迫撃砲の施条や装弾筒について

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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

装弾筒つき砲弾ってえと徹甲弾のイメージですが、実はしばしば装弾筒付榴弾ってのも考えられたりします。もちろん対装甲用でなく、長射程榴弾の一種として。なかには迫撃砲用なんてのもあって、こちらはフィンランドの160mm迫撃砲向けに試作されたモデル1/53 HEFSDSと pic.twitter.com/BctMv287cu

2017-12-16 13:01:19
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

実はフィンランドは意外に迫撃砲が先進的な国で、大戦中にもフィンランドの120mm迫撃砲を連合国がコピーしようとしたなんてエピソードがあるくらいです。で、先の160mm Krh/58C迫撃砲はあのイスラエルの160mm迫撃砲の源流になった砲。射程は通常弾で9.6kmと、迫撃砲にしてはまあまあ長め pic.twitter.com/mIZUsWsVBj

2017-12-16 13:06:31
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迫撃砲は射程を延ばしたいときは軽量弾を使いますし、後にはロケットアシスト弾なんてのも開発されましたが、それは1950年代にはまだ見えてません。反動や腔圧を上げずに射程を延ばすには、軽くて空気抵抗の小さい弾を高速で撃ち出すしかない。というわけで世にも珍しい迫撃砲用HEFSDSが作られたのです pic.twitter.com/qbVImuTFhT

2017-12-16 13:14:03
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ただフィンランド独力では難しかったようで、開発はイスラエルとの共同で行われます。装弾筒の正確確実な分離等が課題だったようですが、最終的にはこんな風に、長い紡錘形の有翼弾とカップのような形の装弾筒という形式にまとめられます。装薬は装弾筒の尾筒の周囲に、普通の迫撃砲のように巻く pic.twitter.com/RgX5OiWaRH

2017-12-16 13:17:29
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この砲弾は重量21.7kgで、射程16kmを得られました。ちなみに通常弾では38.5kgを9.6kg。おお、これなら105/122mm榴弾砲クラスをアウトレンジ出来てしまう……! そのうえ精度も良かったようです。翼安定弾って精度悪いイメージですが、比較対象の普通の迫撃砲弾だってそもそも翼安定ですものね

2017-12-16 13:25:06
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ただ……射程と精度以外に問題が山積みで。直径80mm 長さ1.69mという異様に細長い形なので容積が小さくて、炸薬が1.5kgしか入らないのです。参考までに120mm迫撃砲弾は2~2.5kgくらい、160mmの通常弾は5kgは炸薬を持てます。つまりこのHEFSDSは威力が1ランク以下に落ちてしまう

2017-12-16 13:30:10
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

更にそれに加えて、この非常に長く配置された炸薬を正しく起爆させることにも困難がありました。爆薬というものは火を入れさえすれば全部確実に爆ぜてくれるなんてものでもなくて、あんまり妙な配置だと一部しか爆ぜなかったりするのです。この長いのは端から火を入れただけでは上手く行かない pic.twitter.com/rqUd0UATWE

2017-12-16 13:34:30
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

なのでこの砲弾では先の図のようにbooster(伝爆薬)を三つも配置してます。先端の一か所からではなく、三か所から起爆させるのです。ただ実際にはこれでも完全には解決されなかったようで、破片の生成がイマイチだったとか

2017-12-16 13:37:34
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

さらに細長過ぎる形状のせいで地面に刺さり過ぎる。こうなると土に邪魔されて破片がうまく飛ばなくなるので効果が落ちちゃいます。この対策として信管を非常に長くしたんですが、これでもあまり上手くない。というわけで、世にも珍しい迫撃砲用HEFSDS計画は部分的成功を見つつも放棄されたのでした

2017-12-16 13:40:48
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

これ160mm Krh/58C迫撃砲のテスト風景(HEFSDSではなく本体の?)のようなんですが、左上が面白いです。これって初速測定の装置かしら。高射角しか使えない迫撃砲なもんだから、なんとも妙なことになってます pic.twitter.com/aeRB0PELt5

2017-12-16 13:46:10
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フィンランドの160mm迫撃砲、車輪が妙な角度になるなあと思いきや、これ全周旋回できるようにって事なのね。そういう目で見ると、なるほど底板が全周囲対称な平らな形になってる。普通の迫撃砲の底板は前方からの反動をうまく吸収できるように斜めになってますわよね pic.twitter.com/JtjXhvcJYy

2017-12-17 11:33:13
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例えばソ連の160mm迫撃砲はこう。全周旋回しないんで、普通はこんな風に。斜めになってるおかげで反動で裏の駐鋤というか歯というかがうまく地面に刺さりやすく、滑りにくいはず pic.twitter.com/EtqTHkFJyw

2017-12-17 11:42:06
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

そこいくとフィンランドの160mm(これは別バージョンですが)の底板は歯が垂直に生えてる感じですよね。これ射角低めで撃った時にすっぽ抜けたりしないかしら。実際そういう構造で採用されてるって事は実用上は多分問題ないんでしょうが、しかし気持ち不安 pic.twitter.com/qrbt19n8ZR

2017-12-17 11:46:02
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

迫撃砲は反動が小さいし地面に逃がせるものだから、反動問題は存在しないような気がしちゃいますが、実際は勿論そんな事はなくて底板の作りが結構重要に。面積が小さいと深くめり込み過ぎて抜けなくなりますし、しかい大きな底板にすれば重くなる。迫撃砲にとって重さは致命的なので痛し痒しです

2017-12-17 11:58:12
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

とくに大口径の重迫撃砲では普通に底板に反動を流そうとすると必要な底板サイズが途方も無い事になるので、ものによってはバネ式の緩衝器を挟んだりしてます。造りは多少複雑になりますが、底板をいたずらに大きくするよりは重量的に有利なのかしらね。多分どこかにそうなる分岐点があるのでしょう pic.twitter.com/KXGrl42ZMB

2017-12-17 12:01:25
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ちなみにソ連160mmや240mm迫撃砲についてるバネはあくまで「バネ式緩衝器」であって、「駐退復座器」ではないんだそうです。イマイチ違いがよくわかりませんが……

2017-12-17 12:03:54
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

東西の120mm施条迫撃砲がどちらも腔綫40条で弾薬互換性があるというのは、まあ当然偶然ってこともあるまいし、2S9のほうがRTに合わせて作られたという事なのかしらん(開発時期的に逆の可能性は無い) pic.twitter.com/YWaYDTQF5m

2023-02-20 22:33:33
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

まあそれまでの82mmとか滑腔120mmでは一応の西側弾薬との互換性を備えていたわけだから、新しく施条重迫を作ろうとなった時にも同様に互換性を持たせようというはまあ自然な流れではありますか

2023-02-20 22:38:51
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

一般的なライフル砲だと発射の瞬間に施条が弾帯に食い込んで切り開かれるので、弾薬の互換性を考える時にも施条数が同じかどうかはあまり関係ない。でも砲弾に事前に作り込まれた施条と砲身が噛み合う方式だと施条数や幅、深さ、転度なんかが一致している必要がある。まあ意図しないと合いませんよね pic.twitter.com/nTGkDr39AY

2023-02-20 22:59:15
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

2S9の砲口。見てのように40条です。幅や深さや転度は知らんですが、まあRTと互換性がる造りなのでしょう。牽引版の2B16も当然同様である筈です pic.twitter.com/ZCdEhAP3GJ

2023-02-20 23:11:23
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

120RT迫撃砲の弾って普通の迫撃砲弾に比べると尻が妙な感じですが、これは弾頭と尾部の装薬部分が別になってて、発射後に分離するんですね(火薬式の分離っぽい)。空中では普通のライフル砲の砲弾めいた形になるわけで、従来の迫撃砲弾のような翼安定には全く頼らないので風の影響に強い、と pic.twitter.com/dVzJtxNCcB

2023-06-04 12:33:02
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

120RTは迫撃砲というか、ライフル臼砲の精度と迫撃砲の使い勝手を両立したものなんですね。なるほどよく出来ている

2023-06-04 12:34:59
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

これだったら従来型の迫撃砲弾みたいなシルエットに限らず、ミーネンヴェルファーの弾みたいな形でもいいような気もするかも知れませんが、でも迫撃砲弾スタイルの尻に装薬くっ付けて加減できる方式が超便利なのでわざわざこうなってるんでしょうね

2023-06-04 12:48:26
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

そういや米軍は4.2インチ迫撃砲の頃から施条迫撃砲ユーザーでしたわね。こいつの弾は施条弾ではなくガス圧による拡張弾帯が噛み合うスタイルだし尻も取れないので造りそのものはRTと違うけれど、装薬量を変えやすい前装施条迫撃砲という大枠としては同じと言える pic.twitter.com/XiYWftiLqs

2023-06-04 14:55:59
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ミーネンヴェルファーとストークブランの良いとこ取りみたいな、精度と扱いやすさを両立した高級めの迫撃砲ってのは何だかんだずっと欲しがられているものなのだなあ

2023-06-04 15:11:18