「社会」という不自然な言葉の正体に迫る

訳語なのに、日本人が正しく使わないせいで、うまく英語にできない言葉になってる…
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三沢文也 @tm2501

Socialの意味を、社会として訳すと不自然になるから調べてみたら、 「社会という言葉は、日本になかった概念にむりやり中国語の古典を当てて翻訳した『訳語』だよ。この本が詳しいよ」 って出てきた。 社会は、正直言って失敗訳語だと思うよ… 翻訳語成立事情 (岩波新書) amzn.to/3TWW7Nw

2024-04-08 12:56:48
三沢文也 @tm2501

英語のSocialの意味は、どちらかと言うと「社交」に近いため、社交と訳してた人が多かったのです。 ところが、福沢諭吉が 「(上流階級などの)ポジティブで広い範囲での社交を示す言葉がないから、訳語を作ろう」 という経緯で生まれたのが、【社会】です。 正しく使われてないけどね…

2024-04-08 12:59:57

Socialは狭い範囲での社交で使われることが多い。

ただし、「広い範囲での社交」でも使われるから、福沢諭吉はそれもカバーしようと「社会」という言葉を当てた結果…ね?

三沢文也 @tm2501

福沢諭吉は 「ポジティブな意味での広い範囲の交流は社会。ネガティブな広い範囲の交流は世間。使い分けてね」 と言ってるのだがバカにはこの繊細さがわからなかった。 結果として、 「社会性がない・社会人として…・格差社会」 みたいに、混同した使い方や、見下した感じに使う人が多く、眉唾に

2024-04-08 13:05:24
三沢文也 @tm2501

「バカは繊細なニュアンスを無視して、言葉そのものに悪いイメージをつける」 というのは、現代も『意識高い系』という言葉で行われている。 『意識高い系』は元々悪い意味ではなかったし、広めた常見陽平でさえ『ちゃんとがんばってる人は違うだろ』と使い分けを推奨してるが…皮肉る言葉に堕ちた

2024-04-08 13:07:23
三沢文也 @tm2501

「社会人として、社会の一員として」 という言葉を英語に訳そうとすると、近いニュアンスは「尊敬される大人として」「我々のコミュニティにふさわしい人物」としてみたいな方が、言いたいことに近そう。 事実、英語で「社会」とつく日本語を訳そうとすると、正確に訳そうとするほど長くなる

2024-04-08 13:18:28
三沢文也 @tm2501

あとは、政治用語との兼ね合いもあるみたい。 フランス語で「社会主義」という言葉を意味する「socialisme」が作られた時に、個人主義の対義語としてできてる。 そのため、政治用語的には「社会」は「社交」ではなく、「集団」という意味で使われるから「格差社会」みたいな用法が通るみたい

2024-04-08 13:21:10
三沢文也 @tm2501

なんにせよ、社会という日本語がグジャグジャになっているところを理解していくと、 「ソーシャルネットワークサービス」 という言葉が、英語では『ネットに楽しい社交場を作ったよ』という意味なのがわかる。 ところが、社会という言葉が眉唾になった日本だと 「ポジティブを自慢する場所ね…」 と…

2024-04-08 13:27:30
三沢文也 @tm2501

こんな感じで、言葉の源泉をたどっていくと 「うまく説明できない言葉」 の正体に近づけるから、おもしろいです中でも、「語源」ではなく「訳語」なのが、この本の面白さであり、レアな着眼点なので、是非読んでみてね 翻訳語成立事情 (岩波新書) amzn.to/49myjIo

2024-04-08 13:29:02