要するに知識は大切なんだということをつぶやいてみた

要するに知識は大切なんだ、ということを、将棋界の戦法研究の歴史をひきあいにして考えてみた。
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開米瑞浩 @kmic67

将棋名人戦、羽生善治4連勝で防衛。うーむ、羽生強し。

2010-05-20 00:05:49
開米瑞浩 @kmic67

子供の頃将棋に熱中していた時期があったんだけれど、あまりやらなくなってから幾星霜。20年ぶりぐらいにプロ将棋界の情報誌なんかを読むようになってちょっと驚いたことが1つある。それは、「前例」への意識がものすごく高くなっている、ということだ。

2010-05-20 14:16:35
開米瑞浩 @kmic67

最近の重要なプロ棋戦のレポートを見るとたとえば「35手目の銀打ちまでは前例あり、先手の2勝3敗。36手目から新しい世界へ突入した」といった記述がたいてい入っている。昔はここまで緻密に前例を調べていなかったはずだ。

2010-05-20 14:21:33
開米瑞浩 @kmic67

昔のプロ棋士ではたとえば今の将棋連盟会長、米長邦雄なんかは「序盤ベタ」として知られていた。序盤はたいてい不利になるのだが終盤に逆転するわけだ。「序盤」はデータを集めて研究し、作戦を立てておくことが可能なのに対して、終盤はそれが通用しない。

2010-05-20 14:26:05
開米瑞浩 @kmic67

将棋というゲームは序盤と終盤ではその性格が違う。「序盤」は知識というデータの蓄積がものをいう戦い、「終盤」はその場の読みと感性がものをいう戦い、というわけだ。

2010-05-20 14:29:23
開米瑞浩 @kmic67

そして昔は「終盤力」だけでプロになれる時期があった。「だけ」というのは大げさに言っているが、序盤の緻密な作戦よりも終盤のねじり合いを制する力のほうが重要だと思われていた。 それが現在では序盤・終盤50:50ぐらいのウエイトになっている気がする。

2010-05-20 14:31:42
開米瑞浩 @kmic67

序盤ベタとして知られた米長は6度名人挑戦権を獲得するが、いずれも敗退。悲願の名人位にはなかなか手が届かなかった。しかも40歳を過ぎると多くのプロ棋士は力が衰えていく。米長は名人を取れないまま40代後半になっていたため、もう無理だろう、と誰もが思ったそのとき

2010-05-20 14:35:09
開米瑞浩 @kmic67

1993年、49歳にして7度目の挑戦で名人位の獲得に成功する。史上最年長での名人位獲得記録として知られたこの快挙の陰に、実は「序盤ベタの克服」があった。

2010-05-20 14:36:33
開米瑞浩 @kmic67

1993年、49歳にして7度目の挑戦で名人位の獲得に成功する。史上最年長での名人位獲得記録として知られたこの快挙の陰に、実は「序盤ベタの克服」があった。

2010-05-20 14:36:33
開米瑞浩 @kmic67

終盤力に自信があったがゆえに序盤作戦を軽視していた米長が考え方を改め、若手棋士グループに混じって対戦相手を研究したことが、49歳名人という記録を生んだわけだ(本人の証言あり)。

2010-05-20 14:38:59
開米瑞浩 @kmic67

そして今や将棋のプロ棋界は「研究」真っ盛りである。ひとつの戦法について「先手勝ち」あるいは「後手勝ち」の結論が出るまで徹底的に研究するのが当たり前になった。 そして「結論」が出た戦法は誰も使わなくなる。

2010-05-20 14:41:22
開米瑞浩 @kmic67

誰も使わなくなるとその結果どうなるか。新しい戦法が生まれてくる。 かつては筋悪として問答無用で切り捨てられていたような戦法が次々と世に出るようになった。 「研究」は新しい世界を生む。 そのために「知識の蓄積」は欠かせないのだ。あたりまえの話。

2010-05-20 14:46:16