戦車小話~シャーマンとIV号戦車の「発展性」どうして差がついた?

途中で性能向上の限界に達してしまったIV号戦車と、最後までいい感じの改良が出来たような気がするシャーマン戦車。それってどういう差があったんでしょうね?というおはなし。
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えすだぶ@C102日曜東3"ア"-33a @FHSWman

でもシャーマンは105mm榴弾砲の装備も最初から考慮していました。こいつの弾薬は31.07インチ(789mm)とまあまあ長いし重い。半固定弾薬だけど装填は一挙に行う形式なので、シャーマンはこの一塊を無理なく扱えることが考慮されねばならないのです。75mm野砲級に最低限必要なサイズより少し大柄になる pic.twitter.com/tRPUywtX0r

2023-08-07 16:50:38
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えすだぶ@C102日曜東3"ア"-33a @FHSWman

実のところシャーマンへの105mm榴弾砲装備の計画が実行に移されたのはシャーマンそれ自体の完成直後からですから、その前の構想しかなかった段階でシャーマンの計画にどれくらいの影響を与えたのかはハッキリしませんが。でもまあ実際にその取り回しが余裕をもって出来るサイズになってるのは確かです

2023-08-07 16:54:58
えすだぶ@C102日曜東3"ア"-33a @FHSWman

そして105mm榴弾砲まで考えたサイズとして作られたことは、後にシャーマンに更なる火力強化の余地を残すことになります。長砲身76mm砲やら17ポンド砲の弾薬は75mm野砲弾薬より遥かに長いですが、でも105mm榴弾砲対応の余裕を持った造りのお陰でどうにかこうにか扱えたわけですね pic.twitter.com/w4hLBepWAZ

2023-08-07 17:03:11
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ちなみに後のパーシング戦車の砲塔リング径もシャーマンと同じ。実際にパーシング砲塔をシャーマンに載せることも出来てしまうので、つまりシャーマンには長砲身76mm砲どころか90mm砲まで積めるほどの発展の余地があった! ……というのは、半分正しいけど実はちょっとチートもあって pic.twitter.com/vMLT6rk7o0

2023-08-07 17:09:30
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もともと長砲身76mm戦車砲までは、発射時に後座してくる砲尾に乗員が轢かれないように守る防危板は、きっちり後方までカバーする造りになっていました。ただこれは装填の際に邪魔にもなる。そこで90mm戦車砲では左右しかカバーしない小さな防危板にして、リング径そのままに使える空間を広げたのです pic.twitter.com/SeqWGYLc5w

2023-08-07 17:12:42
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つまりシャーマンの砲塔リング径に90mm砲をそのまま載せるのは無理で、従来より安全性を少し犠牲にする必要があったわけです。でもまあ後座スペース全体を囲わない部分的な防危板はむしろ戦後の主流になるものですし、パーシング砲塔が何かひどい不安全な設計だとかいう訳ではありません

2023-08-07 17:20:11
えすだぶ@C102日曜東3"ア"-33a @FHSWman

シャーマンの砲塔前面がボルト留めでごっそり抜ける構造になってたのも、正に武装バリエーションの作りやすさを考えたために採用された構造なんですよね。武装に関しては、シャーマンは本当に「発展性を考えて作られたので発展性があります」としか言いようがないのです pic.twitter.com/hzhb66XoDw

2023-08-07 17:29:22
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えすだぶ@C102日曜東3"ア"-33a @FHSWman

計画的に用意された武装換装可能性と、(偶然か必然かはよくわからない)馬力の余裕。これがシャーマン戦車の物理的側面における「発展させやすさ」の肝なのじゃないかなあと考えております。それに出来るだけシャーマンを使い回したいという外的要因が合わさった結果ああなったのだろうなあと

2023-08-07 17:38:05