掌小説語り~自作つぃのべる集~98

自作つぃのべるのまとめです。 2021年6月分。
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リュカ @ryuka511

私を救おうとしたのは君だけだった。私はそんな君が誰より憎かったのだ。正論と綺麗事を振りかざす君の打ちのめされた顔は見ものだった。君が最後まで掴んでいた右手が熱を孕んでちりりと痛んで、同時に胸の奥も痛む。世界へ復讐を誓い堕天しても、何故この熱は消えぬままなのか、分からない #twnovel

2021-06-01 00:23:21
リュカ @ryuka511

あなたの頭へ花かんむりを乗せた遠い記憶。今のあなたは花ではなく、金銀宝石でできたかんむりを乗せている。似合わない、なんて思ってしまった。金銀宝石をまとう為の凄みがあなたには、この王家には圧倒的に足りない。民衆のため生きるとあなたは言う。民衆の僕を、あの日切り捨てたくせに #twnovel

2021-06-02 00:54:23
リュカ @ryuka511

アナタの稚拙な計画などお見通し。けどアナタの計画通りに踊って見せましょうか?上手く行ったとほくそ笑む顔をたっぷり楽しんだら、ネタバラしをしてあげる。アナタの犯行計画、共犯者の名、全てを握った私にアナタは逆らえない。手始めに、その計画に則って共犯者を消してもらいましょうか #twnovel

2021-06-02 23:41:47
リュカ @ryuka511

ある日、竜が太陽を飲み込み世界は闇に包まれた。神託が下り、激闘の末竜を倒し世界は救われる、はずだった。竜は、膨張した太陽の爆発からこの星を守ろうとしていたのだ。もう爆発を止める術はない。「あんたのせいだ。」世界中が私を責める。神託は偽りか。知らなかったのは、私だけなのか? #twnovel

2021-06-03 22:50:39
リュカ @ryuka511

あの日以来、君は全ての記憶を失った。心因性のもので、記憶が戻る確証は無いという。身体は大人で心は幼い子ども。無邪気に笑う君の幼さが胸を刺す。君が記憶を失ったのは、私のせいなのだ。私だけが知るこの事実を前に、償うためには側にいるべきか姿を消すべきか、答えは未だに出ない。 #twnovel

2021-06-04 23:54:05
リュカ @ryuka511

惚れた相手がいた。どうしてもその心が欲しくて、魔法で心を操ってしまった。だが、真実ではないと分かっている愛情は苦しいだけだった。魔法をかけたのがバレて深く傷つけ嫌われる。いつもそうだ。魔法以外に、欲しいものを手に入れる術を知らない。同じ過ちを繰り返し、学べない私は愚か者 #twnovel

2021-06-06 01:08:43
リュカ @ryuka511

騙されていたのだ。結ばれないなら心中しようなんて嘘で、私が邪魔になっただけ。祝福されない私との未来より、栄光が約束される人との未来を選んだのだ。暗い海へ落ちるのは私だけ。滑稽ね。潰えた想いがぷつんとひとつ、くるくる回り海の底へ。呪うのも虚しいから、お望み通り消えてあげる #twnovel

2021-06-07 00:16:41
リュカ @ryuka511

暴君を討ち、戦乱の世を終わらせるべく決起した。だが恐怖から生じた疑心暗鬼と裏切りに革命軍は総崩れ。革命軍を率いる君が責められた。あの時君は、平和が欲しいと言って引鉄を。#twnovel 誰かが言う。戦を無くす為に戦うなんて矛盾していたと。自決した君を弔い、君の遺志を継ぎ戦い続けると誓う。

2021-06-07 23:27:01
リュカ @ryuka511

私達は共犯者だ。受ける裁きは同じでなくてはならない。だけど君は全ての罪を1人で被り去ってしまった。私に「君は自由だ」と言い残して。世界の最下層から這い上がるべく、私は私の意思で君と手を組み、自由に生きる術を得た。自由をくれた罪人へ。主犯ヅラしないでくれよ。必ず君を救い出す #twnovel

2021-06-08 23:39:00
リュカ @ryuka511

喪ったものを取り戻す事は可能だろうか。タイムマシンは実在しない。時を戻す能力もない。死者を蘇らせる魔法もない。どうあがいても君は戻らない。どうして君なのか。私の大事なものを奪った輩を許すわけにいかない。君を取り戻せないなら、奪った輩からも奪うだけ。私にはもう何も無いから #twnovel

2021-06-09 23:25:18
リュカ @ryuka511

スピーカーから響く合格者の名前は、親友のものだけだった。喜びに泣き崩れる彼女の肩を抱く。涙が零れる。「おめでとう」ちゃんと笑って言えただろうか。彼女も私も努力してきた。道を分けたのは何なのか。でもまだ終わりじゃない。今は彼女に祝福を。親友の成功を喜べない奴に、栄光はない #twnovel

2021-06-11 00:41:12
リュカ @ryuka511

魔王軍に敗れ帰還した君を人々は責めた。俯いて謝り続ける君を隠すようにマントで包み抱く。君が奴らに謝る必要など無い。怯えるだけで何もせず、決起した君を助けようともしなかった醜い連中だ。君を庇った私に憤りの声を上げる連中を睥睨する。これで解っただろう?人間など守る価値はないと #twnovel

2021-06-11 23:40:25
リュカ @ryuka511

貴方の「愛してる」はご機嫌取りのための「愛してる」だわね。貴方の狙いはどれかしら?我が侯爵家当主の座?我が家の財宝?社交界の至宝と言われる私かしら?構わないわ。貴族の婚姻に愛なんて不要だもの。思惑を隠しもしない貴方、気に入ったわ。愛だの運命だのと嘯く連中よりよほど信用できる #twnovel

2021-06-12 23:24:17
リュカ @ryuka511

この先どこかでまた出会っても、知らない同士でいましょう。知らない同士として出会っても、二度と恋はしないようにしましょう。そう約束して、私達は背を向ける。燃えるような恋をして、決して噛み合わない歯車を見た。これ以上なく惹かれ合っても、幸せになれない組み合わせは存在するのだ #twnovel

2021-06-13 22:43:42
リュカ @ryuka511

最期の瞬間、お前は幸せだったと微笑んだ。力の抜けた手を握り続ける。私は神など信じぬが、お前が信じた神へお前の為に祈ろう。輪廻してもお前の幸せが途切れぬよう。叶うならばまた私と出会えるよう。しばしの別れに過ぎぬ。また私の傍にお前が生まれてくると信じ、永き生を耐えてみせよう #twnovel

2021-06-14 23:28:24
リュカ @ryuka511

「もう帰っちゃうの?」日が暮れるから帰ると言うと、友達は驚いてそう言った。「帰りたいの?もっと君と遊びたいよ」泣きそうな顔に心が揺らぐ。もう少しなら、お母さんに怒られないかな。だって、誰かにそこまで言われたこと無かったから、嬉しかったんだ。「帰れると思ってるの?」「えっ?」 #twnovel

2021-06-15 23:13:23
リュカ @ryuka511

旅を始めてすぐ魔王の幻影に襲われた。ただの幻に手も足も出ず、圧倒的な強さに戦うのが怖くなる。だけど旅を止めるわけにいかない。各地で魔物と戦って、今は何倍も強くなったんだ。魔王城があるとされる孤島に向かう。魔王を倒せば世界は平和になる。そうだろう?魔王は、存在するんだろう? #twnovel

2021-06-16 23:05:48
リュカ @ryuka511

魔王を倒し捕われた姫を救出した。僕は英雄と称えられ、姫の婚約者となり次期国王として城に迎えられた。過酷な戦いを乗り切れたのは、姫が僕の助けを求めていると信じてたから。どうして、いまさらになって知ってしまったんだろう。姫は魔王と駆け落ちしただなんて。僕を恨んでいるだなんて #twnovel

2021-06-17 23:21:45
リュカ @ryuka511

画像:NO IMAGE 商品名「滅亡」価格:時価 効果:売買契約成立直後より #ホロゾン をようやく見つけたが、売られているのはそれだけだった。強力な兵器とか古代文明の秘術とか、凄い物を想像していたのに。しかも時価って。ただの詐欺サイトかと疑いつつ「滅亡」をカートに入れる。決済を済ませ #twnovel

2021-06-18 23:12:28
リュカ @ryuka511

愛なんて不要だ。耳触りのいい言葉で、私を縛るだけの鎖でしかない。恋人や家族を作るなど論外。私は誰も縛らないのに、一方的に縛られるのはごめんだ。得られないものなら手を伸ばしている暇はない。愛が欲しいと泣いていた幼い私へ。大丈夫よ。愛なんて不要だと決めたら、楽に生きられる。 #twnovel

2021-06-19 23:28:25
リュカ @ryuka511

「随分と優しく絞め殺すんですね」別れ話の最中、彼女はそう言った。穏便に別れられるよう、言葉を選び穏やかに話していたからだろうか。だが絞め殺すとは?「貴方と別れるのは死と同然ですから」無表情で僕の話を聞いていた彼女は、急に微笑んだ。「私だったら、こうす」彼女の声が、聞こえな #twnovel

2021-06-21 02:05:30
リュカ @ryuka511

地面に大きく六角形を描き、その真ん中にゆっくりと立つ。封印された血を解き放つ時が来たのだ。私を見ていたカラスが高らかに鳴く。今、不遇の時代は終わりを告げた。さぁ、我が子孫よ。偉大なるこの力を受け取るがいい。お前が問題なく私の器となれたなら、世界はお前と私のものだ。 #twnovel

2021-06-22 00:52:23
リュカ @ryuka511

君の薄紅を刷いた唇は、同い年とは思えない程大人びて綺麗だった。君は山の神様に嫁ぐのだという。数年に一度、村から一人、娘を山の神様に差し出すのだ。大人達は由緒正しい儀式だというが、君の悲しそうな顔に決意した。「あの頃の約束、破るつもり?」大きく首を振った君の手を取り走り出す #twnovel

2021-06-23 00:33:01
リュカ @ryuka511

最後の切札を使わせてしまった。そうして君が死んだ。あの時僕はバカだった。優先すべきは全員の生還だったのに。仲間の一人を犠牲にして魔王を倒した。そんなのは勇者でも英雄でもない。ただの卑怯者だ。打ちひしがれる他の仲間に頷く。勇者一行は魔王と相打ちし全滅。それを真実としよう。 #twnovel

2021-06-23 23:26:44
リュカ @ryuka511

一人で旅していた頃、世界は暗く澱んで見えた。誰も彼も欲まみれの醜い世界だ。魔王がこんな世界を欲しがるのは疑問だった。あなたと知り合い共に旅をして、あなたの隣で見る世界は明るく澄んで見えた。それは嬉しさと同時に寂しさを抱かせた。生きてきた世界の違いを、見せつけられたようで #twnovel

2021-06-25 00:07:59