関係的リベラリズムの構想:市民は認識的に不完全であるがゆえに妥協を目指す

Liveriero, F. (2023). Relational Liberalism: Democratic Co-Authorship in a Pluralistic World. Springer のランニング・コメンタリー。
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吉良貴之|Kira, T. @tkira26

[お買いもの] Liveriero, F. (2023). Relational Liberalism: Democratic Co-Authorship in a Pluralistic World. Springer. link.springer.com/book/10.1007/9…

2023-12-02 00:31:44
リンク SpringerLink Relational Liberalism This monograph investigates the unresolved issue of democratic legitimacy in contexts of pervasive disagreement
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

イントロ:リベラルな政治体制の正当化のジレンマとして、(1) 集合的決定の正統性条件を保障するとともに、(2) 各市民の正義への志向性をどうやって動機付けるか、の両立問題があるとして、本書は正当化戦略を2つに分けることで対応すると宣言される。

2023-12-02 00:57:59
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

2章「認識的制約下の政治的正統性」:ロールズの政治的リベラリズムの戦略を支持するものの、その正と善の非連続主義が前述のジレンマを生み出すと分析した上で、重合的合意や反照的均衡の斉合主義的な認識論的前提からリベラルな熟議民主主義につなぐ方向で話を進めようとする。

2023-12-02 01:30:45
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

書いていることはそんなに複雑ではないと思うが、勉強したこと全部詰め込む系の書き方をしているから、やたら長いし読みにくいねえ……😥

2023-12-02 01:33:17
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

3章「共著者性の理念の認識的読解」:政治的リベラリズムのプロジェクトを政治認識論として再記述する。可謬主義の前提のもと、市民はおたがいを認識的に平等な同胞として尊重し合うことが要求される。

2023-12-02 01:57:01
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

4章「非理想状況での正当化」:前章の斉合主義+認識論的謙抑にクォンの反卓越主義を接続し、ロールズの先へ。熟議プロセスは暫定的固定点を認めるので単なる相対主義ではないとしつつ、個人の内的方法論たる反照的均衡と対になる、集合的=公共的プロセスとしての反照的同意という規制理念を提示。

2023-12-02 02:14:57
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

5章「公共的正当化の理念・再訪」:ウォールの卓越主義による個人の尊重と、ガウスの正当化リベラリズムを一定程度評価しつつも、謙抑的な認識論的前提に基づいたスカラー的かつ妥協志向的な公共的正当化のあり方を打ち出していくべきだとする。

2023-12-02 02:36:34
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

国家は各市民の自尊を直接に実現することはできず、その制度的基盤を提供するにとどまる。Schemmel (2021) が現時点での関係的平等論(における自尊論)の基本文献と位置付けられているようだ。 twitter.com/tkira26/status…

2023-12-02 11:02:57
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

Schemmel, Ch. (2021). Justice and Egalitarian Relations. OUP. global.oup.com/academic/produ… 関係的平等主義の予習。夕方までに一気に読むぞオラー!

2023-11-03 15:58:36
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

6章「多元的世界のための妥協」:民主的決定の目標は合意ではなく妥協である。それは実践的要請だけでなく、認識的に不完全な市民たちを相互尊重へと動機付ける規範的要請である。もちろんそこでの力の不均衡が問題だが、関係的リベラリズムは認識的脆弱性の是正を正統性条件と位置づける

2023-12-02 10:54:15
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

7章「ケーススタディ」:アメリカやイタリアでの同性婚法制化を例にして、一見したところ妥協にそぐわないような、人数の構造的不均衡、道徳的・宗教的価値対立による取引のしにくさ……にもかかわらず市民対話が進んだ以上、適切な制度状況と実践のもとで本書の構想は十分に現実的だとする。

2023-12-02 11:10:15
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

まとめ:こんな感じで、ロールズ的多元主義の事実のもとで人々は認識的に不完全であり、そうであるがゆえに相互尊重しながらの妥協が目指される。関係的不平等は政治的正統性を蝕むが、適切な制度状況と実践のもと人々の動機や徳性を確保することは可能であり、非理想理論として十分にいける。

2023-12-02 11:16:21
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

書評 Li, Zh. (2023). Federica Liveriero: Relational Liberalism: Democratic Co-Authorship in a Pluralistic World Cham, Switzerland: Springer Nature, 2023. Hardback (ISBN 978-3-031-22742-4) $119.99. 291 pp.. Ethical Theory and Moral Practice. link.springer.com/article/10.100…

2023-12-13 16:57:42
リンク www.keisoshobo.co.jp 平等主義基本論文集 ジョン・ロールズ著 リチャード・アーネソン著 エリザベス・アンダーソン著 デレク・パーフィット著 ロジャー・クリスプ著 広瀬 巌編・監訳 格差の何が問題なのか。格差はそれ自体望ましくないのか。それとも、格差はそれ自体望ましからざるわけではなく、格差が社会にもたらす影響が問題なのだろうか。もし、格差がそれ自体望ましくないなら、それは不公正だからなのか、それとも不正義だからか。あるいは格差自体が悪なのか。こうした問いを考えるための最重要論文5編。 2 users 27
リンク www.koubundou.co.jp 関係の対等性と平等 - 弘文堂 関係の対等性と平等 詳細をご覧いただけます。 16