高関健さんのマーラー交響曲第7番についての考察

演奏にあたって、高関さんがつぶやいたこと、それに対する反応のつぶやきをまとめました。
6
前へ 1 ・・ 3 4 次へ
高関 健 @KenTakaseki

初演時のエピソード:ゲネプロ前、Mahlerはとてもナーヴァスな様子。理由はこれからの演奏のことではなく、Almaが本当に会場に来るかどうか。オケは板つき、会場も静まったその時、ドアが開いてMahlerに手を取られたAlmaがしずしずと登場、中央に用意されたイスに悠然と腰掛けた。

2010-05-30 06:52:18
高関 健 @KenTakaseki

Almaの自伝に拠れば、若い助手たちが申し出て、改訂の書き写しを手伝ったことになっている。しかしKlempererは、自分がいくら申し出てもMahlerに断わられた、と述懐している。Almaが初演の5日前にようやくプラハに現われたことからも、Almaの記述には信憑性が乏しい。

2010-05-30 06:35:47
高関 健 @KenTakaseki

Mahlerは練習の間も寸暇を惜しんで改訂を繰り返したそうだ。練習後パート譜をすべて持ち帰って、ホテルでひとり改訂に没頭した。初演の5日前にプラハに到着したAlmaは、足の踏み場がないほど五線紙が床に散乱した部屋の奥に、改訂作業を続ける憔悴しきったMahlerを発見したという。

2010-05-30 06:24:14
高関 健 @KenTakaseki

de la Grange/Mahler:記述が大変綿密で、ひとつの事柄について必ず複数の証言を採用している点が優れていると思う。第7交響曲のプラハ初演(1909/09/19)。Mahlerは9月5日にはプラハに到着、その日から本番まで、分奏も含め24回の練習をこなしたそうである。

2010-05-29 23:18:14
高関 健 @KenTakaseki

de la Grange/Gustav MahlerがAmazonからもう届いた!第4巻だけで1,800頁もある。これから懸案の第7交響曲の出版についての経緯の検索に入る。

2010-05-29 10:53:02
高関 健 @KenTakaseki

新交響楽団との第7交響曲の演奏(7月18日)に先立ち、昨夜はプログラムに掲載予定の原稿を遅くまで掛かって概ね書き上げる。後はde la Grange本の到着を待って完成の予定。3週間後には京都市響との演奏が迫っているので、いよいよ本腰を入れて準備に入らなければならない。

2010-05-29 10:19:16
高関 健 @KenTakaseki

第7交響曲の出版とその後の顛末について、de la Grange/Gustav Mahlerの第4巻に詳しいようなので、G大図書館にあたると、現在は貸出不可能。仕方なくAmazonを検索すると、なんと在庫あり。しかも明日中に届けてくれるとのこと。世の中、本当に便利になりましたね。

2010-05-29 00:38:32
@KenTakaseki

第7交響曲の出版とその後の顛末について、de la Grange/Gusav Mahlerの第4巻に詳しいようなので、G大図書館にあたると、現在は貸出不可能。仕方なくAmazonを検索すると、なんと在庫あり。しかも明日中に届けてくれるとのこと。世の中、本当に便利になりましたね。

2010-05-29 00:37:43
高関 健 @KenTakaseki

先ほどからde la Grange氏の"Gustav Mahler"第3巻を読んでいたら、第7交響曲については資料が多く保存されていて、スコアの下書き(Particell)のみならず、作曲当初のスケッチまで珍しく現存しているとの事。Kubik博士編集の新校訂版の完成が待望される。

2010-05-28 17:00:34
高関 健 @KenTakaseki

@sekiCavatinaさん、おはようございます。写真は数年前に訪れた大連の市電です。おそらく日本製ではないでしょうか(憶測のみ、検証なし)。Mahlerについては、来るべき公演のプログラム・ノートの準備で、メモとして書いています。〆切が今月末に迫っています。

2010-05-28 10:07:51
高関 健 @KenTakaseki

(続き)この憶測を多く含んだまま疑問点を照会したところ、Kubik博士は私の間違った見解、特にパートの追加および音程の変更に対しては、原資料の状態を示し、明快に答えて下さった。その後博士から、新校訂版に含まれるはずの訂正表も送って頂いたので、今年の演奏に反映させることにする。

2010-05-28 08:52:11
高関 健 @KenTakaseki

(続き)しかし、作曲者自身の訂正が書き込まれた版下、Mengelberg所有のスコア、Concertgebouwでの自作自演(1909年10月)に使われたパート譜(Mengelbergが事前に入念に準備した)などは参照できず、私の加筆はかなりの憶測を含んだものになった。(続く)

2010-05-28 08:38:08
高関 健 @KenTakaseki

Mahler第7交響曲:3年前の演奏の際に、Ratz版の校訂に使われた資料のうち、自筆原稿(ファクシミリ)、初版、訂正表を書き込んだ初版については入手出来たので、Casella編曲によるピアノ連弾版も参考にしながら、自分なりに検証、納得のいく演奏のために加筆を試みた。(続く)

2010-05-28 08:29:24
高関 健 @KenTakaseki

Mahler第7交響曲。Ratz版(1960)に含まれる錯誤または疑問点について、私の照会に対し、Kubik博士からは約350箇所について訂正するべき、または議論の対象になる、とお答えを戴いた。逆に私の軽率な解釈に対しては、版下など資料の状態を示し、明確に否定された。

2010-05-28 06:35:40
高関 健 @KenTakaseki

昨晩は美味しいNuits-Saint-Georgesに酔っぱらって寝てしまった。怠惰な性格は治らない。Mahler第7交響曲、3年前に群響と演奏した際、Ratz版に含まれる疑問点をKubik博士に照会したところ、丁寧に添削してお答えを戴いた。まずその再確認から作業を始める。

2010-05-28 05:55:27
高関 健 @KenTakaseki

札幌より始発(40分遅れ)で東京へ。家に戻り一息入れた後、午後はG大でレッスン。今日の結論は「音と一緒に振るのでは指揮者としては手遅れ」ということ。30分前に帰宅。旅行中に湧いていたMahler第7交響曲についての疑問。酔っぱらわなければ今晩から手許の資料と照合、再検討に入る。

2010-05-27 18:59:19
高関 健 @KenTakaseki

演奏に向かっての加筆は、あくまでもMahlerが表現している曲想や響き(と私が信じるもの)に従って、その純度を増す目的だけに留めたい。他の作品でも、これまで同様の加筆をしているが、第7交響曲については加筆の分量はどうしても増える。自分本位に陥ることのないよう、十分に注意したい。

2010-05-26 02:08:57
高関 健 @KenTakaseki

留学していた1978年にBPhが第7交響曲を演奏したが、当時の古参楽員たちの多くが「はじめて演奏する」と言っていたことを記憶している。実際に演奏も珍しくおずおずとしたものだった。第7交響曲が、Mahlerの作品の中で最も遅くまで演奏されないでいたことは確かだと思う。

2010-05-26 01:48:52
高関 健 @KenTakaseki

第7交響曲は曲想がユニークで、新しい表現も追及されているにもかかわらず、Mahler自身の記譜上の逡巡に加え、出版における不徹底も手伝い、不幸な形で作品が世に送り出される結果となった。作品の理解までに時間が掛かってしまったのは、このような経緯があったからと想像される。

2010-05-26 01:36:51
高関 健 @KenTakaseki

特に第7交響曲を担当したBerlinの出版社は、Mahlerの作品に対する理解が行き届かず、出版する際に十分な校正ができなかった。その後作曲者からの指摘を得たが、楽譜自体の訂正は行わず、訂正表を添付するに留めた。しかもこの訂正表が再び不十分で、「訂正表の訂正表」を出す事態となる。

2010-05-26 01:26:59
高関 健 @KenTakaseki

実は第5交響曲でも、このような錯誤は1989年校訂版までは多く、特にパート譜の状態は悪かった。作品が複雑な故に、訂正や改訂が不徹底になったのはある程度不可避と想像する。また第5はLeipzig、第7はBerlin, とWien以外の出版社と契約したことも大きな理由と考えられる。

2010-05-26 01:16:55
高関 健 @KenTakaseki

第7交響曲では、同じ動きをする複数のパート間の統一が取れない部分が、他の作品に比べ極めて多い。それがMahler独特の細かい音色の操作と判定できることもあるが、どう見ても途中から脱落したり、譜割りがずれたり、強弱が全く記されないことさえある。このままでは明らかに響きが濁る。(続)

2010-05-26 00:59:42
高関 健 @KenTakaseki

Mahler第7交響曲とバロック音楽からの影響。例として、第1楽章h-Mollのフランス序曲風の出だしとJSB第2組曲、最終楽章3/2のテーマと第1組曲Couranteなど。しかも最終楽章のテンポの指示はHaendelが好んで使ったAllegro ordinarioである。

2010-05-26 00:30:02
高関 健 @KenTakaseki

第7交響曲はKubik博士により新校訂版の編集が進んでいるが、同一小節内の表記の錯誤については、Mahler自身による改訂の最後の段階として残される模様。演奏者は信頼できる楽譜を基に、各自が判断して演奏に取り組むことになる。私もこれまで努力してきたが、非常に難しい課題と思う。

2010-05-25 01:05:05
高関 健 @KenTakaseki

第7交響曲では自筆ファクシミリ、初版、訂正版、Erwin Ratz校訂版の比較により改訂の段階が解る。正確な表記を目指し、苦心の跡が想像できるが、Mahler自身のイメージは結局1/16や1/32では表現しきれないもののようだ。時間的な制約から同じ小節内でも違う表記が認められる。

2010-05-25 00:46:47
前へ 1 ・・ 3 4 次へ