ゆきま_創作本通販中氏による、伏島正義「12-13世紀の『都市』ニダロス -Bjarkeyjar rettrを中心にして-」のさわり紹介

面白かったのでまとめさせていただきました
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ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

饗宴や相続のビールについては、熊野聰「ヴァイキングの歴史 実力と友情の社会」、阪西紀子「北欧中世史の研究」、解放のエールに関してはこれの前に概要を呟いた伏島正義さんの記事「11-12世紀のノルウェー社会 -Gulaþingbókを中心にして-」にもあります

2024-04-04 15:20:26
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話を戻して。 「全ての者はオーダル農民の法を持っており、レンドルマズールは自分の解放エールを催したある人の解放奴隷と同じ法である」 というのは要するに、領主や代官にあたるような偉い人も、解放奴隷も、皆同様に土地を持つ自由民の1人として同じように法律で扱われる、ということだろうなと

2024-04-04 15:23:53
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

ただこの「全ての者」というのは、「自由民の成人男性」をさすため、女性や未成年(この法の時代では15歳以下)や奴隷は「全ての者」に含まれないので、現代人の考える平等とはちょい違います。

2024-04-04 15:27:28
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しかしそれでもニダロスは人気で、農地で誰も働こうとせずに交易地に行って交易したがる!!この期間は交易に行くの禁止!という規定があった、とある

2024-04-04 15:29:58
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ちなみにここに出て来る「都市(kaupangi)」は、ニダロスの近隣に昔あったノルウェーの交易地「カウパング」と同じ言葉。 もともとは「季節性の地方で開かれる市場」ぐらいの意味だったのが、そこに人が逗留することになり、時を経てだんだん交易地になっていった、という経緯だと思う。

2024-04-04 15:46:38
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続きはこちら x.com/ch_yukima/stat…

2024-04-04 19:55:16
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ツリーが長くなったので一旦切ってここから続き。 ・他人の屋敷でのキャベツ(káli)、十字竜胆(hvönn)、玉ねぎ(laukum)の窃盗。畑への侵入について x.com/Ch_yukima/stat…

2024-04-04 16:23:15
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ツリーが長くなったので一旦切ってここから続き。 ・他人の屋敷でのキャベツ(káli)、十字竜胆(hvönn)、玉ねぎ(laukum)の窃盗。畑への侵入について x.com/Ch_yukima/stat…

2024-04-04 16:23:15
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伏島正義「12-13世紀の『都市』ニダロス -Bjarkeyjar rettrを中心にして-」 cir.nii.ac.jp/crid/139028268… 今回は概要をつぶやくというより、面白いなと思ったところを抜粋しようと思います

2024-04-04 13:26:13
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十字竜胆ってなんぞや?と思ったんですが、hvönnで検索したらアンゼリカのことらしいです。なるほど。 現代ではルバーブ(タデ化の茎が赤い植物)同様に、茎を砂糖煮にしたりお菓子に使うことが多いですが、フキの煮物みたいに食用野菜として畑で栽培されていたんだろうな

2024-04-04 16:28:42
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

「もし他人の畑に行き、一束あるいはそれ以上を持ち去るならば、彼は盗人である。 人は彼に道を作り、各人は望むように(小石等を)投げつけるべし。彼は好きなように立ち去るべし。かくして以後有法者ではない」 平和喪失刑(法外追放刑)ですね

2024-04-04 16:31:35
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

追放刑には軽追放(ヒョルバウグスガルズ。一部財産の留保の元に一定期間(3年が限度)一定範囲から追放される。刑期を終えると戻って以前と同じ権利を得られる)と重追放(スコーグガング。全財産の没収、あらゆる権利を剥奪され生涯追放される)がある、というのは前に呟いたけど、

2024-04-04 16:39:05
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

この文によると、この場合の追放は軽追放のようです。 あと追放といっても「平和喪失刑(法外追放刑)」と「国外追放刑(国外退去)」が区別されているそう。

2024-04-04 16:42:23
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

アイスランドだと、わかりやすく島という物理的な境界があるので、平和喪失刑はすなわち島外への追放なのですが、ノルウェーは地続きなのでよりわかりやすいように区別されたのかもな

2024-04-04 16:43:20
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

凄く横道にそれるんですが、オーラヴ1世が嫁に道ばたのアンゼリカをつんで行ったら、「デンマーク王(妻の兄)はもっといいものくれます!!!」って言われたのでめっちゃキレ散らかす話があってこれが好きなんですが、

2024-04-04 16:47:22
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

栽培化したのはこれより後世のことかもしれないけど、畑で栽培される野菜の花なんだな…って思うと、まあ妻の気持ちもちょっとわかるのかもしれない、という気もする😌 菜の花とか大根の花つんでいった、ようなものかな。

2024-04-04 16:48:28
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

道ばたの花をつんで妻にあげるオーラヴ1世、とても素朴で個人的には好きなんですが、なんせ妻は押しも押されもせぬデンマークのスヴェン双叉髭王(クヌート大王の父)の妹、という超裕福な名家のお姫様なので、まあその反応も仕方ないな

2024-04-04 16:51:00
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話を本筋に戻して。 ・ニダロスでの商業活動について 「一般に合法的売買は、握手(takast i hendr)と証人の指名(nefna vitni við)によって成立し、破棄する場合は金銭と品物を互いに変換する」

2024-04-04 17:03:52
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

別のページだと、握手と同等のものとして、「手打ち(handsal)」「手置き(leggia hendr saman)」というのが挙げられていて、handsalは現代の金融用語だと頭金、手付金のこと(salは古ノルド語においても「支払い」)、leggia hendr samanは、「横たえた手を重ね合わせる」のような意味、らしいので、

2024-04-04 17:09:25
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

一定の手付金を支払ったのか、はわからないけど、握手や手を重ね合わせる、は聖書に手を置いて宣誓する的な儀礼にあたるのかなと思う

2024-04-04 17:11:07
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

・詐欺の防止 「人が人から買う物品、純銀、蜂蜜、穀物、脂肪、蝋、のどれもが外側同様に内側も良くなければならない」 「売り手は市民集会で、自分は詐欺に関知しない旨を宣誓しなければならない」

2024-04-04 17:16:42
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

・クーリングオフ制度 「人々が良質の布、亜麻布、手織物を買い、彼らが広げ、あるいはエレ(布の長さの単位)で計り、通りに運ばれ、かくして日中自分の目を通して買うならば、売買は全て厳守されるべし」

2024-04-04 17:17:27
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「人々が亜麻布あるいは手織物を計られず、あるいは広げられずに買い、そして自分の家へ持ち帰るならば、彼らは詐欺があったかどうか翌日までに調べてしまうべし。 もし詐欺が判明するならば、その売買はただちに撤回すべし」 その場でよくよく検品できなかった場合は翌日までに確認してね、とのこと

2024-04-04 17:19:51
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このような詐欺対策、買い手に対する保護対策の取り決めは、むしろこうした詐欺行為が交易地において横行していたことの裏付けではないだろうか、というのが伏島さんの見解。

2024-04-04 17:21:26
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•商品にかかわる都市内部での手工業 ビルケ法に「布の乾燥」「皮革の乾燥」という記述があり、それに関連する手工業が存在する可能性が推察できる、以外には特にみられない。 諸規定によればむしろ製品は外部から運ばれたと推察される。とある。 ほんとに根っから交易都市という感じですね

2024-04-04 20:20:09
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•ギルドの話 サガによれば、(ギルド自体の内容はどうあれ)オラーフ和平王の治世にはニダロスの聖マルガレーテ教会に架けられたMykle Guildのベルが鳴り響いていたというが、ビルケ法には言及されていない。 商工業ギルドは13-14世紀以降だという。とのこと

2024-04-04 20:34:17
ゆきま_創作本通販中 @Ch_yukima

和平王というあだ名は聞き慣れなかったけど、これは邦訳ヘイムスクリングラ4巻、「無口のオーラヴ王のサガ」の、ハラルド苛烈王の息子の方のオーラヴことですね、多分。 オーラヴ聖王が2世だから、この人はオーラヴ3世かな 確かに人となりの説明に「治世中は平和を好んだ」とある。ギルドの話もあるね pic.twitter.com/KxWxRIaFfr

2024-04-04 20:43:57
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