城と各国歴史、提督業等を嗜むお兄さん。TLとサークル「異端審問官城」にてビザンツ&金沢城研究・ナウシカ考察を展開中。 BOOTH⇒shirochichi.booth.pm メロブ⇒melonbooks.co.jp/circle/index.p…
一月半ぶり(!)の漫画版 #ナウシカ 考察は、マニ族の僧正様の「政治家としての強かさ」を掘り下げてみたいと思います。ナウシカに共鳴し、その理想に殉じた印象の強い僧正様ですが、具体の行動をみると中々「政治家」然としたものがあるのです。 pic.twitter.com/OgMZnMR1PB
2024-04-13 19:04:07まず注目されるのはナウシカとの出会い。この時、マニ僧正は酸の湖に宿営するトルメキア軍を包囲する土鬼諸族軍を指揮するのですが、彼はナウシカの訴えに同情こそすれ、攻撃を緩めることはありませんでした。 pic.twitter.com/c2A6kRgWyO
2024-04-13 19:09:59この時の僧正は皇帝の命を受けて諸族をーそれも故郷を敵に奪われ家族を殺された復讐心に燃える人々ーを率いてトルメキア軍攻撃に向かっており、ナウシカが如何に訴えたとて「攻撃中止・撤退」に転じ得ないのは当然ではあります。 pic.twitter.com/5N6KGPbWM6
2024-04-13 19:14:49ですが僧正は、最終的に皇帝への反逆を決意します。そこには勿論、ナウシカの訴えへの共感や彼女に「青き衣の者」の希望をみたこともありますが、それだけでないことは皇帝との対決場面における彼の訴えからも明らかです。 pic.twitter.com/lf6niRmvVF
2024-04-13 19:19:20この前段で、僧正は僧会幹部に対し、培養幼生王蟲を囮として王蟲の群に敵を襲わせる作戦は、「味方の被害が大きすぎるので」暫し再考してほしいと要求します。一部は建前とはいえ、部族民の命を預かる側としては当然の訴えでしょう。此方も全滅では何のために戦うのか判らなくなります。 pic.twitter.com/aFo9ZVcqmv
2024-04-13 19:24:10これに対する僧会側の回答は ・あんなの初歩的なミス ・王蟲神聖視してないか?邪教捨てずに皇帝に逆らう気か? と、「木で鼻括る」レベルではない全否定・ゼロ回答です。 pic.twitter.com/rLspbIspzP
2024-04-13 19:29:38これを、「敵に故郷を奪われ、家族を殺された部族民」の代表の前で言い放ったわけです。僧正以外の部族民も正直カチンときたのではないでしょうか?面と向かって「お前ら部族民はバカで忠誠心も疑わしい。四の五の言わず戦って死んで来い」と侮辱されたも同然なので。
2024-04-13 19:32:21この点を踏まえて僧正の反逆=王蟲培養槽の破壊と、皇帝と対峙した時の彼の訴えを振り返ると、彼の主張の要点が見えます。要は、「自分たち部族民を使い潰すつもりならとことん歯向かうぞ?部族民を無礼(ナメ)るな」かつ、部族民に対しては「生きろ!」なんですね。 pic.twitter.com/TppA4iAba8
2024-04-13 19:38:22ここで注目されるのは、僧正が部族民に対しては決起を求めていないこと。この反逆はあくまで僧正個人が起こした「上訴」であり、部族民には(皇帝・僧会からの)艱難辛苦に耐え生きよと求める訳です。これが非常に巧妙なところ。
2024-04-13 19:43:39何せ部族ぐるみの叛逆の証拠がないので、下手に族滅等の強行処置が取れません。せいぜい監視下に置いて、一種「みそぎ」的な懲罰任務を課すのが精一杯です。 pic.twitter.com/8hEutNZgPr
2024-04-13 19:49:36こうした皇帝側の「弱腰」は土鬼帝国の体制に起因します。即ち帝国は50余の部族国家の連合体であり、土鬼軍の主力とは、その諸部族軍の集合体に他なりません。僧会中央軍の矛先は、これら諸部族の統制に向けられており、両者の間には強い緊張(と侮蔑)がありました。 pic.twitter.com/6mRWwlXKMU
2024-04-13 19:54:46このため、ある部族への過度な締付は諸部族の一斉蜂起=帝国の瓦解を招きかねません。なんでも現場を締め付ければいいってものじゃないのは、現代のあれこれにも通じる問題ですね。 pic.twitter.com/SLTxfPDGKV
2024-04-13 20:01:22以上をまとめると、 ①僧会の作戦ミスでビダ族戦士全滅 ②①を受けマニ僧正が作戦再考を求めるも僧会が却下 ③②に対しマニ僧正が独断で反逆、皇帝に対し僧会側の諸部族軽視を糾弾 となります。これ、対処を間違えると諸部族一斉蜂起に繋がりかねない「地雷」なんですよね…
2024-04-13 20:08:14というのも、①②をみた諸部族は「わしらも皇帝・僧会に使い潰されるのか…」となるし、それに対するマニ僧正からの糾弾は内心、「よく言った!」となるでしょう。で、ここでもし部族ぐるみという確証もなく、反逆罪で賊滅なんて強硬措置を取ろうものなら…まぁ「やられる前にやれ」となりかねない。
2024-04-13 20:10:49さりはとてマニ族を不問にすれば、それはそれで僧会の統制が一気に弛緩・瓦解しかねず、その意味では「族長の僧正のみ処刑、部族全体には「みそぎ」としての懲罰任務を課す」はかなりギリギリの匙加減だったと言えるのではないでしょうか。
2024-04-13 20:12:31そう考えると、皇帝ミラルパが自ら反逆鎮圧に出向いたのも強ちやりすぎではないかもです。何せ現地の僧会幹部は無駄に強圧的態度で自ら反逆のタネを蒔きながら、そのことに無自覚で責任回避に汲々とする為体。そりゃゴミを見るような目で(笑)ふっ飛ばしたくもなります。 pic.twitter.com/Hj718E1rSa
2024-04-13 20:20:01また、穿った見方をすれば、僧正がミラルパの前で青き衣の者=ナウシカの存在を匂わせたのも、「青き衣の者狂い」の皇帝の関心を反逆から逸らす為だったかもしれません。事実、このあとのミラルパはナウシカ追跡に夢中になってしまいますので… pic.twitter.com/LcPUNeuR8Q
2024-04-13 20:23:42以上、久々の #ナウシカ 考察「強かな族長としてのマニ僧正」編、お楽しみ頂けましたでしょうか。なお前回考察:ナウシカの内なる虚無としての上人像についてはこちら↓から。 twitter.com/shirochichi070…
2024-04-13 20:25:40今宵の漫画版 #ナウシカ 考察は上人編の続きで、ナウシカの内なる虚無が「わしたちは同じもの」と言ったことの意味を掘り下げてみたいと思います。実はそこには期せずして、この世界の「秘密の核心」に迫るものがあるのですが…以下順に見ていきましょう。 pic.twitter.com/mXv05NJvqP
2024-02-23 21:02:52今宵の漫画版 #ナウシカ 考察は上人編の続きで、ナウシカの内なる虚無が「わしたちは同じもの」と言ったことの意味を掘り下げてみたいと思います。実はそこには期せずして、この世界の「秘密の核心」に迫るものがあるのですが…以下順に見ていきましょう。 pic.twitter.com/mXv05NJvqP
2024-02-23 21:02:52【宣伝】これまでの漫画版ナウシカ考察の総集編(Ⅰ~Ⅵ)を下記BOOTHとメロブで頒布中ですので、宜しければ是非! メロブ melonbooks.co.jp/circle/index.p… BOOTH shirochichi.booth.pm
2024-04-13 20:28:28@shirochichi0707 そういえばユパ様の最期ってマニ族の僧正様と同じなんだなと今さら気付きました。そのうえでキッチリ借りを返してる。スゴい。 pic.twitter.com/hXnVY7FCv2
2024-04-13 19:53:43