時代伝奇の定義まとめ

「時代伝奇」とは何か、の定義をまとめたものです(とりあえず、リプライは含めていません)
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三田主水 @mitamon

さて、まだ眠くないうちに「時代伝奇」の定義について呟いておきますか。昨日芦辺先生とやりとりしていたものをベースに、頭からダラダラと考えたものです

2010-05-29 23:16:32
三田主水 @mitamon

一口に言っても様々な作品が含まれるため、簡単なようで定義が難しい「時代伝奇」という概念ですが、「時代伝奇」に不可欠な要素が実は一つあります。それは「現実/史実」。全ての「時代伝奇」は、「現実/史実」があって初めて存在できるのではないでしょうか。

2010-05-29 23:19:30
三田主水 @mitamon

「時代伝奇」の魅力を考えた時、例えば「あの人物には実はこんな裏の顔が!」「あの事件には実はこんな真相が!」といった点があがると思います。もちろんそれは「裏の顔」「真相」そのもの面白さもありますが、何よりも面白さを感じさせるのは、むしろ「実は」の部分ではないかと考えます。

2010-05-29 23:21:33
三田主水 @mitamon

その「実は」とは、「現実/史実」あっての意外性。言い換えれば、「時代伝奇」の魅力は、「現実/史実」との距離感にあるのではないか…ここでまず「時代伝奇」を定義すると、「現実/史実を踏まえたフィクション」になります。

2010-05-29 23:23:50
三田主水 @mitamon

しかし「現実/史実を踏まえたフィクション」といったら、それこそガチガチの史伝でもない限り、ほとんど全ての時代小説・歴史小説が該当してしまいます。「踏まえた」だけでは「時代伝奇」にはならないのですね。では何が必要か? それは「解釈」ではないでしょうか。

2010-05-29 23:27:18
三田主水 @mitamon

当たり前の「現実/史実」から、新しい「実は」を取り出す行為。それに名前をつければ、「解釈」が最も適切でしょう。そしてその解釈の道具となるのが、「現実/史実」と対になるべき「空想/虚構」であります。

2010-05-29 23:29:54
三田主水 @mitamon

当たり前のことを当たり前のことで解釈しても意外性は生まれません。当たり前のことを、当たり前でないことで解釈する時…そこに初めて伝奇的な興奮が生まれるのではないでしょうか? ここで二度目の定義を行うと、「現実/史実を空想/虚構で解釈したフィクション」になります。

2010-05-29 23:32:11
三田主水 @mitamon

ここでちょっと寄り道すると、この「現実/史実」の「解釈」は、実は歌舞伎の構造に似ているのではと思います。歌舞伎で言う「世界」を「現実/史実」に、「趣向」を「空想/虚構」に入れ替えると、ほとんど違和感なく当てはまるように感じられるのです。

2010-05-29 23:34:50
三田主水 @mitamon

さらに言えば、(もちろん全部が全部ではないですが)幽霊や神という存在を通して現実の人間・歴史を描き直す「能」という芸能は、その構造からして極めて伝奇的芸能なのではないでしょうか?

2010-05-29 23:37:27
三田主水 @mitamon

それはともかく、ここまでくれば、あともう少し。「現実/史実を空想/虚構で解釈した」ものが全て「時代伝奇」かと言えば、それもちょっと違和感です。例えば「義経=ジンギスカン説」がそのままで時代伝奇かと言えば、それは違うでしょう(そのままでは奇説の部類です)

2010-05-29 23:41:27
三田主水 @mitamon

やはり単なる「解釈」に留まらず、そこにお話としての構成と魅力が必要ではないか――特に「時代伝奇」が、かつて大衆文学の王道として存在していたことを考えれば、そう感じるのです。そこで最後に定義します。「現実/史実を空想/虚構で解釈したエンターテイメント性の高いフィクション」と。

2010-05-29 23:44:34
三田主水 @mitamon

と、長々と書いてきましたが、まだまだ曖昧さはあるものの(というか喩えがヘタクソね)、これが「時代伝奇」を定義するものとして、今のところ一番しっくりくるように感じます。もちろん異論・反論は山とあると思いますが、この定義をベースに、今後磨いていきたいな…と考えている次第です

2010-05-29 23:46:33