「これを読めば作家になれる名作一覧」を求める人がいるけど、駄作凡作も読んで「自分ならどうするか」考える行為こそ確実な方法なのではという話

榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

眼科の診察待ちに。 『駄作凡作を読んでる暇無いのでこれだけ読めば作家になれる名作一覧下さい』は専門学校で何度か言われたが。 確かに『読み手』としては自分の心に響かない作品に当たると時間の無駄のように感じるが『書き手』としては『なぜそう感じたのか』を考えるのは意味があると思う。

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正直、どんな作品も商業出版されている以上は『これは読者を楽しませるに足る』と作者なり編集者なりが判断したからこそ世に出てるわけで、その判断が甘いというのなら、『どうしてそうなった』かを推察することは、自分が同じ轍を踏まない予防策になる。

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正直、私も『なんじやこれは！？』と本をぶん投げたくなった作品はふ何本もあるが、意外とそういうのは記憶に残る。 それはつまり、『自分の期待の斜め下』を見せられたからで、逆に言えば、『自分はどんな内容なら楽しめた？』と考えれば、むしろ名作傑作を書くとっかかりになるのではないかと。

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事実、私の著作で言えば比較的売れた『スクラップドプリンセス』と『アウトブレイクカンパニー』に関しては、読んで不満を、拒否感を覚えた作品を『自分流に書き直す』事で成立したものですし。 勿論、一行で語れるレベルの骨子まで分解した上で別部品で再構築してるので、パクリにはなり得ない。

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例えば、猫好きの人が、ひたすら猫が酷い目に遭う作品を見せられたら駄作と怒るでしょうが。 エンタメとして書かれているなら、猫を虐待する事そのものを狙って書かれた作品である可能性は低い。 この憤懣を『じゃあ代わりに犬を虐待する作品描くぜ』に昇華するのではなく、

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意味のない虐待シーンは、そういうニッチな趣味の人向けでないなら、なんらかの落差(虐待の後に幸せになれば、落差からすごく感動的になる)を狙って狙いきれていなかったのではないかと推測できる。 となるとその作品の問題は、落差をきちんと描ききれていなかったからではないか。

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逆に加虐趣味のニッチな人向けに書かれたいなら、そういう人に手に取ってもらう事に失敗している時点で、題名だのパッケージだので失敗していると考える事が出来る。 この失敗を徹底して減らすようにしたのが昨今の流行の『文章系題名』『出オチ系題名』であるわけで。

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そうすると、自分に合わずに駄作凡作と思えた作品は、あなたの先に同じ道を歩いて地雷に、落とし穴に引っかかってくれたのだと考える事もできますよね？ この作品の溢れる世界でわざわざ手に取って読んだ以上、期待はしたわけでしょう？

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ならばその『駄作』を読むという行為は、『バッドエンド』につながる選択肢を一つ確実に減らす事になりませんか。 そういう創作の手法もあるという事ですし、それはむしろ、最初から一発目に正解の選択肢を選ぶよりも堅実確実な方法にみえませんか？(時間は確かに掛かるけど急がば回れの諺もあるし

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つまり、傑作駄作織り交ぜて乱読する事は、無数の選択肢の中から自分なりの選び方(作風)を確立するための『研ぎ出し』作業であって、作風そのものを直接構成しないからといって、『無駄』と断じて切り捨てるのは勿体無いですよ、という話でした、お粗末。

時雨 朝マン🎀 @asa_sigure

@ichiro_sakaki とても参考になるお話！ うちの知ってる人の皮肉を思い出しました。 「毎年、芥川賞、直木賞は、すごい数の人読むが、読んだ全員それ取れるわけじゃないだろ？」 初めて聞いた時は、すごいインパクトでしたね。

榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

@asa_sigure いわゆる文学賞はともかく、ラノベとかになると、割と『そこまで大変じゃないよね？』と思う人がちらほら。 本当に作品と人によると思うのですけどね。

焼き野菜 @yakiimo_0001

@ichiro_sakaki ウル覚えで申し訳ございませんが 確か灘高の現国は「銀の匙」という1冊の小説を3年かけて読むという物だった記憶しております。 この話を知った時いや～～本を読むって行為も色んなやり方あるんだなと思いました

榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

@yakiimo_0001 おお、灘高。(灘中受験して落ちたマン) ともあれ、適当に定石論押し付けるのではなくて、一冊を徹底して詳細まで読んでいくのも方法としてはアリだと思います。『それしか読まない』とは想定してないでしょうしね。

猿蟹月仙＠カクヨムで「ラミア１７改～初めての人間牧場生活～」連投中ｗ @sarukani1999

@ichiro_sakaki Webで他の方の作品を読むと、どうにももどかしさの様なモノを感じてしまいがちで。読むのが辛い事が多いのです。言葉運びの野暮ったさと言いますか。美しくない、と言いますか（苦笑）

榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

@sarukani1999 まぁその辺は感性も有りますからなんとも言い難いですけどね。 一時期話題になってた『キンキン』の戦闘描写も、ラノベの長くて短い歴史から考えれば『まぁそうなるわな』と納得行ったりしますし(自分が同じことしようとは思いませんが

鷹見一幸 @takamikazuyuki

「面白くない」ものを、なぜ面白くないのかを考える事ができる。というのは、その人の中にある「こうなれば面白いのに、と期待していた物語にそぐわないものだった」ということなので、面白くなかったものは、自分の中にある面白さの輪郭を明確にするための要素でもあると思っております。 twitter.com/ichiro_sakaki/…

鷹見一幸 @takamikazuyuki

「こうなれば面白いのに」という物語の筋道が見える人は、一定のレベルに達している人です。自分の中の物語が育っていない人は、比較する物語が自分の中に明確に見えていないため、「つまらない」で終わってしまいます。「俺ならこう書く」と思えるようになるためには、つまらない物語も糧にすべし

小説家鈴木輝一郎@『家康の選択 小牧・長久手』（毎日新聞出版）大絶賛発売中 @kiichirosjp

「駄作の中に真実はある」って側面はありますね。司馬遼太郎のように作品の出来不出来の波が大きい作家の場合、不出来な作品が作られた背景を検証したり、不出来な場合にどうやって「保険」をかけているかを検証したりするのは、学ぶものが多いっす。 twitter.com/ichiro_sakaki/…

矢崎存美＠7/12発売『湯治場のぶたぶた』 @yazakiarimi

みんななんでそう「面白くない」と感じることを無駄だと思うんだろう。それよりももっと無駄なことなんかいくらでもあるのにね。 twitter.com/ichiro_sakaki/…