『鐔の世界』備前長船刀剣博物館

令和6年3月から備前長船刀剣博物館にて開催の展示解説
1
前へ 1 ・・ 3 4
装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

奈良派を代表する一人である。 様々な素材の扱いに優れ、デザインも多岐にわたる。独創的なものも多く、作品も多い。 平地は磨地は少なく鎚目や石目に仕上げるものが多く粗く鋤き取ったモノもある。千鳥石目は初代安親の創案と言われる。 六代安親まで名跡が続くとともに、弟子も多い。 1、赤銅地に赤銅の覆輪が掛けてある。平地は手前、ガマと仙人のいる部分が千鳥石目で背景の空間が石目で仕上げてある。 自分的には全くムラのない石目、千鳥石目が何より見事と思う。 2、雨龍を鐔の外周とした大胆かつ洗練された構図の肉彫透かしである。 これも地には石目がわざとムラに打たれている。そして細い覆輪がこの異形な外周に合わせて掛けてあり驚く。どうやるんだ?

2024-04-28 02:09:07
装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

濵野派(奈良派) 四分一地竹林七賢人図(江戸末期)  銘:望窓軒矩隋(のりゆき) 奈良利寿の弟子、濵野政隋が始祖となり奈良派を凌ぐ発達を遂げ横谷派に拮抗する大集団となる。 矩隋は本姓は染野氏で、濵野政隋に師事して、濵野の流名を許され苗字として名乗る。 息子も濵野矩隋と名乗る。 利寿の髙肉彫に乗意の肉合彫を加味した薄肉の人物像が見事である。 自分は彫る題材としては人物が一番難しく、犬、猫など人に近い動物がそれに次ぐと思う。特に人物図はその彫で喜怒哀楽の表情まで求められると言う難易度である。かつ薄肉彫はもう一段と無理難題だと思う

2024-04-29 02:43:09
拡大
装剣金工 片山重恒/ Katayama Shigetsune @shigetsune

加賀象嵌 四分一地 金銀銅平象嵌 夏虫尽図(江戸中期)  無銘:加賀象嵌師 加賀前田家が京より技術を導入し始まったとされる。 藩の庇護奨励を受け大きく発展し元禄頃には全国に名声を博す。 刀装具の職人と言うより象嵌専門の職人集団で各職が作った刀装具、武具、馬具に象嵌を施したと言われる。 表面が地の高さと同じ平象嵌の技術を得意とする。

2024-04-30 01:41:11
拡大
前へ 1 ・・ 3 4