ストレイトロード:ルート140(71~72周目)
- Rista_Bakeya
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お知らせ
ブログ更新しました / 140文字の今後(他、いくつか報告): gekkado.blog.shinobi.jp/Entry/670/ 主に「ストレイトロード」の展開について。
2023-07-31 23:34:38化屋月華堂(webサイト)では、直近のイベント参加情報や過去の作品などすべてをまとめています。 Ristaが情報を発信するSNSアカウントも全部ここから見られます。 gekkado.jp
2023-07-02 08:19:40ピクスペに化屋コーナーを設置しました。 「ルート140」を除く一次創作組を置いています。 pictspace.net/bakeyagekkado 文学フリマの無配では化屋webサイトのアドレスしか書いてなかったので、そちらからもリンク貼りました!
2023-05-22 23:24:53今回の本編
必需品以外の買い物では常に藍が主導権を握る。両手に荷物を抱えて付き従う私を老紳士が呼び止めた。「子供だからと甘やかすのはどうかと思うがね」一言で済まない苦言に口を挟む暇がない。話を切り上げる隙を探しながら聞き続け、確信した。親だと誤解されている。振り返った藍は微妙な顔をしていた。
2023-04-22 20:24:42悠然と空を舞う翼を大砲のようなレンズが追っていた。「本当にあの子を捕まえる気ですか」少女はカメラを空に向けたまま藍に問いかけた。言葉と違って声は答えを求めていない。「あれを生き甲斐にしてはいけないですか」これから街へ降り立った怪物が何をするか、どうやら承知の上で言っているようだ。
2023-04-23 19:29:32手負いの怪物が目の前にいた。木の根だと思っていたものが胴で、私達を映した鏡は虚ろな目だった。細い体を空に運ぶはずの翼が激しく損傷している。人の反撃か、あるいは。「目撃されたの、この子かも」手を伸ばそうとした藍をとっさに抱えて下がらせた。獲物を逃した細い牙が音を立てて空気を噛んだ。
2023-04-24 20:15:40写真の中の丘には家があった。穏やかな暮らしを気に入り永住を決めたと夫婦は語る。「何もなくなったからって帰る気はないよ」土台の痕跡だけが残る丘の上に藍が世界地図を広げ、方角を合わせた。「さっき言ってた場所ってどの辺?」彼らの言う『せわしなくて窮屈な』祖国を見てみたくなったのだろう。
2023-04-25 19:12:21ボールを追って花壇に手を入れたら棘が刺さった。藍に伝えると使用人達が慌てた。「誰もここにイバラを入れた覚えないんだって」屋敷の住人である彼女も広い庭園の全てを知るわけではない。「犯人の心当たりはあるみたいだけど」しばらく前に揉め事を起こして辞めた庭師の置き土産かもしれないという。
2023-04-26 19:51:24低木と石ばかりの荒野を見渡し、地平線に沈む太陽と反対の方角に輝くものを発見した。星にしては地上に近すぎる。「町じゃないけど、人がいる」双眼鏡を構えた藍が目を輝かせた。本当なら引き返せない私達には丁度良い目的地になるが、問題は燃料だ。盗賊の待ち伏せを振り切って走破する余力はあるか。
2023-04-27 18:47:42瓦礫の山に登って撤去作業を見物していた藍が急に悲鳴を上げた。数名の作業員が彼女を足場の板ごと持ち上げて運び出したのだ。藍の視線は周囲から足元へ、途中からは明らかに彼らと私の腕を比較していた。肉体労働ばかりしていた時期はあるが、それだけで同じ筋肉が備わるならトレーニングは要らない。
2023-04-28 19:26:28ホテルのラウンジで新聞を読んでいると、突然首筋に冷たい感触がくっついてきた。心臓は動揺しても藍の仕業なら納得できる。振り向いたが誰もいなかった。保冷剤か何かと思ったものは生きた蛙で、私の肩を飛び降りどこかへ逃げた。虫取り網を構えた藍が従業員を連れて、全速力でこちらへ向かってくる。
2023-04-29 18:53:47夜の森で出会った若者達は、山間の湿地に怪物の群れが集まるとの噂を確かめようとして道に迷っていた。本当に遭遇しなくてよかったと安堵しつつ町へ連れ帰ったが、待っていたのは軽率な探検に対する説教だった。「で、そんな場所に子供連れてったお前は」「後で話します」藍の不機嫌な声が割り込んだ。
2023-04-30 20:03:20