切り上げる。 気性はともかく、それの多くは人間よりずっと大きい体をもつ。争奪戦に有利な程度には。
2023-06-17 18:58:48牧場の外で悲鳴が上がった。それが人間のものではないと気づいたのは私が先かもしれないが、動作はどうしても遅れてしまう。走り出した勢いのまま柵をくぐる藍を止められなかった。「そっちはよろしく!」姿が丘の向こうへ消えてから声だけ届いた。家畜の避難だけでも間に合わせろとの指示と解釈した。
2023-06-18 19:08:14140文字で描く練習、3558。くぐる。 漢字では「潜る」と書きます。「もぐる」の方は使用済(1巻収録)。
2023-06-18 19:08:14論文を読んでいると藍が誌面を覗いてきた。多彩な怪物を飛行方法で分類する試みが気になったらしい。資料画像の中には彼女もまだ目撃していない姿形もあった。「これ見たことない。本物なら毛づくろい大変そう」長い毛と短い足の個体は寒冷地ではない街外れで目撃されたとある。「確かめに行かなきゃ」
2023-06-19 18:51:48