シャドー・コン #4
……「ワオオーッ!」「ワオオオーッ!」ノレン・ゲートをくぐり抜けた二人を、爆音が……歓声が包み込む。破壊を、残虐行為を心待ちにする者たちの、不浄な一攫千金に希望をつなぐ者たちの、獣めいた叫びだ。「コロセ!」「まるごと叩き潰して!」「爆発させちゃって!」 44
2012-01-05 20:51:49「サラマンダーを殺しに来た」渦を巻く歓声の中、アイアンリングは歩きながらモミジに告げた。モミジは弾かれたようにアイアンリングを見た。「お前。薄々考えては打ち消してきたが。本気なのか」「取り戻さねばならない人がいる。奴の手の内にあるのだ。時間は少ない」「それってのはよ……」 45
2012-01-05 20:56:49「優勝杯授与はサラマンダー自身が行う。グランドマスターとの接触チャンスは滅多に無い。そこで必ず殺す」アイアンリングは言った。「サラマンダーが死ねばシャドー・コンはお終いだな?」「多分な」モミジは頷いた。アイアンリングは数歩の沈黙の後、言った。「オヌシの夢を踏みにじる事になる」46
2012-01-05 21:02:42「だからよォ何度も言ってンだろ。お前が現れなきゃあ、どっちにせよ、俺は何もかもお終いだったんだぜ。悪魔の旦那」モミジはニヤリと歪んだ笑顔を作って、アイアンリングの背中を叩いた。「……」「……ままならねえよな。だが、年甲斐もなく、俺はワクワクしてるんだ。実際な。本当だぜ」 47
2012-01-05 21:21:10モミジに送り出され、アイアンリングはドヒョー・リングに上がる。コーナーの対角にはモーターナガマサ。身長こそ一般的な長身の男のそれだが、灯台めいた頭にカメラアイ。シリンダー状の無骨な腕。あからさまにロボットだ。だが特に問題にはならない。素手だからだ。48
2012-01-05 21:35:16この奇妙なタテマエ的なルール設定はアイアンリングにとっても同様である。アイアンリング自身、腰には得物を吊るしたままだ……PVCテープで擬装めいて覆われたヌンチャクを。だが、これだけではペナルティとならない。素手だからだ。実際に使わなければ罪には問われない。 49
2012-01-05 21:38:28「ドーモ!モーターナガサマ、デス!」カメラアイがぐるぐると回転し、シリンダー状の腕がバンザイした。「ドーモ。アイアンリングです」アイアンリングは無感動にアイサツを返した。……次なるイクサの始まりである。 50
2012-01-05 21:41:57(翻訳チームより:現在、クライアントのコンペティション重点で、twitlzを試したり試行錯誤しております。電磁ノイズが除去されずUNIXのせいでなんか残る事がありますが、じきに安定するのでご安心ください。なおモーターナガサマが正しいです) http://t.co/wRttQLNe
2012-01-05 21:52:03(翻訳チームより:なおtwitlzはこのアカウントの用途には向いてないので、きゃっかされました。ごあんしんください)
2012-01-05 21:57:45