赤い手は滅びのしるし第5版-血風のアーヴィ- 第19&20話(最終回)
- takataka360
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そこはたいそう美しく整った部屋で、床には分厚い絨毯が敷いてあり、壁には色鮮やかな壁掛け、部屋の南東の隅には豪華な天蓋ベッドが置かれています。 そして、その隅で2人のヒューマンの女性が肩を震わせて蹲っています。
2020-05-17 19:19:29「へえ、やるわね」 そう言うと、2人の女性は姿を消してしまいます。 どうやら彼女達はデヴィルであり、そして、地獄へ帰ってしまった様子です。
2020-05-17 19:19:59とにかく、部屋を調べると、効果そうな水キセルと、鍵を見つけます。 この鍵は、おそらく宝物庫の宝箱の鍵だったのでしょうが、 宝箱はすでに、アーヴィによって破壊されていたため、鍵は無用の長物となりました。
2020-05-17 19:20:10丁字路のもう一方、扉の先は魔法陣のある小部屋であり、 どうやらここから、アヴィシャイや、ブラックスポーン達を召喚していたようです。 今は無人であったため、シギィは魔法陣をしよう不能とするため、傷をつけて回ります。
2020-05-17 19:20:23そして、どうやらこの上に行くしかなさそうだ。と、先ほどの祭壇の部屋に戻ってきた英雄達は、 戦いに備えてポーション類を飲み干します。
2020-05-17 19:20:33穴の先は大きな楕円状の空間に繋がっており、そこは眩いエネルギーの噴出が、周囲を明るく照らしています。 部屋の真ん中に丸い低い台座があり、台座の縁からドラゴンの長い首が5つ生えていて、上をむいた5つの口から、液体のように濃い光が吹き出しています。
2020-05-17 19:21:02光はドーム状の天井の中央にたまり、まるで上下逆さまの湖のように揺蕩い、波打っています。 時折、太いエネルギーの帯が降ってきて、部屋の床や壁に当たると、パッと明るく輝いて消え、いがらっぽい煙を残してゆきます。
2020-05-17 19:21:12頭上の光の湖の中には、幽霊か何かのような奇妙な影が身をもがき、踊っているように見えます。ねじくれ曲がった悪夢の中に出てくるような魔物もいれば、大きな目を光らせ歯をむき出しにしたドラゴンの姿もあります。
2020-05-17 19:21:21そして、その空間、台座の中央には、丈高く力強く、頭からは後方に三本の角を生やし、肩には鈍い青色の鱗が煌めく異形の王、竜魔王アザール・クル、その人が立っています。
2020-05-17 19:21:30クルは、英雄達の来訪を見とめると、声を発します。 「来たか、エルシアの足掻き、谷の英雄どもよ。だが、もう遅い、儀式はすでに完成した」 周囲に5体のブルーアビシャイを従え、竜魔王は満足気です。
2020-05-17 19:21:39それは、まさに神業とも呼べる動きでした。 竜魔王の見事な盾を、魔力で輝く鎧を、その身に纏う青い鱗をアーヴィの斧槍が易々と貫き、 一瞬にして、彼に致命傷を与えたのです。
2020-05-17 19:22:16そして、天井がなくなり、あたかも卵の殻が割れて何者かが孵るかのように、エネルギーの暴風が吹き抜けます。 吐き気を催す硫黄の臭い、肉の焼ける匂い、地にねじくれた山々があり、天に赤い稲妻が走る荒涼たる景色が、一瞬、英雄達の眼前に現出します。
2020-05-17 19:22:43その光景を背景にそびえるのは巨大な御影。一目でそれとわかる五つ首のドラゴンの姿です。 悪竜の女王ティアマトは、その寵愛を受けたクルの失態に怒り狂っています。
2020-05-17 19:24:23女王の口々からエネルギーが迸り、次元を超えて室内で炸裂します。直撃したクルの遺体は塩となり、側にいたアーヴィの体を激しいエネルギーが打ちのめします。
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