稲川淳二の『つぶやき怪談』(2023.09.01)

稲川淳二 @Junji_Inagawa

眩しい空に、入道雲 未だ未だ続く暑さの日々ですが ここへきて、蝉の声も心做しか、 過ぎ行く夏を惜しむかのように、 幽かに初秋の気配を感じはじめるこの頃は また怪異談の趣もひとしおですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

みなさん、お変りないですか？　 稲川淳Ｇです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ぎっくり腰の余波を、引き摺りながら、 8月21日、76歳を迎えました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

マブダチのみなさんの、笑顔に拍手に声援が、 正に私の生命の潤滑油ですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

御蔭様で絶好調。 この先、10年、20年と、お付合い下さい。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それでは、今回の「つぶやき怪談」 そろそろ始めましょうか。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ゆったりと、くつろいで、 お付き合いいただければと思います。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そんな訳で、怖ーい噺で楽しんで下さい。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

稲川淳二の「つぶやき怪談」、 怖・楽しい時間を、共有しましょうね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

私の知人で、ある自動車メーカーの営業所に勤める若者なんですが、 仮にＮ君としておきましょうか。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

この人は、時々妙な事に遭遇(そうぐう)してしまったり、 怖い思いをしたりするんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それは何年か前の夏、休暇をとって仲間と、静岡県にある別荘を借りて、 泊り掛けで遊びに行った時の事なんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

夕方になって、蚊取線香を持って来ていないのに気が付いた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

他にも、２・３足(た)りない物があったんで、 この辺りの地理に、多少くわしいＮ君が、クルマで買出しに出たんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

目指す雑貨店には、駐車スペースが無いので、 １００メートル程手前の、道路沿いの狭い空き地にクルマを停めて、車道を渡ると、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

一方がガードレールで仕切られていて、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

水路の上に四角いコンクリートの蓋をした、 暗渠(あんきょ)というんですか、 これが狭い歩道になっている。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そこをしばらく歩いて、 雑貨店へ行って、あれこれと買い物を済ませると、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ビニール袋を提げて、また歩道を戻って行った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

すると、薄暗い前方を、 若い女がひとり、明かりも持たずに歩いて行く、後ろ姿が目に入った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（何で、こんな時刻に、こんなところを明かりも持たずに、 若い女がひとりで歩いてるんだろう？）

稲川淳二 @Junji_Inagawa

自分も明かりは持ってやしないんですが、男ですからさして問題はない。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

彼女が歩いて行く、その後ろをついて行く恰好で、N君が歩いて行く。