茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第3137回「ジャニーズの人気を支えてきた単純接触効果の魔法が切れる真実の午前零時が近づいてきました」

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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート3137回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は感想です。

2023-09-09 07:55:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

今朝のユーチューブでも解説したように、ジャニーズのタレントの人気は「単純接触効果」で説明できる。とりたてた才能があるわけでも、すごいパフォーマンスがあるわけでも、ものすごくかっこいいわけでもないそのあたりにいる兄ちゃんたちが人気になった理由は単にたくさんテレビに出たから。

2023-09-09 07:57:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

単純接触効果がジャニーズの人気を支えていたことと、事務所によるゴリ押しや、競合タレントの排除は論理的に結びついている。テレビなどのメディアで何度も露出することが親近感や好感度を高め、その偽りの人気を支えるためには構造的に出し続けるしかなかった。

2023-09-09 07:58:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

その結果、本来実力があり、個性的な表現もできる他のアーティスト、創造者が排除され、ヒットチャートがジャニーズばかりになる「ジャニーズ砂漠」が生まれた。砂漠の下には、本当に才能があって実力もある表現者たちの種がたくさん眠っている。これから花開けばいい。

2023-09-09 07:59:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

ジャニーズ人気を支えていた単純接触効果は、もともとは人間的な認知能力である。家族や友人、仲間たちに接触する機会が増えると、当然親しみも持つし、魅力も見出す。ジャニーズファンの人たちは素直でいい人たちである。事務所はそこにつけこんでビジネスをしたとも言える。

2023-09-09 08:01:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

日本は同化圧力の高い文化で、国全体がファミリーのような勘違いが生まれやすい。NHKのように、それを利用した放送文化をつくっているメディアもある。そんな風土の中で、ジャニーズ人気は、単純接触効果を通した疑似家族、疑似友人のようなかたちで広がり、定着していった。批評性は不在だった。

2023-09-09 08:02:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

本来、音楽や芸能は、自分の知り合いが出ているからという単純接触効果を超えたきびしい批評性を通して育つものである。しかし、ジャニーズ人気は、本当の芸術性とは無関係に、ただ、自分の親しんだタレントたちが一生懸命やっているのを応援したいという学芸会的価値の捏造であった。

2023-09-09 08:03:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

単純接触効果を維持したいジャニーズ事務所と、短期的な視聴率をかせぎたいテレビ局の間で批評性のない共犯関係が生まれ、ほんもののアーティスト、ほんものの芸能は日本のメディアから排除されるようになった。その悪影響は、映画にも及んで日本映画のメインストリームは没落した。

2023-09-09 08:04:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

ジャニーズ事務所の問題は、日本人の疑似ファミリー幻想の下で、単純接触効果を通したあげ底のニセのスターを生み出してきたことであり、名前を変えても、ジャニーズ的なものが変わらなければ、日本のエンタメ文化に悪影響しかないだろう。

2023-09-09 08:05:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

日本の聴衆も、単純接触効果で親しみと好感を抱いたアイドルの学芸会を応援するという疑似ファミリーの枠を超えて、真の批評性を通したほんもの志向を身に着けていくべきだろう。そうでないと世界市場で通用するアーティストは生まれて来ない。

2023-09-09 08:07:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

単純接触効果で幻惑されているファンにとっては、ジャニーズはスターなのだろうが、そのような幻想を共有していない外部の人にとっては、単なる学芸会に過ぎない。日本のエンタメがガラパゴスな自己満足を超えて世界に出るためには、ジャニーズ的なものと決別するしかない。

2023-09-09 08:08:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート3137回「ジャニーズの人気を支えてきた単純接触効果の魔法が切れる真実の午前零時が近づいてきました」をテーマに10のツイートをお届けしました。 twitter.com/i/web/status/1…

2023-09-09 08:10:02