戦車小話～8.8cm砲搭載パンターと弾薬の取り回し問題

えすだぶ@C102日曜東3"ア"-33a @FHSWman

パンターへの8.8cm KwK43戦車砲搭載案は3つくらいあるっぽいんですが、特にクルップの最初の案だと装填が滅茶苦茶厳しそうなんですよね。通常の小砲塔でクソデカL/71弾薬を扱うものだから、砲尾環の開口部に上から弾頭を落とし込んだりとギリギリの弾薬取り回しが必要になる tanks-encyclopedia.com/panther-8-8cm/ pic.twitter.com/QhBWTHwkLO

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これは砲塔背面壁かハッチを円弧状に膨らませているようにも見えるかしら……？　砲耳位置をずらして砲全体を通常のKwK43より35cm前進させているんですが、それでも砲尾環～砲塔後壁までの長さがギリギリ。図の状態から弾薬を真っすぐに向けるには背面の膨らみがないと空間が足らんのかしらね pic.twitter.com/UdY8M4ZsT2

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そして続くDB案の8.8cmパンター砲塔は外観こそ不明ですが、砲塔リング径を1650mmから1750mmに広げているのでたぶん砲塔自体も大きくなっている。後にこの砲塔とクルップの砲耳位置変更型KwK43を組み合わせて更にスペースを広げようとしたようで、逆説的に初期案の弾薬取り回し問題が強調されますわね

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ちなみに「砲耳位置をずらして小さい砲塔に載せられるようにした省スペース砲案」と「デカい砲を載せられる拡大砲塔案」の良い所取りをして「省スペース砲+拡大砲塔」にするってのは、実はT-34-85がやった事でもあったりします。8.8cmパンターでも全く同じ事を考えていたというのは面白いですね pic.twitter.com/jDfoXCnooz

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むろんドイツ側がT-34-85の詳細な開発経緯など把握していた筈はないので（特に小砲塔+S-53試作の存在を知るのは不可能です）、8.8cmパンターがその模倣という事はないでしょう。既存戦車の火力強化といえば制約条件は似てくるので、その解決策が同じようなものになるのは別段不思議な話ではありません

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なおDB案8.8cm砲塔では即応弾架も設けられたようです。元々パンターは図のように砲弾を全て車体側に置いてたんですが、砲塔の向きによってアクセスし辛くなったりとか、狭い首を通して弾薬を持ってくるので発射速度に少々難がありました。長い88/71弾薬では更に難儀になるので対策しようとした訳ですね pic.twitter.com/FNe5fAPID9

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DB案8.8cmパンターでは主砲弾は総数56発とされていますが、砲塔と車体の搭載比率は不明。ただ他の案を参考にすると車体に収まるのは50～54発くらいのようなんで、砲塔即応弾は2～6発くらいになる筈。この数ならそれほどスペースは要らないので、例えばT-54の砲塔即応弾みたいな感じだったりするかも？ pic.twitter.com/i1clJCGTPr

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その後さらにクルップによる8.8cmパンター砲塔案が出てくるんですが、これがなんと15発を砲塔に置く。例によって外観は不明なんですが、嵩張る88/71弾薬をそれだけ置くとなると、流石に王虎みたいに砲塔バスル弾庫を設けるしかないように思えるのです。なお王虎では図のように3段(4+4+3)x左右で22発 pic.twitter.com/iMON8x3AMq

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この最後のクルップ8.8cm砲塔案はF型小砲塔ベースなのに「現在のパンター」より1トン重いという話です。しかし元のF型7.5cm小砲塔は8トンしかなく、従来砲塔（9.5トン）より軽くなっているものです。にも関わらず1トン増えるとなると……やっぱり砲塔バスル足してるんじゃないかしらと思える重さです

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一方でこの砲塔案は極めて短期間（4日？！）で設計されたというので、既存の案を弄っただけのものであるとも推測されるのだとか。とすると、よく架空戦車模型とかで作られる「パンターF型砲塔に砲塔バスルをポン付け」みたいな代物が実は案外リアルだったりするのかも……とも考えてしまいます

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いやまあ最後のクルップ案8.8cmパンター砲塔に砲塔バスル弾庫が付いていた、という確証は何もないのですが。でも88/71弾薬はこの通りの図体で、現代120mm戦車砲弾薬とまあまあ似たようなサイズだったりする訳です。砲塔に15発も収めるにはバスル弾庫はやっぱり要るんじゃないかなあと思うのでした pic.twitter.com/LfuIYgMdIh

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ただ仮にバスル弾庫があるとしても、王虎みたいに縦配置である必要は必ずしもないかも知れません。王虎のバスルは中央部分が弾の送り出しスペースになってて、必要最低限よりもかなり贅沢なので。T-34-85みたいに横置きバスル弾庫で済ませるなら短くて済む（ただし弾薬長分の幅が要る） pic.twitter.com/WS7dCnVKAR

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ただT-34-85スタイルの横置き弾庫だと横になってる弾を縦に弾を回す分だけ余計に空間が欲しくなってしまうので、発射速度を考えるならそのまま装填できる王虎スタイルの縦置きのほうがたぶん嬉しい。このへんはバスルの大きさ、つまり重量とトレードオフになるでしょうね

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小砲塔に88/71弾薬15発が収まるサイズのバスルをくっつけた場合の装甲重量面積からの重量推定とか、なんかこう出来なくはなさそうな気がする。まあこの手の計算は装甲以外の物の重さが分からないと雰囲気程度の憶測にしかならんですが……

えすだぶ@C102日曜東3"ア"-33a @FHSWman

「パンターF型小砲塔に長8.8cm砲積んでに王虎みたいな砲塔バスルをくっ付けた架空戦車妄想、あれ実は意外に筋の悪くない妄想なのでは？」という気もしてきた、というおはなしでした

えすだぶ@C102日曜東3"ア"-33a @FHSWman

ともあれ。こうやって8.8cmパンターの実際の案を時系列で見てみると、「積めない事はないけど弾薬の取り回しをどうするか考えにゃならん」という流れが確かにあったわけです。8.8cmパンターを見て装填の心配をするのはとても正しい疑問だと言えましょう

えすだぶ@C102日曜東3"ア"-33a @FHSWman

文字数制限のある環境だとイタリア式の火砲表記が優秀すぎるので、たぶん実際そう呼ばれたことはなさそうなものでも「88/71」とか書いてしまう。同口径別形式の砲が出てこない話であれば実際大変便利

えすだぶ@C102日曜東3"ア"-33a @FHSWman

よくゲームとかで出てくる「8.8cm砲搭載パンターII」なる計画は実在しない（パンターII計画は8.8cm砲搭載計画が現れる以前に消滅している）……というのはまあ事実でしょう。その一方で、「パンターIIが実現したIF世界ならその延長線上に8.8cmパンターIIが現れるのも自然な流れだよね」とも思ったり

えすだぶ@C102日曜東3"ア"-33a @FHSWman

試作や試案で終わった兵器に派生型・発展型が存在しないのは当然ですが、仮にもしそれが採用されていた場合を想像するなら、派生が何も作られない方がむしろ不自然であるわけです。我々の世界が選ばなかった線なので見ることは叶わないし、妄想以外の何でもないのだけど、でも「あるはず」なのです

えすだぶ@C102日曜東3"ア"-33a @FHSWman

もちろん「あるはず」と「実際ある」の間には天と地ほどの開きがあるし、その線引きと「これは妄想ですよ」という但し書きは忘れてはならんでしょうが。でもボタンひとつ掛け違えれば実現した可能性が高い妄想を、それと分かった上で遊ばせてみるのは別に悪いことではありますまい

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8.8cm KwK43戦車砲搭載パンターの最後のクルップ案、どうすれば巨大な8.8cm弾薬で砲塔即応弾15発ができるか考えてみる。王虎スタイルの縦置きは長すぎて論外なので横置き。まずHln-E142図の砲塔（クルップ初期案）のままだと当然入らない。でも30cmほど伸ばして小さい砲塔バスルを設けると意外に……？ pic.twitter.com/fwkqY7hHI4

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まあこれだと上の方の弾が車長に引っかかってきそうで、特にキューポラ後方ペリスコープを覗くときに邪魔になっちゃいますけど（砲塔背面の傾斜を緩くするなりすればもうちょっとマシにはできる）。このへんは細かなデザインの問題で、肝心なのは重量的に成立するかどうかです