スワローズ妄想劇場【３番 ショート兼探偵 川端慎吾】その5

トゥ・レイン・スワロー @to_rain_swallow

スワローズ妄想劇場【3番 ショート兼探偵 川端慎吾】その5 #swamou #swallows ※このお話は実在の人物・団体・施設とは全く関係のないものです。あしからずどすからす。へでで。

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

スワローズ妄想劇場【３番ショート兼探偵 川端慎吾】その5 「あれは、最初からスコアブックじゃなかったんだ。」「どういうこと？」川端が説明を続けた。「スコアブックとしては不完全なんだ。相手が書いてなかったり、得点が違ったり。」「うん。それで？」 #swamou

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「決定的なのは日付。いつになってる？」友紀は上部に書き込んである日付を読んだ。「1943年・・10月21日。」「そう。その日に神宮で野球なんか出来っこない。」「なんで？寒いから？」「違うよ。その日、神宮周辺では『学徒出陣』があったからね。」「あ・・」 #swamou

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スポーツに明け暮れていた友紀でも、そのくらいの事は知っていた。「じゃあ、スコアブックでなければなんなのか。あの紙で重要なのはホームランと得点のマーク。他にも安打の部分があったのに赤く書いてあったのはあそこだからね。」「うん。」 #swamou

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「赤い菱形は、そのままグラウンドの形だと思うんだ。そして、赤く書いた打点は・・得点したのは木下さんになってる。でも、木下さんは学徒出陣には参加していない。その日、その場 に居なかったと思う。つまり・・」「本当の意味は・・木の下って事？」 #swamou

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「そう、赤い菱形を地図上の神宮の四つのベースに重ね合わせて、その赤い点の場所にある木の下に探し物があるはずだ。」車は速度を上げ、程なく神宮のクラブハウスに着いた。試合は無かったが、クラブハウスでは投手陣がトレーニングをしていた。 #swamou

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館山が「どうしたんだ？休みじゃないのか？」と、声をかける。「まあ、ちょっと・・えーっと外苑の地図・・」川端が埃を被った戸棚の中を漁りだす。あった、と小さく声を上げ、神宮外苑の歴史を纏めた本を取りだし、付属の地図に合うようにスコアブックを拡大コピーして重ねてみる。 #swamou

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「ここだ！」川端は絵画館の裏を指差した。地図には「葬場殿趾」と書いてある。「ここに木があるの？」と友紀が首をかしげる。「俺も行ったことはないけど・・・とにかく行ってみよう！」川端が倉庫からスコップを一本拝借して車のトランクに積み、クラブハウスから出ようとした。 #swamou

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と、トレーニングを終えた由規が声をかけてきた。「あれ？友紀さんも一緒に、どこ行くんですか？」急いでいた川端が説明を省いて一言「宝探しだ。」と言ったのを聞いて「ちょっと、面白そうじゃないですか」と目を輝かせる。 #swamou

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「またな、急いでるんだ。」と構わず車に乗り込み発進させる。由規が「ちょっと待って下さいよ！慎吾さぁ〜ん！」と追いかけるが、川端はイムの車の様なスピードで走り去っていった。（続く） #swamou