「誰でもアイヌ民族になれる」という話はデマ

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丹菊逸治 @itangiku

先住民族のメンバーシップは先住民族自身に決定権があります。外部の人間が決定することはできません。「そんなことをしたから、人数が水増しされるじゃないか!」という空論にはあまり意味がありません。実際には水増しはうまくいかないからです。

2019-02-06 09:57:12
丹菊逸治 @itangiku

先住民族のメンバーシップは自認と先住民族のコミュニティの承認によることが多い。これは最も誤魔化しにくい基準です。「補助金目当ての人間が賄賂を渡して形式的に承認を受け、補助金を詐取する」というようなことが大量発生したりはしません。また、あってもすぐにばれます。

2019-02-06 10:00:16
丹菊逸治 @itangiku

先住民族の人口について研究者が「よくわからない」というのは、どこまでをカウントするか、というだけの話であり、実際にどのような人々がどの程度いるかは推定されています。そこから大きく外れるような自体があればすぐにわかります。そのための専門家ですからね。

2019-02-06 10:02:52
丹菊逸治 @itangiku

「それでも水増しを認めたらどうする!?」という人もいるかもしれませんが、実際には自認が無いのにメンバーシップがある人間が大量発生すると、元のコミュニティが困ります。だから、先住民族コミュニティはむしろメンバーシップには厳しいのです。

2019-02-06 10:05:47
丹菊逸治 @itangiku

研究者が民族について「人口はよくわからない」というのは、「世界の言語の数はよくわからない」というようなものです。「数え方によって多少変化する」というだけです。実態はほぼわかっています。現代において未知の言語や、未知の大集団なんてほぼないのです。

2019-02-06 10:09:15
丹菊逸治 @itangiku

先住民族の文化は変容しながら現代に続いています。家庭内教育にも違いがあります。だから「自認」が重要となるのです。親が先住民族でなければ、子供が自分を先住民族だと思うはずがない。「血縁」は自認と一致することが多いので推定に役立つ。ただし養子関係もあるから絶対ではないです。

2019-02-06 10:17:45
丹菊逸治 @itangiku

先住民族コミュニティは常に相互のメンバーを確認しているからメンバーシップは自明のものです。証明する書類は多くの場合は存在しない。近代国家から存在を否定されてきた存在ですから。戸籍(書類)や血縁・DNAなどは全て傍証にすぎません。重要なのは自認と先住民族コミュニティによる承認。

2019-02-06 11:58:06
丹菊逸治 @itangiku

多くの先住民族において、コミュニティのメンバーには相互扶助義務があります。ですから仮に外部の無関係な人間をメンバーであると偽ったとしても、区別しておく必要が内部的にはあるわけです。ですから、その区別を利用して外部から監査するのは比較的容易です。

2022-12-07 23:19:19
丹菊逸治 @itangiku

先住民族コミュニティだって別にぬるま湯の楽園なんかじゃありませんからね。

2022-12-07 23:21:06
丹菊逸治 @itangiku

遺伝子研究者は「少数民族をDNA検査しろ!」というナチスばりの日本のネトウヨの差別発言に対して「DNAで民族はわからない。民族はDNAで決まらない」と明確に否定した。これは研究者として正しい、立派な行動だと思います。

2022-12-08 22:26:56
丹菊逸治 @itangiku

でも、ネトウヨは「誰でも先住民族になれる」というデマも流しています。こちらは文化人類学者の専門にかかわる問題です。コミュニティのメンバーシップがどういうものか、ということだからです。でも文化人類学者は何も言わない。黙って逃げている。遺伝子研究者よりずっと卑怯です。

2022-12-08 22:27:17
丹菊逸治 @itangiku

彼ら専門家が何も言わないから、言語文化の専門家である私が知っていることを言う事態になってる。もちろん「民族はDNAで決まらない」ということが遺伝子研究者じゃなくてもわかるように、先住民族メンバーシップの仕組みは文化人類学者じゃなくても知っています。だから知ってる私が解説する。でも、

2022-12-08 22:27:49
丹菊逸治 @itangiku

でも本当は文化人類学者が責任を持ってちゃんと説明すべきなんですよ。でもしない。卑怯にも逃げ回ってるんですよ。もちろん卑怯なわけでない研究者もいます。彼らはアイヌ民族社会を知らないから黙っている。ただの無知です。無知だから黙ってるのは仕方ない。でもね、

2022-12-08 22:28:17
丹菊逸治 @itangiku

でも、文化人類学者がアイヌ民族メンバーシップを知らないなんて国民は思ってないでしょう。まさか専門家が知らないなんて。でも知らないんですよ。私は彼らが「アイヌ民族メンバーシップを知らない、理解していない」ということを知っています。残念です。これは遺伝子研究者よりひどい状態です。

2022-12-08 22:28:35
丹菊逸治 @itangiku

文化人類学者たちは「我々文化人類学者はアイヌ社会について何も知らないのです。他の分野のフィールドワーカーのほうが我々よりよく知っている」と言明すべきだと私は思っています。自分たちの義務を放り出して私たちに押し付けたんですから、そのくらいはしておくべきです。

2022-12-08 22:31:24
丹菊逸治 @itangiku

過去の事例を見る限りアイヌ伝統社会の村長(コタンコㇿクㇽ)に悪人を叱責するような役割はなかったでしょうね。基本的には調停者なので。悪人をどうするかはみんなで話し合って決めてますね。

2022-12-11 14:11:38
丹菊逸治 @itangiku

アイヌ伝統社会は強大な権力者がいて、人々に対して道徳的に教え諭したり処罰したり、という仕組みではないですね。首長は調停者です。その点でも日本社会とよりも、他の北方先住民族諸社会との共通性が高いです。

2022-12-11 14:15:43
丹菊逸治 @itangiku

過去、先住民族の多くは「完全に同化せよ、さもなくば近代文明を拒絶せよ」と脅迫的に二者択一を迫る言葉を浴びせられてきました。そのような二者択一を迫ることこそが誤りなのだ、というのが国連宣言の精神です。伝統文化を守りつつ近代化する権利がある、というのが国連宣言の重要な点です。

2023-03-09 21:04:19
丹菊逸治 @itangiku

「伝統文化を守りつつ近代化する」ということは、具体的にはどのようなことなのか。そしてどのように実現していくか。それは主流社会が決めるのではなく、先住民族自身が好きなように勝手に決めて良いことなのだ、というのも国連宣言の重要な点です。

2023-03-09 21:08:24
丹菊逸治 @itangiku

先住民族社会において「血の濃さ」がどの程度重要なのか、というのは、当該民族が「どう考えているか」ですらないです。現に当人たちがどのような親族付き合いをしているのか、という現実・実態があるだけです。

2024-01-14 23:40:30
丹菊逸治 @itangiku

どうあるべきか、などということを外部から考えることすら無駄もいいところなのです。先住民族が行政権力を有しているのであれば、その行政の仕組みをどうすべきか、という課題が存在しえますが、

2024-01-14 23:41:01
丹菊逸治 @itangiku

先住民族が行政権力を有していない現状では「親族付き合い」しか存在しません。そのような状態で「民族はどのようなものであるべきなのか」を外部から論評することは、親族付き合いへの干渉でしかありません。そしてそれらは干渉されたからといって変わるものでもありません。

2024-01-14 23:41:40
丹菊逸治 @itangiku

「先住民族の、今はない行政権力をどのようなものとしてこれから追加するか」を考える、というならば、外部から考える意味はあるかもしれません。そのような権力を認めるか否かは事実上、外部のマジョリティが決めることでしょうから。

2024-01-14 23:42:11
丹菊逸治 @itangiku

先住民族が移民側にとってどんなに「嫌な奴ら」で「悪い奴ら」であったとしても、それによって「先住民族の権利」がなくなるわけではありません。極右がアイヌ民族の存在を否定したり誹謗中傷したりしても日本国の国際的な評価が下がるだけです。

2024-01-27 10:47:53