政府支出を増やせば経済は成長する証拠とされているグラフは、因果関係を示すものではない。

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デービッド・アトキンソン David Atkinson @atkindm

積極財政派への致命的打撃 以下の図表を持って、積極財政派は、政府支出を増やせば、経済は成長すると主張する。確かに、そう見える。 私は、この図表はただの相関関係であって、因果関係を示すものではないと主張して来た。 調べると、この図表に決定的な問題点がある。 pic.twitter.com/sXd3jNOAsl

2023-01-14 08:46:37
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デービッド・アトキンソン David Atkinson @atkindm

この図表では、1997年と2015年の各国の政府支出の総額とGDPのデータを出して、その間の平均成長率の相関関係を計算しているだけ。要するに、Aという国の1997年のGDPが100、2015年が200、政府支出は1997年に50、2015年に100。その相関関係を計算している。

2023-01-14 08:46:39
デービッド・アトキンソン David Atkinson @atkindm

その分析は何を示しているかというと、二つの点だけで見ると、政府支出の総額はGDPの一定の割合を占める傾向にある、というだけなことを示している。 因果関係ではないし、二つの次点だけを取った単純比較。 因果関係を示すには、各国ごとに、政府支出の成長率とGDPの成長率の相関関係を確認するべき

2023-01-14 08:46:39
デービッド・アトキンソン David Atkinson @atkindm

そうすると、相関関係は低い。 日本はその相関が0.20。政府支出の効果は翌年に出ることが多いから、GDPの成長率と政府支出にタイムラグを調整することが多い。日本の場合、相関はあまり変わらない。 pic.twitter.com/mIGwj47PMo

2023-01-14 08:46:40
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デービッド・アトキンソン David Atkinson @atkindm

イギリスは相関はマイナス。しかし、タイムラグを入れると、0.29まで上がる。3年目は0.18まで後退。 pic.twitter.com/AeNRKDPHoj

2023-01-14 08:46:41
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デービッド・アトキンソン David Atkinson @atkindm

ドイツも同じ傾向で、相関は0.14。タイムラグを入れると、相関関係が後退。 pic.twitter.com/XFa5tBoosZ

2023-01-14 08:46:42
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デービッド・アトキンソン David Atkinson @atkindm

アメリカも、1946年以降の相関関係は0.09。タイムラグを入れて、相関関係は後退する。 よって、政府支出の成長率とGDPの成長率との間に因果関係を示すために、毎年の成長率の相関関係を確認しないといけない。ほとんどないので、因果関係はやはりないということが決まった。 pic.twitter.com/BICmy6QJg3

2023-01-14 08:46:43
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デービッド・アトキンソン David Atkinson @atkindm

ちなみに、中国は、インフラ投資をすればするほど、経済が良くなるはずの途上国であっても、政府支出の成長率とGDPの成長率の相関関係は意外に高くない0.44。 pic.twitter.com/DNDx67z0Jo

2023-01-14 10:16:30
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