心理学の構成概念が「説明の増分」よりも「予測力の増分」のために存在するというのは慧眼。予測のためには必ずしも「因果の正しい説明」は必要ないから。ただしその「予測力」は多くの状況的・文脈的変数に支えられている。これは「性格とはなんだったか」でも詳しく考えた問題。
2012-01-21 15:24:07「その人の過去の行動の要約に名前をつけて概念化し,それを独立変数に放り込むことで従属変数としての行動の予測力を高める」というのは社会心理学における「個人差変数」の主な存在意義。
2012-01-21 15:26:06社会心理学者の多くはたとえば「セルフハンディキャッピング尺度」が「セルフハンディキャッピングに因果的に先行する内的実体を測定している」とは思わない。単に「その人がセルフハンディキャッピングをどのくらいするかの指標」にすぎないと見ているのが普通。
2012-01-21 15:27:59「予測が目的」と割り切れば,独立変数と従属変数の間に「論理的な関係」を仮定する必要もない。関係あろうがなかろうがあらゆる変数を予測式に放り込んで,従属変数の予測に効果があった変数だけを残していけばいい。
2012-01-21 15:29:46それこそ「魚の骨にお湯をかけて飲むか」を測定してそれが「試験で不安になる」ことと相関することさえわかれば,その間の(論理的なあるいは機構的な)関係はわからなくても試験不安は予測できる。これはむかし坂元章氏が心理学的測定と予測の「工学的洗練」と呼んだもの。
2012-01-21 15:32:42独立変数の値によって従属変数の値が予測できること。 RT @daihiko: その場合の「予測」というのがいったい何なのか、いまだに僕にはしっくりこない。
2012-01-21 15:34:05【補足】「セルフハンディキャップ尺度」であれば,セルフハンディキャップが起きそうな状況を実験的に設定する時に事前に尺度値を手に入れておいて,尺度値が高い「被験者」のほうがそうでない人よりもセルフハンディキャップが起きやすいなんてことが確認できればそれで「予測力」は高まる。
2012-01-21 15:37:49こういう「実験操作×個人差変数」の二元配置の実験計画はむかしは「古畑パラダイム」と言われていた。東大の古畑和孝先生の門下でよく使われた実験デザインだったから。
2012-01-21 15:38:51「論理的に」因果関係が仮定できればね。 RT @daihiko: 独立変数と従属変数を同時に測定しても「予測」と言うのですよね、その場合。 RT @ynabe39: 独立変数の値によって従属変数の値が予測できること。
2012-01-21 15:39:38パーソナリティ特性などの個人差構成概念が(内的実体の指標ではなく)「行動の要約」であるという考え方は社会心理学ではごく普通だと思う。たしか丸善の「社会心理学事典」(2009)に俺がそのことを書いているはずだし,それは編者に「そのことを書いてくれ」といわれて書いた。
2012-01-21 15:44:26あったあった。「いっぽう社会心理学などでは,人格概念はその人の過去の行動の「まとめ」であるととらえ,その概念を用いることで関係する行動の説明や予測の可能性が増分(increment)することに意義を見出すことが多い」(社会心理学事典「人格の基本次元」)。
2012-01-21 15:50:11重回帰分析のイメージだよね。重回帰分析の独立変数と従属変数に「因果関係」があるとは限らないけどふつう「従属変数をよりよく予測する独立変数を探す」ととらえる。 @daihiko
2012-01-21 15:54:33