【タクシー論、ライドシェア論】

タクシーやライドシェアについて問題になっている部分について考えていることを、整理したもの。そのアーカイブ。
1
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 0:目的&大前提 この論は、タクシーやライドシェアに関する私の考えを整理することを目的としている。 この項は、まずその論の大前提として、そこに至るまでの社会状況を整理しておきたい。 かねてより少子高齢化や消滅自治体など、地方の過疎化や人口減少に関する警句は為されてきていた。しかしながらそれに対し、未来へのグランドデザインも無ければ、それに基づく対策を採ることも為されてこなかった。少なくとも、私はそう考えている。 取り返しのつくポイントは、2000年前後であったろう。 だが、就職氷河期世代は救済されず、派遣法等の規制緩和によって少なからぬ国民の立場が不安定なものとなり、さらには逆進性の高い消費税によって国民の生活は痛めつけられ、少子高齢化や人口減少の流れが加速したと言っていい。 ぶっちゃけ詰んでいるし、その人口減少がタクシーに限らず、様々な業種の「人手不足」の一因でもあると言える。 故に、ライドシェア解禁論者の中には「人手不足」の責任をタクシー業界の努力不足だけに求めるような物言いがあるが、それは酷というものであることは強く主張しておきたい。

2023-12-17 21:30:49
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 1:ライドシェア解禁論について 近頃のライドシェア解禁論やそれに関する報道を見るに、ライドシェア解禁ありきの空気作りが為されていると感じる。 例えば、あるメディアが八重洲口でタクシーを待つ乗客の列を撮影してタクシー不足を報じたが、その奥に見えるプールや導入路にいるタクシーの行灯が茂みの向こうに見えているにもかかわらずそれはスルーされていた。 また、タクシー運転手が鳩を轢き殺して逮捕されたことがニュースとなったが、鳩を轢いたのは故意とのことであるから逮捕は無理からぬ事としても、果たしてそれは実名報道する程の事件であったろうか。 如何にも、ライドシェア解禁のためにタクシーを悪者化しているように思えてならない。 その中には、タクシー業界を利権呼ばわりする向きもある。それに対する反論は次項で行うけれども、私に言わせれば解禁論者のインフルエンサー達の方が余程利権目当てにしか思えない。 なお、ライドシェア解禁論者のうち、ソフトバンクの孫氏や楽天の三木谷氏がライドシェアのプラットフォームに出資していることは人口に膾炙しているであろう。 また、「タクシー不足」によって移動権が損なわれているからライドシェアを解禁するべきだとするような論もあったが、そうであれば稼働が不安定なライドシェア解禁を求めるのではなく、自治体がきちんと費用を出してコミュニティバスや自家用有償運送のような移動手段を整えるべきであり、そちらの方が現行法でも可能であり筋が通っていると思うのだが、不思議とそちらに対してはほとんど触れられないのも、以上な話だ。

2023-12-17 21:52:09
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 2:タクシー利権? さて、ライドシェア解禁論者達はタクシーに利権があるかのようなことを言う。しかしながら、だ。 ・運賃は自由には決められない認可運賃 ・その認可運賃は、過剰な利益が出ないように抑えられている ・故に、タクシー会社の利益率は概ね2~3%程度 ・運転手の平均年収も、全産業平均から100万円低い ・コロナ禍に関して、業界を特別扱いするような利便も救済もなかった これが、果たして利権を持っている業界の有様と言えるのだろうか? 否と言うしかない。 ちなみに、維新の品川区議がX上でタクシーを利権呼ばわりし、それに対してタクシー運転手達が「何処に利権があるのだ」と抗議の声を上げたが、その品川区議は何らの説明も反論もすることなく、未だにスルーを決め込んでいる。 togetter.com/li/2230543

2023-12-17 22:06:39
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 3:「タクシー不足」の原因 前項で運転手の平均年収が全産業平均よりも100万円低いことに触れたが、それ故に本業にして生活していくには厳しく、年金をもらえる高齢者の運転手、いわゆる「年金ドライバー」が供給の多くを担ってきていた経緯がある。 特に、1家族に1台ではなく1人が1台使えることが人権レベルで当然の田舎では都会以上に生計を支えられるだけのタクシーの需要があったとは考えられず、年金ドライバーの比率がなおさら高かったであろうことは推測される。 実際、私は実家が山口にあるが、都内でタクシー運転手をやっているのは、山口でタクシーをやっても満足な収入を得られないと見てのことだ。 さらに言えば、その収入の低さに加えて社会的に低く見られる事が多く理不尽なカスハラを受けることもあるし、それに耐えなければならない。 余談ではあるが、私、交際を望んでいた10歳年下の女性(当時30歳)に職業について話したところ、「運ちゃん」呼ばわりされてガクッとなったことがある。 さて、コロナ禍で供給の多くを担っていた年金ドライバーの多くが引退してしまった。 しかしながら、現役世代にとっては収入と社会的立場の低さが、タクシー運転手になるための障壁となっている。 加えて、アプリの普及がタクシー不足感に拍車をかけてしまったと言える。迎車に取られる車両が増えれば、流しや付け待ちで稼働する車はそれだけ減るのだ。タチの悪いことに、アプリで二股以上をかけ、同時に2台以上拘束する客さえいたりするのが、それに拍車をかけている。 なおそれでも、大都市部においてはタクシー運転手は増加し、基本的には余り始めている。 東京では大手4社は定員を充足したと言うし、弊社でも稼働がカツカツでギリギリの出番変更が困難になっている他、誰かが事故を起こして車が動かなくなれば、誰かが車に乗れず休まなければならないという状況になった。

2023-12-17 22:40:08
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 4:ライドシェアはタクシー不足を解消するか 結論から言えば、しない。 ・車を擦ったり汚されたりするリスク ・爆上がりするであろう保険料(保険会社は、事故のリスクが上がる要因を見逃したりするようなことはしない) ・タクシーより安いとされる運賃 ……これらを踏まえれば、正業に就いて、車を維持出来るだけの収入を得ている人にとっては、自分の時間を費やすにはとても割に合わない。 おそらく、まともな現役世代はほぼ参入してこないであろう。 実際、ライドシェアの運転手をやりたいと言うポストはあまり見かけることはないし、数少ないポストの大多数はフードデリバリーや軽貨物の運転手だったりする。 一方、 ・タクシー運転手にさえなれないレベルの人 ・外国人労働者 ・反社関係者(私が反社であれば、貧困ビジネスで囲い込んでる人をニコイチやサンコイチの高級車に乗せて稼働させるぐらいの知恵は働かせる) こう言う層が流入することは予想される。 そして、そう言うライドシェア運転手によって需要を食い荒らされた場合、タクシー運転手は減ってかえって供給力を落とすことになる。 ライドシェア解禁による供給力減少については、以下のまとめも参照して欲しい。 togetter.com/li/2261057

2023-12-17 22:55:03
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 5:ライドシェアは地方を救わない 地方こそライドシェアが必要という論があるが、それは非常に的外れと言える。 まず、ライドシェアの割の合わなさは前項で触れたとおりであるが、都市部と違って経済的に楽とは言えないであろう中で維持している大切な車を、小銭稼ぎが出来るとは言え他人を乗せるのに使いたいと思うだろうか? あと、稼ぎが目的であるなら、運転手は稼働が望まれている場所では稼働せず、需要の大きいであろう都市部に遠征することが予想される。 実際、アメリカではライドシェアの稼働の大部分が大都市に集中しており、地方ではなかなかマッチングしないと言う。 また、ライドシェア解禁は地方で歯を食いしばって公共交通を維持しているバス会社やタクシー会社の撤退を促しかねない。 「ライドシェアにパイを奪われるなら、無理して事業を維持しなくていいや」と成り得るのだ。さらに言えば、会社のみならず運転手自体が撤退しかねないのは、前項でも触れたとおり。

2023-12-17 23:16:22
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 6:「タクシー不足」を解消するには? 業界としては(と言っても、ハイタク協ぐらいだが)二種や地理試験を不要とするべきだと主張しているようだが、私はこれは全然違うと考えている。 二種免許は旅客運送を行うための最低限の技術と法令知識を、地理試験はその地域で旅客運送を行うための最低限の地理試験を有していることを担保するものであり、いくら人手不足を解消するためとは言えこれらさえ覚束ない者に旅客運送をやらせるべきではない。 結局の所、運転手を集めたければ魅力ある仕事にしていくしかなく、その為には生計を立てるに十分以上の給料を得られるようにするしかない。 となれば、それを可能にするように認可運賃を上げていく必要があるだろう。正直、今も各地で値上げの動きはあるが、それ以上の値上げは必要であろうと考える。 あとは、カスハラ客に対しては下車強要出来るようにして、乗務員のメンタルを守れるようにしなければならない。 それから、迎車料金と初乗り料金を1000円以上に上げ、「1000円かかるなら乗らない」と言う人には歩くなり他の交通手段を使って頂くなりするべきだろう。 また、迎車料金を上げることは、配車依頼を抑えることにも繋がり、その分流しや付け待ちで稼働する車両を増やすことになる。 なお、既にそう言う措置が間に合わない地方もあるかも知れないが、そう言う地域では、自治体が運転手にキッチリとした給料を支払った上で、コミュニティバスや自家用有償運送を運営していくべきと考える。

2023-12-17 23:34:52
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 7:ライドシェアの利便性関連 ライドシェア解禁論者の中には、ライドシェアの利便性を訴える者が少なくない。 しかし、元よりライドシェアはリスクとコストを運転手に押しつけるスキームありきであり、その利便性は運転手からの搾取によって成り立っていると知るべきであろう。 NYではその供給の多くを他の仕事への就業が困難な移民が担って、中国では失業者が多数流入して稼働が過剰となっている。 そうした層の弱みに付け込んでいるのが、ライドシェアのプラットフォームだ。 なお、ライドシェア運転手の苦境を伝える記事は幾つも目にしているが、ライドシェア解禁論者が運転手の待遇とか収入について触れているのはまず見ることはなく、触れていても大体斜め上であるのが、解禁論者達には自らの利便性しか目に入っておらず、そこで働く運転手のことを全く考慮していない証左と言えよう。 ちなみに、アプリとしての利便性で言えば、相互評価を除けばタクシーアプリにも概ね同じ利便性はある。 目的地は配車依頼時に入力しておくことが可能だし、乗車前の料金確定も事前定額運賃で対応可能だ。 なお、相互評価に関しては思うところがあるので、次項で触れる。 まぁ、目的地までのコース確認が付いてくるのは、ナビの精度と法令上勘弁して欲しい。コース確認せずにナビのおかしいところは運転手の判断で勝手に補正して進行して良いと言うことであれば、こちらとしても楽で助かるのだが。

2023-12-18 00:26:58
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 8:ライドシェアの相互評価 ライドシェア解禁論者は、相互評価があるから悪質な運転手は排除されると言う。 しかしながら、以下の記事のように偽アカウントを作れるようでは、その相互評価による排除も何処まで意味があるのか首を捻らざるを得ない。 japan.cnet.com/article/351460… また、以前、「イケメンだから☆5」というポストを目撃したことがあり、評価基準があまりに主観的に過ぎるのではと思うところはある。ルッキズムでの評価がありなら、例えば「ブサメンだから☆1」という評価もあり得るわけだ。 また、タクシーではしばしば無茶な運転や違反を強要されることがあるが、仮にそれに従わなかったから☆1なんて付けられたら、運転手にとっては不当に不利益を被ることになる。この乗客に対しては☆1を付けるとしても、この乗客に付けられた☆1は運転手の評価にとって傷となるわけだ。 正直、間違った「お客様は神様」が浸透している日本では、この相互評価システムは向いてないのではとさえ思える。 あと相互評価に関しては、乗降に時間を要する高齢者や障害者に低評価が付いて、排除されることになるのではないかと言う危惧がある。 それから、評価の影響が大きいライドシェアでは、評価を下げまいとして迎え先に無理に急ごうと逸るあまり事故を起こすのではないかと言う懸念もある。

2023-12-18 01:42:33
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 9:タクシーの安全、ライドシェアの安全(1) まず、タクシー運転手の一部に荒い運転をするものがいることは否定出来ないし、それに関しては同業として忸怩たるものを感じる。 だが、タクシーには安全性を高めるための様々な規定があり、それを遵守することが求められる。また、事故が発生した場合の損害はタクシー会社が被ることになるため、当然ながらタクシー会社は事故防止の努力を行うこととなる。 タクシー会社に求められる規定として、まず保有台数に応じた運行管理者の配置が求められる。運行管理者は運転手の健康やアルコールのチェックを行い、問題があればその日の勤務を差し止める。帰庫後はやはりアルコールのチェックを行い、日報から運転手の稼働状況を確認し、例えばスピード違反や休憩不足があれば、その内容や程度に応じて運転手を指導する。当然、運転手がこれらの指導に従わないようなら、営業車に乗車させるわけにはいかなくなり、退職させることになる。 また、定期的な教育の機会を求めることもそうだ。タクシー会社では、それに基づき月1程度のペースで明番集会と呼ばれる集団指導の会が行われる。この場で、乗務員に対する普段の点呼ではやれないような全体的な指導を、タクシー会社は行っている。 他、運行前の日常点検は当然として、自家用車よりも期間の短い3ヶ月毎の定期点検、1年毎の車検を営業車に行うことも必要だ。 また、業界内での死亡事故、自社内での事故については、毎日の点呼において情報が乗務員に共有され、再発防止の指導が為される。 これらの大部分は、ライドシェアには無いものだ。 これだけの安全性を担保するための規定を遵守し、また事故防止のための努力を日常的に行っているタクシー業界からすれば、それらの措置が必要とされないライドシェアが「安全性に劣る」≒「危険」と言う評価になるのもむべなるかな、と言うところであろう。

2023-12-24 12:54:15
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 10:タクシーの安全、ライドシェアの安全(2) さて、ライドシェア解禁論者達は、単純に距離あたりの事故率が高いからタクシーが危険だとか、空車時の事故は流し営業に起因するからそれがないライドシェアの方が安全などと言うが、これらについては雑な論でしかない。 まず前者に関しては、真夏と真冬で氷の溶けやすさを比べるようなものでしかない。比べるなら、営利目的の旅客運送を自家用車で行った場合の事故率を比べなければならないが、現状そのようなデータは日本には存在しないはずだ。 後者に関して言えば、流し営業は常時脇見運転をするようなものだとライドシェア解禁論者は言うが、そもそも流し運転はさほど脇見運転にはならない。 流し営業では、お客様になりそうな歩行者がいるかを、予め見える限りの先まで確認しておくのだ。故に、見るべき前方からほんの数度チラッと視線をずらしたら、すぐに戻す。端的に言えば、ルームミラーやサイドミラーを見るよりも全然視線はずれないし、視線の復帰も早い。 これは、流しを伴うタクシー運転手としての乗務経験がなければわからないことであるが。 また、空車時間=流し営業の時間ではない。迎車回送や乗客降車後の移動も空車時間に含まれるわけだが、これはライドシェアにも共通する動きだ。 逆に、入社以降定期的に事故のケーススタディを含め安全に関する教育を受けているタクシー運転手でさえ旅客運送においては事故を起こしてしまうのであるから、その教育が為されないライドシェア運転手が旅客運送を行えば、タクシー運転手よりも事故率が高くなるだろうと私は見ている。 特にライドシェア特有の事故類型として、運転手にドア開閉事故の知識がないこととドア開閉が客任せになることによるドア開閉事故、また、ナビによる進行が前提になる故(※)の脇見運転事故は、間違いなく多発するであろうと見ている。 ※流し運転もナビ前提の進行もしている私の体感から言えば、危険度はナビ前提の進行>流し運転だ。 これは、流し運転は視線をわずかにずらしてすぐ戻せるのに対して、ナビ前提の進行は視線を大きくずらさざなければならないことが起因しているのではないかと、私は考えている。

2023-12-24 13:44:13
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 11:タクシー会社雇用によるライドシェア ライドシェア運転手、タクシー会社が雇用 業務委託認めず 政府方針 asahi.com/articles/ASRDD… 先日この政府方針が発表されたが、これについてはライドシェア解禁論者も、ライドシェア反対論者も、コレジャナイ感を感じたのではないだろうか。 確かに、これまでの両派の主張からすると、政府が斜め上をやらかしたように見える。 だが、行政のこれまでの主張と、民法の使用者責任の規定を考えれば、実は妥当な話ではある。 行政はこれまで、ライドシェアに関しては運転手ではない最終的な責任者の不在と、事故の際の責任を運転手個人だけが負うことを問題としてきた。 今回の方針は、タクシー会社が運行管理を担い、運転手を雇用させることで、タクシー会社にライドシェア運転手に対する最終責任と使用者責任を負わせるようにしたものだ。 ライドシェア解禁論者はこれをタクシー会社の利権による骨抜きなどと評しているが、タクシー会社の側からすればライドシェア運転手の責任を押しつけられた形となる。 業務委託を認めないとしたのは、使用者責任をきっちりと負わせてタクシー会社に責任逃れをさせないようにするためだ。 雇用していれば、民法の使用者責任の規定により、従業員であるライドシェア運転手がやらかした事故等の責任はタクシー会社が負う。しかし、業務委託ではライドシェア運転手は個人事業主となるため、この使用者責任の規定が適用されなくなってしまい、タクシー会社は責任逃れが出来てしまうのだ。 ちなみに、タクシー会社以外にこれを認めないとしたのは、単純に言ってタクシー会社以外が運転手に対する運行管理や教育のノウハウを持っていない故であろう。 なお、今回の政府方針、4年前に経済同友会が出してきた以下のスキームほぼそのままであるため、「骨抜き」に憤るライドシェア解禁論者達は、タクシー利権のせいだとか騒ぐのではなく、経済同友会に対して「こんな中途半端なモン出しやがって! そのせいでライドシェアが骨抜きになっただろうが!」とこそ憤るべきであろう。 「日本版ライドシェア」の速やかな実現を求める ―タクシー事業者による一般ドライバーの限定活用― www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/… 繰り返しになるが、タクシー業界に身を置く者としては、今回の方針は業界の利権の結果でも何でもなく、ただライドシェア運転手の責任をタクシー会社に押しつけるものでしかないと言うことは、強調しておく。

2023-12-24 14:39:56
緑城雄山@都内タクシードライバー @MidorinojouTaxi

【タクシー論、ライドシェア論】 12:ライドシェア解禁によって喪われるもの ライドシェア解禁によってタクシーの営業収入が奪われれば、生活が成り立たなくなるか、会社が倒産するかによって、少なからぬ数のタクシー運転手が失業することになる。 一方でライドシェア運転手の雇用が生み出されると言う反論もあるかも知れないが、個人事業主扱いされるライドシェア運転手は雇用されるわけではなく、社会保険から排除された低所得ギグワーカーを量産するにすぎない。 まがりなりにも正規雇用にある者を失業させ、不安定な立場の低所得ギグワーカーを量産すれば、貧困層が拡大する。 そうなれば、社会的コストの増加と税収の減少、経済活動の停滞によって、国力の低下を招くことになる。 また、これまで規制に従い事業を行ってきた業界を顧みることなく、ただ利便性だけを求めて規制のタガを外すようなことをすれば、「では今までの規制は何だったのか」と言うことになり、業界のみならず大衆の政治や行政への信頼感を損ね、法や規制を軽視させる事に繋がる。 現状においても大衆の政治や行政への信頼感は低いと評価するべき所だが、それがますます悪化すればどうなるか。 大衆は国の未来に失望し、ますます法や規制の軽視が加速するだろう。 それが、果たして国家として健全な未来を築きうる状態と言えるだろうか。 さらに言えば、ライドシェアを解禁すればプラットフォームとして参入してくるのは、外資ばかりとなるだろう。国産プラットフォームが出来たとして、これら外資系プラットフォームに対抗出来るかと言えば、それは非常に怪しいと言わざるを得ない。 つまり、ライドシェア解禁は国内を衰退させた上で、その利益を外資に持って行かれることになるのだ。 インバウンドで外国からの収入を得るのもライドシェア解禁論の大義名分だったはずだが、そのためのライドシェア解禁によって利益を外国に持って行かれるようでは、本末転倒なのではないだろうか。 以上の点を以て、ライドシェア解禁は日本の国益を大いに損ねるものであり、全面解禁などあってはならぬものと断じる次第である。

2023-12-24 16:58:03