北岡元『インテリジェンス入門』読書メモ
- hatachikuma
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いま北岡元先生の、『インテリジェンス入門』慶應義塾大学出版会を再読しています。恐らく戦後日本最古の現代的なインテリジェンスの教科書・理論書ですね。昔は本当に、日本語ではこれしかテキストになるような書籍はなかったのですよ……。
2024-02-28 16:47:19北岡元『インテリジェンス入門』慶應義塾大学出版会、2009年(第2版)。 初版の2003年時点では、日本語で「インテリジェンスの教科書」として利用できる書籍は本書しか存在しなかった。間違いなく重要文献。 私は過去に、ノートにメモを取りながら読む精読も行っている。 #読書感想
2024-02-28 22:24:42以下、読書メモ まず第1部では、海外のインテリジェンスの辞書を参照し、「インテリジェンス」の定義から始める。 その結果、インテリジェンスとは「判断・行動するために必要な知識」である、という現在でもそのまま通用する普遍的な定義を明らかにする。
2024-02-28 22:27:45その後、インテリジェンス・サイクルのモデルを検討しながら、本書を貫くキーワードを次々と展開していく。 「初めにリクワイアメントありき」「利益の自覚」「初めにカスタマーの利益ありき」「利益の競合関係」「命令・影響の関係」
2024-02-28 22:30:34インテリジェンスの議論をするならば、上記のキーワードを含む本書の第1部を繰り返し読んで、「思考の枠組み」を作っていかなければならない。常に立ち返るべき基本が、ここにはある。
2024-02-28 22:32:36続く第2部は、第1部を土台として具体的な論点に踏み込んでいく。 インテリジェンスの体制のあり方、カスタマーと情報サイドの最初の接触であるリクワイアメント伝達、カスタマーと情報サイドの関係、インフォメーションの収集手法、情報分析、インテリジェンスの保全と情報公開、サードパーティルール
2024-02-28 22:36:22(続き) インテリジェンスに関わる人間のキャリアパスや人事、など。 多岐に渡る議論が行われるので、さすがに内容はそこまで深くはないものの、それでも一通りは読んでおきたい。個人的には、「迷ったら帰って来たい」議論をしばしば含んでいる、と、思う。
2024-02-28 22:39:21第3部は国家レベルのインテリジェンス・コミュニティについて、50ページほどを割いて、それなりに多くの論点を含んだ議論が展開される。 その後、民間のビジネス・インテリジェンスについても。
2024-02-28 22:41:25第4部は、ちょっと内容が古くなってしまっているかもだけど、冷戦終結以降の脅威の拡散・多様化、利害関係の複雑化を受けて、インテリジェンスを取り巻く環境が変化し、新しい形のインテリジェンス・サイクルとネットワーク化の重要性を強調して、本書は締めくくられている。
2024-02-28 22:44:19本書の初版が刊行されてから20年が経っているけど、その重要性は変わらず、インテリジェンスに関心があるならば、1度と言わず繰り返し読むべき名著。最早「古典」の域に達していると言ってもよいであろう。 今回も再読の価値がある読書だった。
2024-02-28 22:46:53