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斎藤清二先生の「心身相関的悪循環について」「ライバルを心身症にする方法」

@SaitoSeiji 斎藤清二先生による連続ツイート。 裏テーマは「心身相関的悪循環を解消する方法」
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斎藤清二 @SaitoSeiji

原因がはっきりしない身体の不調が長期間続くような状況は、誰にとっても苦しいものだ。そのような状態をどのように理解し、どのように対応すればよいかについては、必ずしも定説はない。ここでは、「心身相関的悪循環」という概念を持ち込むことで、この問題についての考察を連続ツイートしてみたい。

2012-02-08 21:50:42
斎藤清二 @SaitoSeiji

①一般に身体の具合が悪いときは、誰だってあまりおもしろいわけはないから、気分が落ち込んだり、イライラしたり、不安になったりする。これは人間であればむしろ当然のことだ。このような「落ち込み」「イライラ」「不安」などを総称して、とりあえず『不快な気分』と、呼ぶことにしたい。

2012-02-08 21:53:30
斎藤清二 @SaitoSeiji

②つまり、身体の調子が悪い時は、不快な気分も強くなるということだ。ところで問題は、この『不快な気分』は、身体にも影響を与えるということだ。このことは経験的には多くの人が納得すると思う。もちろん科学的に全てが解明されているわけではないが、最近の研究ではかなりのことが分かっている。

2012-02-08 21:58:29
斎藤清二 @SaitoSeiji

③例えば「過敏性腸症候群」などと呼ばれる人の場合に問題になる機序は、おおざっぱに言うと2つある。、ひとつは、胃や腸などの消化器内臓の働きに『不快な気分』が影響を与える。一般に『不快な気分』がある時には、消化管の運動や分泌などの働きが活発になりすぎることが分かっている。

2012-02-08 22:01:58
斎藤清二 @SaitoSeiji

④その場合、ちょっとした刺激に対して胃腸が強く反応して痙攣したり、腸からの分泌が増えたりするので、痛みを伴った下痢などが起こりやすくなる。また腸の働きには、食べ物の水分を吸収して便を固くする作用があるので、腸の働きが強くなりすぎると、むしろ便秘になることもある。

2012-02-08 22:06:49
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑤もう一つ重要な機序があって、『不快な気分』は、内臓の知覚閾値を低下させるということが分かっている。ようするに、痛みに対する感度が上がって敏感になる。つまり、1の痛みが2にも3にも増幅される。この時に感じられる痛みは「本当に」痛いのであって、決して「幻」でも「気のせい」でもない。

2012-02-08 22:11:16
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑥人間の『知覚閾値の変化』は、今まで盲点になっていた。人間のものの感じ方は刻々と変化しているが当人には分かりにくい。知覚閾値が上がれば痛みは軽くなり、閾値が下がれば痛みは強くなる。しかし、一般には『自分の知覚閾値が変化した』とは考えずに、『痛みの原因が変化した』と解釈してしまう。

2012-02-08 22:14:52
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑦このようにして『不快な気分』」は、一方では内臓の働きを変化させて症状を誘発し、もう一方では知覚閾値を変化させて症状を増幅する。『腹痛』があると『不快な気分』が生じ、『不快な気分』は『腹痛』を増強させる。増強した腹痛はさらに『不快な気分』を増強させるのでますます『痛み』が強くなる

2012-02-08 22:19:36
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑧悪循環にはまっているときは、もう何が原因か分からなくなっていることが多い。一般に我々は、病気というものは何かの原因があって起こり、原因を取り除けば治る、と単純に信じているが、このような病態には、単一の原因はない。だから、原因を探すことで治療しようとしても混乱するばかりとなる。

2012-02-08 22:23:51
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑨このような考え方は『システム論的な考え方』と言われている。原因不明で、慢性に続くような病状は、単一の原因では説明できないことが多い。そのような病態には、このような考え方を当てはめてみると、対応策を考えるときのヒントになることが多い。

2012-02-08 22:26:48
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑩システム論の考え方では、単一の原因/結果という考え方をしないから、唯一の正しい治療があるとは考えない。病態がどんどん悪くなったり、なかなか治らなかったりするのは、悪循環があるためだと考えるので、悪循環を断ち切るか、少なくとも悪循環を後押ししない方法であれば何でも役に立つと考える

2012-02-08 22:29:27
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑪つまり、有効な治療法は複数あり得る。しかしもっとも大切なことは、悪循環を積極的に断ち切ることよりも、悪循環を後押しすることをやめることだろう。そのために、どのように考えればよいかについては、後ほどあらためて・・・。連続ツイートをいったんここで終わります。

2012-02-08 22:34:17

ちょっと休憩。


斎藤清二 @SaitoSeiji

前回、原因不明の身体の不調が長期間続くような状況を理解するために役立つ「心身相関的悪循環」という概念について連続ツイートした。当然、その続編として「心身相関的悪循環を解消する方法」が期待されるわけであるが、ここでは少し違う観点から連続ツイートを行ってみたい。

2012-02-10 20:53:41
斎藤清二 @SaitoSeiji

①我々医療者は知らず知らずのうちに、コミュニケーションにおいて、患者さんを追い込むようなことをしていることがある。それに気付くためには、『相手の不快な感情を刺激する』ようなコミュニケーションを知っておく必要がある。それが分かれば、不適切なコミュニケーションを避けることができる。

2012-02-10 21:00:47
斎藤清二 @SaitoSeiji

②これから述べて行くのは「ライバルを心身症にする方法」である。『サインはV』『アタックNo1』『ガラスの仮面』などの主人公になったつもりで、あなたが密かに陥れたいと思っているライバルが、『最近お腹が痛いの! どうしたらいい?』といって相談に来た場面を想像してみてほしい。

2012-02-10 21:05:09
斎藤清二 @SaitoSeiji

③例えば「過敏性腸症候群」などと呼ばれる人の場合に問題になる機序は、おおざっぱに言うと2つある。、ひとつは、胃や腸などの消化器内臓の働きに『不快な気分』が影響を与える。一般に『不快な気分』がある時には、消化管の運動や分泌などの働きが活発になりすぎることが分かっている。

2012-02-08 22:01:58
斎藤清二 @SaitoSeiji

④「ライバルを心身症にする方法」の第一番目は『訴えの過小評価』である。英語では『discount(値引き)する』などとも言う。例えば「そんなに痛いはずないよ」などという言い方である。「それって、おおげさなんじゃない?」などという言い方もそうである。

2012-02-10 21:15:15
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑤当人の感じている「苦しみ」とは、言葉を換えればその人の存在そのものである。それを過小評価されたら、全人格が否定されたように感じても無理はない。自分の苦しさが伝わっていないと感じる時、人は「本当にどうしょうもない」という気持ちになる。よって「不快な気分」が増強し悪循環は進展する。

2012-02-10 21:21:06
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑥「ライバルを心身症にする方法」の第二番目は『突き放し』である。『単なる気のせいよ』とか『ストレスのせいだからどうしようもないよ』といった言い方である。『誰だってそれくらい我慢しているのよ』とか『それって単なるなまけじゃない』とかは、訴えを過小評価しつつ突き放している例である。

2012-02-10 21:26:57
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑦「ライバルを心身症にする方法」の第三番目は『不安を煽る』という方法だ。例えば『それってほっといていいの? 手遅れになったらたいへんだよ』といった表現が一番典型的な例だろう。不安は『不快な気分』の代表的なものだから、不安が高まると症状は当然強くなる。

2012-02-10 21:31:11
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑧しかし「不安を煽る」という問題はなかなか難しい。現実に、重大な病気が隠れている可能性もゼロではないからだ。「早めに専門家に相談して下さい」などという表現は、マスコミや医療機関がしょっちゅう使う。しかし「悪い病気が隠れているかも・・」と言われて不安にならない人はいないだろう。

2012-02-10 21:36:31
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑨『不安を煽る』という方法に、さらに追い打ちをかけるやり方がある。これは専門家がよく使う手で、『悲観的な説明をする』という方法である。「ライバルを心身症にする方法」の4番目である。例えば『この病気は一生治りません』とか『不摂生すると益々悪くなります』とか言うことである。

2012-02-10 21:41:42
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑩診断されたばかりの糖尿病の患者さんに『将来足を切断したり、失明することになります』などと説明するのもこの一例である。例えそれが事実であっても、唐突に悲観的な説明をされるとたまらない。ましてや、多くの心身相関的な病態は生命には別状はなく、『悲観的な説明』自体が正しい説明ではない。

2012-02-10 21:51:58
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑪「ライバルを心身症にする方法」の5番目は、『生活の過剰な制限』だ。『あれもだめ、これもだめ』と必要のない生活制限を加えられると、ただでも気分が滅入っているのに、ますます気晴らしをするチャンスさえなくなってしまう。

2012-02-10 21:56:17
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コメント

細馬宏通/かえるさん @kaerusan 2012年2月10日
当初は「ライバルを心身症にする方法」のみを掲載していましたが、その直前の「心身相関的悪循環」に関する連続ツイートも加えさせていただきました。
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さとり @zgmf_x13a 2012年2月11日
続編待機! 健康診断の血液検査はけっこう好きだけど、病気の時はやりたくないですよね〜痛みを強く感じるから。
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細馬宏通/かえるさん @kaerusan 2012年2月11日
2012/02/11 の斎藤先生の連続ツイート(「ライバルを心身症にする方法」の続き)を追加しました。
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宮田伊織🐰🐧 @Miyata_Iori 2012年2月12日
これは興味深い話ですね。無意識に他人を傷つけてないか気をつけないと。
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武水しぎの @takemi_sigino 2012年2月14日
うーん。難しい。インフォームドコンセントは客観的な説明があることを前提にしている。リスク管理もだ。…日常生活では気をつけたいと思う。
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