「まおゆう」に見るポストモダン文学

朝4時のノリで書いた自分のつぶやきまとめ。
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迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

「まおゆう」のまとめを読んで、「ノベルゲーム文体を読み解く素養の有無」ってのが自分の中で響いているなあ。「地の文の描写がほとんどなく、ほぼ会話で進む」というのが「ノベルゲー文体」と自分の中では考えている。そして、このノベルゲー文体は既存の小説のあり方と真っ向から対立している。

2010-05-23 05:30:10
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

自分にとって、ノベルゲー文体は敷居が高い。それは会話の間にある描写を想像する力が弱いからだと分析する。既存の小説では、地の文によって登場人物の心理や情景の描写が行われているため、人の動きを追うことができる。しかし、ノベルゲーにはそれ(描写)がほとんどない。

2010-05-23 05:32:02
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

もっとも、一般のノベルゲーでは人物のイラスト・背景によって地の文の描写に置き換わっている。しかし、「まおゆう」に代表される2ちゃんの物語スレではそれがない。これが「読みにくい」と言われる所以であると私は思い至る。

2010-05-23 05:35:37
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

ではなぜ、「まおゆう」が読まれたのか?物語スレが物語として多くの人に読まれるためには、人間の心理や状況を描写し、読み手に理解してもらわないといけない。手っ取り早く描写を補完する必要が出てくる。そこで使われる道具がある。「萌え」である。

2010-05-23 05:39:48
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

「萌え」は、読者の興味を引くために“記号化”された要素の集合体であると、私は認識している。描写の場を制限されている物語スレでは、会話文に「萌え」を持ち込むことによって、読み手に情景を想像させる負担を減らしているのである。

2010-05-23 05:44:53
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

この、「萌え」を持ち込むやり方は、ノベルゲー文体ではかなり当たり前に行われている。むしろ因果関係は逆で、「萌え」自体が要素を記号化することで無駄な描写が省けるようになった結果、物語スレのような存在が生まれたのではないかとも言える。

2010-05-23 05:52:34
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

以上が、物語スレを読むための要素として「ノベルゲー文体を読む素養の有無」を挙げた@machiko22さんへの自分なりの分析である。ここから、主題を「ノベルゲー文体と共通する要素を持つエンターテイメント」へとずらしていく。

2010-05-23 05:55:22
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

(解説)ここで、@perique_zeroさんから頂いたご指摘を挿入します。@perique_zeroさんは同時並行で「まおゆう」の面白さについてもつぶやいていらっしゃいましたが、主題が違うのでこのまとめには載せていません。

2010-05-23 07:09:58
perique@歌姫34/紅楼夢く04a @perique_zero

@m_suikyou ノベルゲー文体が既存の小説と真っ向から対立する、というのには少し違和感が。

2010-05-23 05:41:19
perique@歌姫34/紅楼夢く04a @perique_zero

いまさらながらまおゆうとやらにちょっと触れてみる。

2010-05-23 05:45:38
perique@歌姫34/紅楼夢く04a @perique_zero

RT @m_suikyou: この、「萌え」を持ち込むやり方は、ノベルゲー文体ではかなり当たり前に行われている。むしろ因果関係は逆で、「萌え」自体が要素を記号化することで無駄な描写が省けるようになった結果、物語スレのような存在が生まれたのではないかとも言える。

2010-05-23 05:57:53
perique@歌姫34/紅楼夢く04a @perique_zero

要素化して再生産する過程での省力化が可能になった結果独特の文体が生まれたという洞察には頷ける部分もなくはないな。活字で似たような省力化を行っている例としては女性を形容する際に「何々cm何カップ、芸能人の誰々似」という記述で済ませられるスポーツ新聞のエロ記事の類を上げられるかも。

2010-05-23 06:02:16
perique@歌姫34/紅楼夢く04a @perique_zero

ああ、そうか。やる夫スレだと登場人物としてのやる夫やらない夫の他に、メタな次元での解説役が居て幕間をやってくれるわけなんだけど、それが居なくて魔王様が全部解説しなきゃならないからくどいんだ。ってことはこれはノベルゲー文体として成立してないんだ。

2010-05-23 06:22:24
perique@歌姫34/紅楼夢く04a @perique_zero

@m_suikyou ノベルゲーでは立ち絵ないし「(萌え)設定」、やる夫スレでは解説役、小説では地の文にゆだねられるべき「説明」を外部に依存出来ず全て魔王の台詞で処理しなければならないゆえに省略が機能せず、結果的にノベルゲー文体が成立していないのがまおゆうの読みにくさなのかと。

2010-05-23 06:27:43
perique@歌姫34/紅楼夢く04a @perique_zero

説明を魔王に依存している≒ノベルゲー文体が成立するのに必要な「省略」が機能していないのがまおゆうの読みにくさ(取っつきにくさ)なのだと思います。 http://togetter.com/li/23269

2010-05-23 06:58:02
perique@歌姫34/紅楼夢く04a @perique_zero

漫画ではコマ割とキャラが、ノベルゲーでは立ち絵と設定が、小説では地の文が参照されることでそのような省略が可能になる。2chでもやる夫に代表されるAAキャラや解説役を置くことでそれが可能。 http://togetter.com/li/23269

2010-05-23 07:00:43
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

(解説)ご指摘の引用終わり。ここから主題が「まおゆう」から離れ、エンターテイメント全体に移ります。

2010-05-23 07:07:45
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

さて、先ほどのつぶやきで、「ノベルゲー文体とは『地の文の描写がほとんどなく、ほぼ会話で進む』」と書いた。これから前者の要素が共通するエンターテイメント、後者が共通するエンターテイメントを挙げ、「新しい小説の在り方」的な愚見を述べていこうと思う。

2010-05-23 05:58:04
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

まず、「地の文の描写がほとんどない」エンターテイメントとして挙げられるのは、「ケータイ小説」である。一時期若い女性の間で流行し、2ちゃんでは「ケータイ小説の何が面白いの?」という疑問も飛んだが、先ほどの議論を援用すると驚くほど簡単に状況を説明できる。

2010-05-23 06:00:34
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

先ほどつぶやいた私の主張を要約すると「ノベルゲーでは記号化された描写である『萌え』を使うことで地の文を省くことができた」というものである。(要約になっていない、というツッコミが出るかもしれないがそれは単純に私の説明が下手だっただけである。)

2010-05-23 06:05:06
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

ケータイ小説も、「萌え」とは別の方法を用いて地の文を省くことに成功した、という見方ができないだろうか。

2010-05-23 06:11:31
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

その「別の方法」とは、「若い女性という狭い読者層」と「ある程度定型化されたテーマ」がではないかと思う。読者層を狭めることによって読者が共通認識として持っている描写を省き、同時に読者に伝わりやすい「定型化された」テーマを用いることで、地の文を排除している。

2010-05-23 06:18:44
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

(余談:ここでケータイ小説にだって「会話文じゃない」地の文があるじゃないか、という指摘を思いついたのだが、ここでいう「地の文」とは、「会話体ではない文章」ということでご理解いただきたい)

2010-05-23 06:20:41
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

ケータイ小説は「狭い読者層」ゆえに「なぜあんなものが面白いのか」と言われる結果を招いてしまったが、地の文を排除する新しい試みとしてケータイ小説を見直すことができないのだろうか。

2010-05-23 06:23:50
迷亭水鏡@同人噺家 @m_suikyou

では次に、「ほぼ会話で進む」要素を持ちながらも、同じく地の文を排除することに成功したエンターテイメントを挙げよう。それは伝統芸能の一つ、落語である。

2010-05-23 06:25:09